ぽろろ、ぽろろ(3)

2015-10-04 09:18:37 | 童話
小川の近くで
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。

『だぁれ?』
声は聞こえるけれど、だれが呼んでいるのか判らない。

『だぁれ?』
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『あれっ、川の水君かな?』
『そうだよ、ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『なぁに、川の中で一緒に遊ぶの? 海水パンツを持ってくるから待っててね。』
『海水パンツになったから川に入るよ。』
僕は川の中で水に押してもらった。
『たのしいな、たのしいな。』

僕の足の下の土の中から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。

『だぁれ?』
モグラ君かな?

『なぁに、僕は土の中には入れないよ。』
『えっ、モグラ君は昼間は眩しくて外に出られないから、夜になったらジャンケンをして遊うよだって。ダメだよ、僕は夜は家に帰らなければいけないんだ。だから今ジャンケンをしようよ。モグラ君は土の中から手だけ出せばいいんだよ。ジャンケンポン、僕はチョキだけどモグラ君はパーだから僕の勝ちだよ。そうか、モグラ君はパーしか出せないんだ。』