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ニュースサイト 宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

岡田幹事長、「外為特会の元本に手をつけられるか検討」、タブーに1歩踏み出す

2011年04月30日 08時35分45秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

(未定稿)

(このエントリーの初投稿日時は2011年4月30日午前8時半)

 平成23年度第1次補正予算(案)が審議入りした2011年4月28日(木)に、タブーを畏れず切り込む重要な発言が、民主党幹事長の岡田克也さん、財務大臣の野田佳彦さんから出ました。

 まず、岡田幹事長は、補正予算審議入りの1時間前から、定例記者会見にのぞみました。この中で、2次補正以降の財源について大要、次のように述べました。

 「増税といってもすぐに増税するわけではありませんから、国債を発行して時間をかけて償還する。そのために増税が必要であるという話で、この復興のために、すぐに増税するという意味ではないということを申し上げておきます。ですから、国債の発行か、増税か、という選択の話ではないということですね」

 「既に今年度予算の中で外為特会からの繰り入れというのはやっているわけですね。それ以上にやるという場合に、それがどういったかたちで可能なのかと。ということはしっかりと示される必要があると思います。利息分だけではなく元本に当たる部分にまで手を付けるということが可能なのかどうか、と。それは借金をすることとどこが違うのか」

 「国債整理基金(特別会計)はよりそのこと(=検討の余地)はいえるわけで、本来国債の償還にあてるために定率で繰り入れられたお金ですから違う用途に使うとなると、定率償還はもうしないのか、まあ確かにしなかったことは(過去に)確かにありますが、今これだけ大きな国債の残高を抱えている中で、国債の定率償還をしないんだ、というメッセージを(仮に)発することがどのようなリスクにつながるのか」

 と述べて、これらの課題を、民主党内の城島光力さんが座長を務めるチームで検討してほしいとしました。

 ところで、このところ、「国債の償還」という言葉をこのブログでよく使っていますが、「国債の償還」とは、満期(例えば10年間)を迎えた国債の持ち主にお金を返すことです。

 なお、この記者会見での質問は、この前日に衆院1期生による「増税なき復興を求める緊急会合」が開かれたことをどう思うか?という質問です。岡田幹事長は、民主党内の議員連盟づくりに不快感をかねてから主張していて、「議連は認めない」というのが岡田幹事長の原理主義です。しかし、この前日の動きは、若田部昌澄・早大政治経済学部教授を講師に招いた1期生の「緊急会合」であり、「議員連盟」としての組織化・グループ化の動きではなかったことから、岡田幹事長は同調して、その意見を尊重する発言をしたものだとみられます。なお、「緊急会合」の呼びかけ人は、衆院1期生の、網屋信介(鹿児島5区比例)、大西健介(愛知13区)、柿沼正明(群馬3区)、橘秀徳(神奈川13区)、中後淳(千葉12区比例)、永江孝子(愛媛1区比例)、長尾敬(大阪14区)、三村和也(神奈川2区比例)、宮崎岳志(群馬1区)、矢崎公二(長野4区)の10人。筆頭格は網屋さん、事務局長役は大西さんでした。

【衆院本会議 財務大臣の財政に関する演説と、それに対する各党代表質問 2011年4月28日(木)】
【参院本会議 財務大臣の財政に関する演説と、それに対する各党代表質問 2011年4月28日(木)】

 この後、午後4時から衆院本会議で野田佳彦財務大臣の財政演説とそれに対する各党代表質問、午後7時16分から、参院本会議で同じく財政演説と代表質問が行われました。この後、衆院予算委員会で野田財務大臣が提案理由説明をしました。

 
[画像]衆院本会議で財政演説する財務大臣の野田佳彦さん、2011年4月28日午後4時過ぎ、衆議院インターネット審議中継から


[画像]参院本会議で財政演説する財務大臣の野田佳彦さん、2011年4月28日午後7時20分ごろ、参議院インターネット審議中継から

 それはさておき、野田財務相は、公明党から懸念が出ている今次補正で、年金財源2・5兆円を復旧財源に転用したことによる、年金財源の不安定化について「なお、平成二十三年度の基礎年金国庫負担割合については、二分の一であることを法律上明記しつつ、二分の一との差額は、税制抜本改革により確保される財源を活用して、年金財政に繰り入れることを併せて法制化することとしております。」として、消費税増税などを法制化するとの一歩踏み出した演説をしました。

第177回国会における野田財務大臣の財政演説 平成23年4月28日

今般、平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災に対応し必要な財政措置を講ずるため、平成二十三年度補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。

(はじめに)
三月十一日に発生した東日本大震災は甚大な被害をもたらしました。この災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。さらに、救助・救援活動や復旧活動に関わる、官民の関係者やボランティアなど多くの方々の尽力に敬意を表しますとともに、国際社会から寄せられている温かな支援に感謝を申し上げます。

政府としては、今日に至るまで、人命救助や安全な避難に取り組むほか、被災された方々の生活に必要不可欠な、水や食料、燃料等の確保、被災地域の応急復旧などに全力を挙げてまいりました。今後、電気、ガス、水道といったライフラインの復旧を急ぎ、さらに、災害廃棄物の撤去や仮設住宅の建設を進める等、引き続き、被災地域の復旧・復興のため全力を挙げてまいります。

また、原子力発電所事故は、依然として予断を許さない状況が続いております。被害の拡大を防ぎつつ、一日も早く安定した状態を実現すべく、万全の対策を講じていくこととしております。

(平成二十三年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)の大要)
今国会に提出をいたしました平成二十三年度補正予算の大要について御説明申し上げます。

今回の一般会計補正予算につきましては、東日本大震災からの早期復旧に向け、年度内に必要と見込まれる経費を計上しております。また、財源については、追加の公債を発行せず、歳出の見直し等により確保しております。

まず、歳出面において、東日本大震災関係経費として四兆百五十三億円を計上し、その内訳は、災害救助等関係経費四千八百二十九億円、災害廃棄物処理事業費三千五百十九億円、災害対応公共事業関係費一兆二千十九億円、施設費災害復旧費等四千百六十億円、災害関連融資関係経費六千四百七億円、地方交付税交付金千二百億円、その他八千十八億円となっております。

これらの東日本大震災関係の歳出を賄うため、三兆七千億円余の歳出の減額を行うこととしており、その内訳は、子ども手当の減額二千八十三億円、高速道路の原則無料化社会実験の一時凍結に伴う道路交通円滑化推進費の減額千億円、基礎年金国庫負担の年金特別会計への繰入の減額等二兆四千八百九十七億円、周辺地域整備資金の活用に伴うエネルギー対策特別会計への繰入の減額五百億円、政府開発援助等の減額五百一億円、議員歳費の減額二十二億円、経済危機対応・地域活性化予備費の減額八千百億円となっております。

なお、平成二十三年度の基礎年金国庫負担割合については、二分の一であることを法律上明記しつつ、二分の一との差額は、税制抜本改革により確保される財源を活用して、年金財政に繰り入れることを併せて法制化することとしております。

また、歳入面においては、高速道路の料金割引の見直しに伴う独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構からの納付金二千五百億円等、税外収入三千五十一億円を計上しております。

これらの結果、平成二十三年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対し歳入歳出とも三千五十一億円増加し、九十二兆七千百六十七億円となっております。

関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うこととしております。

財政投融資計画につきましては、被災事業者の経営安定や災害復旧等のための資金需要に対応するため、この補正予算において四兆三千二百二十億円を追加することとしております。

(むすび)
以上、平成二十三年度補正予算の大要について御説明いたしました。

被災地域の一刻も早い復旧のため、何とぞ、関連法案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。


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