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宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

「AI」の定義で政府は「代替機能の技術」として法案審議入り、クマ対策の鳥獣保護法で「立憲・維新・参政の3党の共闘」で修正案提出も否決

2025年04月08日 18時07分46秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[写真]日本維新の会の単独の代表選に出馬した、日本維新の会衆議院議員の空本誠喜さん、きょねん11月、東京・新宿で、宮崎信行撮影。

 召集75日となり、第217回国会は折り返しの日となりました。国会インターネット中継コタツ記事のパイオニアである当ニュースサイトはほぼノーミスの定時運行ができています。3つ目のミスが見つかりました。参議院先議法案は2法案しかなく2つとも参・委員会で審議入りしたと書いてしまいましたが、3法案ありきょうですべて審議入りしました。これまでに、当初予算の修正協議で、高校授業料無償化は修正の必要がないとしましたが、所得制限の撤廃に関して令和7年度予算が歳出の増額の修正がなされました。そして、政府が暫定予算案の編成に入ったという記事(削除済み)。合計3つミスをしました。25日に1度ミスしていることになります。国の内外の未来像についてミスリードはないと自負します。

【衆議院本会議 きょう令和7年2025年4月8日(火)】
 「AI理念法案」(217閣法29号)が審議入りしました。城内・科学技術・イノベーション推進担当相に対して、立憲の梅谷守さんは「基本法案でなく推進法案としたのはなぜか」と問いました。

 理念法案は罰則はありませんが、第2条の定義として「人工知能関連技術とは、人間の認知、推論、判断に係る知的な能力を代替する機能を実現するために必要な技術や入力された情報を当該技術を利用して処理し、その結果を出力する機能を実現するための情報処理システムに関する技術をいう」としています。議員立法ブームの理念法で、地方自治体の責務が批判を浴びてきましたが、この法案では「自主的な施策を策定し、実施する責務」にとどまり、計画づくりはありません。LGBT理解増進法で批判された「国民の責務」は「施策に協力するよう努める」にとどまりました。そして、「内閣に、人工知能戦略本部を置く」ことを盛り込みました。

 「面白い日本」を提唱した経産官僚の堺屋太一さんはちょうど40年前にPHP研究所から「知価革命 工業社会が終わる 知価社会が始まる」という本を出しています。ダニエル・ベル「脱工業化社会」の日本版のような位置づけです。224ページで、工業化経済の財の典型である鉄は需給で価格が大きく変化するとしています。しかしゼロ円にはならないと指摘します。知価は、例えば「奇抜なデザインのネクタイ」は流行が去った翌季には値段はゼロになると指摘。242ページで、知価に携わる人は生産手段が売却できないので、中産階級よりも勤労者に近いとし、知価社会とは都市に住む流動性の高い中流階層が激増する社会になると予想しています。40年たって見事に的中しています。価値がゼロになりかねない「知価」はAIの大量生産に任せて、人間は農業や製造業にかえるべきなのでしょう。ちなみに、中国の成長率が6%、インドが4%でしかないのは、発展がデジタルで頭をおさえられた実額だと、私はみています。 

 質疑ではこれに先立ち、上がり法案が処理されました。
 半島災害に対応した「港湾法改正案」(217閣法13号)はれいわ新選組と日本保守党が反対し、自公立など各党が賛成して可決し、参議院に送られました。

 「能動的サイバー防御法案」は、討論になりました。討論は、反対→賛成→反対の順に行うことになります。このため、反対討論としてれいわの上村英明さんが登壇しました。「217閣法4号」は修正し、「217閣法5号」は政府原案通り可決すべきだとした委員長の報告を、令共などが反対し、自公立維国などが賛成して議決し、参に送付しました。

 「相互円滑化協定実施法案」(217閣法56号)は賛成多数で可決し、参に送られました。

【参議院内閣委員会】
 「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の改正案」(217閣法46号参議院先議)が坂井学・海洋政策担当大臣から趣旨説明されました。

【参議院厚生労働委員会】
 「労働安全衛生法をILO155条実施を含めた包括的に改正する法案」(217閣法57号参議院先議)が審議され、次回も続けることになりました。アスベスト、個人事業主の労災特別加入、ストレスチェック、高齢労働者の労災など多方面な質問項目が出ました。カスハラは別の法案です。

【参議院国土交通委員会】
 啓開を法定化する「道路法改正案」(217閣法12号)を全会一致で可決すべきだとしました。

【参議院外交防衛委員会】
 「JICA法改正案」(217閣法23号)の採決は反対が共産党(衆議院本会議では参政党、保守党も反対)のみで、自公立などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。

【参議院財政金融委員会】
 「IDA法などの改正案」(217閣法7号)が趣旨説明されました。

【参議院法務委員会】
 「裁判所職員定員法改正案」(217閣法14号)が趣旨説明されました。

【衆議院環境委員会】
 クマ被害の対策の「鳥獣保護法改正案」(217閣法27号)は全会一致で政府原案通りに可決すべきだと決まりました。これに先立ち、立憲・維新・参政の3党派の修正案が提出され、維新の代表選にやぶれた空本誠喜さんが朗読。クマとイノシシについて日常生活空間に限った改正だが、山野も対象にすべきではないかとの観点から用語の修正を試みました。ところで、参院選では近畿2府4県の1人区3つのうち滋賀、奈良では既に維新・参政がかぶり、和歌山では参政党が先行して候補者を擁立しているので、「立維参」は限定的な共闘のようです。

【衆議院農林水産委員会】
 公の権限を強化する「森林経営管理法など改正案」(217閣法31号)が趣旨説明されました。私は、歳入での森林環境税の本格的な導入に伴う歳出の話だと思っていましたが、大臣から特に言及はありませんでした。

【衆議院地域・こども・デジタル特別委員会】
 「第15次地方分権一括法案」(第217閣法35号)が趣旨説明されました。今回は首長の条例のデジタル署名など6項目8法律の改正にとどまります。民主党政権時に「地域主権法案」としていたため、ねじれ野党の橘慶一郎さん(現・官房副長官)らが「地域という主体はない」との反対で審議入りできませんでした。妥協の産物として「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」というタイトルにその名残をとどめています。

【衆議院総務委員会】
 「電波法など改正案」(217閣法19号)が趣旨説明されました。細かい改正。

【衆議院厚生労働委員会】
 「薬機法改正案」(217閣法15号)の参考人質疑。

【衆・国会改革協議会】
 党首討論の活性化で与野党が口頭で合意し、4月から月1回実施することを、座長(浜田議運委員長)が泉健太国家基本政策委員長に伝達へ。また、れいわ新選組から、委員会での質疑の終局から採決まで一定の時間をおいて、党内の賛否を判断するしくみをとるよう、口頭で意見が出ました。

●あすは参議院本会議が開かれますが、参議院憲法審査会はないようです。

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Ⓒ2025年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

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