goo blog サービス終了のお知らせ 

ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

極めて異例な「地域の実情を踏まえた個人情報取り扱い」修正で刑事訴訟法デジタル法案緊急上程可決、議会人・山崎正昭さん起立免除も起立し「安倍晋三さんといつも一緒の政治人生で裏金を知らなかった」

2025年04月18日 21時08分03秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[写真]参議院議場の議席、院の許可を得て宮崎信行が撮影・所持・掲載。

この記事を川柳3本で要約します。
山崎氏健康理由で座ったまま
デジタル化刑事手続も進化する
法案成立こどもの声は先送り

 地域の実情に沿った個人情報保護という刑事法では聞き慣れない修正案が朝、提出され可決。昼過ぎには早くも参議院に送付されました。今国会での法務委の特別扱いをうかがわせました。参議院では最初に「4万円の裏金を自ら出席して説明したい」と言い出した元参議院議長、山崎正昭さんが弁明し、健康上の理由から座ったままでいいとの会長の発言に従いつつ冒頭だけ起立して健在ぶりを誇示。初当選以来、小泉純一郎・安倍晋三内閣の参議院枠の官房副長官、野党時の参議院副議長を含めてメーンストリームであり続けた矜持を示しつつ、安倍さん同様に不記載は知らなかったと述べました。

【衆議院法務委員会 きょう令和7年2025年4月18日(金)】
 「刑事訴訟デジタル化法案」(217閣法30号)に修正案が提出されて審議。修正すべきだと決まりました。
 西村ちなみ委員長から指名されて、米山隆一さんが読み上げた自公立維国修正案は次の通り。
 「第一に、検察官が電磁的記録提供命令を受ける者に対して行うみだりに電磁的記録提供命令を受けたこと等を漏らしてはならない旨の命令については、一年を超えない期間を定めて行うこととしております。第二に、附則において、電子記録提供命令により、電磁的記録を提供させ、または電磁的記録に係る記録媒体を押収するにあたっては、デジタル社会において個人情報の保護がより重要となっていることに鑑み、できる限り被告事件または被疑事件と関連性を有しない個人情報を取得することとならないよう、特に留意しなければならないこととしております。第三に、附則において、政府は被告人等にとって弁護人等の援助を受けることが重要であることに鑑み、刑事訴訟法第39条第1項の規定による接見の他に、身体の拘束を受けている被告人等と弁護人等との間における映像と音声の送受信による通話を可能とするための運用上の措置について地域の実情を踏まえ、被告人等と弁護人等との間の秘密の確保に配慮するとともに不正行為の不正行為等の防止に万全を期しつつ、必要な取り組みを推進するものとしております」と述べました。これが成案となり、参の審議でも可決・成立することになります。

 刑法・刑事訴訟法において「地域」はもちろん所轄所や地裁を決めるわけですが、「地域の実情を踏まえた個人情報の保護」という概念は、刑事法では初めてかもしれません。民法・民事訴訟法は結納金返還などは地域の実情を踏まえて判断することになっています。弁護士、学者はおろか、司法試験の教師も要チェックの内容かもしれません。東京出身者が多い自民と違い立憲民主党は県立高校を出て小選挙区で当選している議員の割合が高いことが修正に反映されたような気がします。

【衆・内閣委】
 「AI推進理念法案」(217閣法29号)は共のみ反対、自公立などの賛成多数で原案通り可決すべきだと決まりました。「法8条の国民の責務」について立憲は「国民の努力」に見出しを変えるべきだとしましたが、否決されました。

【衆・経産委】
 「下請法を改正する中小受託事業者への価格転嫁促進法案」(217閣法48号)は、来年の春闘に間に合わせるために「令和8年1月1日施行に改める」とした修正案が可決しました。

【衆・安全保障委】
 自衛官処遇改善と国内に駐留する各国軍のACSA地位協定条約の国内実施法を一括化する「防衛省設置法などの改正案」(217閣法16号)は共のみ反対の賛成多数で可決すべきだと決まりました。

【衆・財務金融委】
 「財政投融資の投資勘定の特別会計法改正案」(217閣法25号)に関して質疑は終局したと宣言され、次は22日(火)に開議するとして、散会しました。

【衆・文部科学委】
 「給特法改正案」(217閣法9号)の参考人質疑。

【衆・外務委】
 「国連公海等生物多様性協定BBNJの承認案」(217条約11号)「職業安全衛生条約の承認案」(217条約12号)、「1995年の漁船員訓練、資格証明及び当直基準条約STCWーFの承認案」(217条約13号)が岩屋毅外相から趣旨説明されました。このうち13号は先月28日に提出されました。

【衆・本会議】
 司法書士法の免許など「マイナンバー法改正案」(217閣法41号)は令共参保反対、自公立維国有賛成多数で可決し、参議院へ送られました。
 「刑事訴訟デジタル化法案」(217閣法30号衆議院修正)は修正議決され、参議院に送られました。
 「日本学術会議法案」(217閣法36号)は坂井大臣が登壇して趣旨説明・代表質問されました。

