爛漫日記

インターネット古書店 独楽知の、春爛漫ではなくて、秋爛漫?の日記です。

『ぼくらはみんなハゲている』

2005-12-04 17:44:07 | 私の本
今日はどんよりと曇った寒い日曜日、一日コンタクトレンズを入れないで、家の中で本を読んで過ごした。
読んだのは、新聞の書評でおもしろいとあったので、ネット注文した藤田慎一著『ぼくらはみんなハゲている』。
自らもハゲていることで担当に指名され、同名のドキュメンタリー番組を手がけたことから、若いTVディレクターの藤田慎一氏(31才)が、いろいろなハゲた人たちと出会って話を聞きながら、考えていったことが、とても素直に書かれている本だった。
藤田慎一さんは、ものごとの受け止め方がとても柔らかくて素敵だと思う。


<本文から抜粋>
 ハゲを苦しめているもの。それは男たちの互いを値踏みし合う視線なのかもしれない。
 僕たちは、「男らしさ競争」の中で互いを値踏みし合っている。そして、誰かに敗者を押しつけることによって、自らの勝利をようやく確認し、男としての自信、存在証明をかろうじて維持している。そしてまた、他の誰かに値踏みされ見下ろされることを極端に恐れている。ハゲはそんな「男らしさ」の犠牲者にちがいない。僕らは、いつになったらそんな競争から抜け出すことができるのだろうか?

 誰もが愛されたい、受け入れられたいと思っている。しかし、僕たちの社会は、いつもその欲求を満たすための条件をつけてくる。条件つきでしか僕らは受け入れてもらえない。学校では成績で選抜され、会社では従順な部下であることが求められ、友達や恋人からはイケていることが求められる。最も無条件に受け入れてくれるはずの親でさえ、「良い子」であることを要求してくる。僕らには絶えず様々な条件が突きつけられている。もしも根底で揺るぎなく、自分は世界から受け入れられているという実感があるのならば、そんな条件つきの自己肯定など必要ないにちがいない。しかし、僕らがそれほど世界から受け入れられているという実感を得ることはたやすくはない。

 人を丸ごと受け入れてくれるような社会のあり方、それは単なる夢想なのだろうか?

 切実なる生き難さをどうしようもなく背負って、それでもなお、生き続けようとする人たちよ。もう自分を許してあげましょうよ。そんなに完全でなくてもいいじゃないですか。素直に自分を丸ごと「笑って許して」生きていこうじゃないですか。

コメント
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