【参・本会議】
 「電波法などの改正法」(217閣法19号)は投票総数238、賛成220、反対18の賛成多数で可決し、成立しました。
 地域限定保育士延長などの「児童福祉法などの改正法」(217閣法40号)は、投票総数237、賛成216、反対21で可決し、成立しました。ジャニーズ喜多川社長の被害者・カウアン岡本さんが、立憲の国対ヒアリングで求めた「児童虐待防止法の保護者を親以外にも広げてほしい」との内容は入らず第三者の通報義務規定の新設も先送りされました。
 市街地のクマ駆除の「改正鳥獣保護法」(217閣法27号)は、投票総数236、賛成230、反対6の賛成多数で可決し、成立しました。
 重要広範議案「能動的サイバー防御法案」(217閣法4号衆議院修正及び5号)は、送付14日後のきょう審議入りし、石破茂首相も2時間ひな壇に座り答弁しました。

【参・ODA・沖縄北方特別委】
 ODA調査団の報告がありました。報告によると、第一班は、中西祐介、窪田哲也、石垣のりこ3議員で、きょねん8月26日から9月4日までの10日間、ベトナム、マレーシア、タイを調査。第二班は、8月27日から9月2日までの7日間、インドのみを、青木一彦さん、青山繁晴さん、石川大我さん、若松謙維さんが訪問。第3班は9月1日から9日まで、藤川政人さん、江島潔さんがフィジー、トンガを訪問。第4班はことし2月8日から16日まで、セネガル、コートジボワールを山本順三、竹詰仁、仁比聡平3議員が訪れたとしました。

【参・政治倫理審査会】
 議会人・山崎正昭さんは3年前の参院選で、序盤はリードしつつ中盤は野党系無所属の斉木武志さん(現・維新衆議院議員)に劣勢となりながら、終盤に逆転して6選しました。終盤逆転は32ある1人区で福井県区だけ。安倍晋三さんより長い政治家人生となりました。このため、共同会見で私の質問に答えた泉健太代表は違和感だけ表明していましたが、終盤逆転の真相はわかりません。但し、山崎さんは清和研パーティー券ノルマ超過分キックバックの政治資金趣旨報告書不記載について「4万円ある」として自ら参・政倫審に申し立てて弁明したいとしましたが、これも真相はわかりませんが、後輩の国対幹部に止められたようです。その後、松山政司幹事長主導の閉会中審査も含めた審査の中、五十音順が遅いことと体調不良だとの説明がなされて、日程がずれ込んでいました。

 会長は「なお、山崎くんにおかれましては、これ以降、ご発言は着席のままで結構でございますが、ご発言の際は、その都度、挙手をお願いをいたします。山崎正昭明くん」と述べました。ところが、山崎さんは立ち上がりました。会長はあわてて「山崎議員、追っかけになって結構です」と述べましたが、山崎さんは「よいしょ、弁明者の山崎正昭でございます。本日は松村会長を始め、政倫審の委員の先生方には、こうした弁明の機会を頂戴いたしましてありがとうございます。なお今の委員長からは、私の体調もお金をいただき、座ったままでのお許しを賜りました。重ねてお礼を申し上げ、座ったままで弁明させていただきたいと思います」と千両役者の真価を発揮しました。

 山崎さんは「この度の清和政策研究会における政治資金の取り扱いなどを巡り、国民の皆様に深刻な政治不信を招いたことまた国会を始めとする関係者の皆様方に多大なるご迷惑をおかけいたしております」「私事でありますが昨年
12月に風邪をこじらせまして肺炎となり、12月中旬より年末まで入院治療を行いましたが、年明けて再発し本年の1月より再入院し、医師の指示により、しばらく療養をしておりましたことから、一層本会への出席が遅くなり、ご迷惑をおかけいたしました」と述べました。

 山崎さんは「私は、1992年、平成4年でありますが、参議院議員通常選挙で福井選挙区より出馬をし、初当選して以来、清和政策研究会に所属しておりましたが、内閣官房副長官、参議院自民党幹事長、参議院副議長、参議院議長を務めさせていただくなど、国会、政府、党の役職に携わってきた期間が相当な方で清和会の運営や会計に関わることは、ほとんどありませんでした。また、2016年に参議院議長を退任した後は、しばらく清和会とは距離を置いて、最高顧問の役職をいただいた後も、同様でございました。従いまして、パーティーに関して、いつからノルマ超過分の還元が始まったか、還付の再開がいつどのようにして決まったのかなどの事情については、承知をいたしておりません」と話しました。そして、それを知ったら、安倍晋三会長とともにやめさせていただろうと答弁しました。

●週明け月曜日は、午前中は参議院予算委員会の日米関税交渉の集中審議で、テレビ入り。午後は参議院決算委員会の省庁別審査。あさってのNHK日曜討論は関税をテーマに第1部が首相、第2部が有識者が出演しますが、前週と違い牛田茉友アナウンサーは出演しないもよう。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2025年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 補正予算案は、基礎・給与所... | トップ | 高額療養費で衆厚労委決議、... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