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宮崎信行の国会傍聴記 ニュースサイト

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

補正予算先送りで、各党の幹部の偉い先生方は消費減税の党内激論回避で安堵か

2025年04月16日 19時10分27秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[写真]カリフォルニア大学サンディエゴ校を訪れた筆者(右)、今から36年前の1989年8月。

 ゆうべ、自民党幹部は記者団に「時間が限られ、アメリカの関税措置もどうなるかわからない」と語り、トランプ・ベセント関税に触発された補正予算の編成を先送りすることにしました。予備費は0・7兆円、消費税0・3%分しかありませんので、消費税減税論の、参議院自民党や立憲民主党の議論は、参院選の公約の表現ぶりにとどまりそうです。

【衆議院文部科学委員会 きょう令和7年2025年4月16日(水)】
 重要広範議案「給特法改正案」(217閣法9号)の法案審査・対政府質疑が続きました。愛知7区は区割り改定後も5市・1町の巨大選挙区で、国民民主党の日野さりあさんが初当選しました。日野さんは「今のご答弁ちょっと要約すると、これが成立すると6年間は抜本的な見直しが行われないのではないかなというやっぱり私の懸念が高まる一方ではあります。教員の処遇改善、これ今お伝えさせていただきましたことこれ急務でございます。しかしながら決して忘れてはいけないのは、お金を稼ぐためだけに先生になった人は一人もいないということです」と述べました。

 私見ですが、私は米日でやり方が違うとき、米が正しいという思考回路をしています。ですから、教師を先生と呼ぶのは違うと思います。私が36年前にホームステイ留学した際は、私が意欲的だから、教師と配偶者の夫妻宅に寄せてもらいました。午前中に授業を習い、そのまま夫妻と帰宅するという生活でした。但し、あちらは、夏休みの3ヶ月間月給が出ないことから、教師の社会的地位が低く、政治問題化していました。教師として定年まで勤めたほか、配偶者は同じ弁護士の事務所に48年間という極めて長期にわたり勤め上げました。住宅ローンを完済したことで、物価が高いサンディエゴを離れ、長男一家が住むシカゴへ永住しました。教師としての定年1年前に、集合知として「ティーチャー・オブ・ザ・イヤー」になりましたが、技能職という意味合いが強いです。日本の明治維新の経緯もありますが、中産階級の「先生」と褒めそやすのではなく、教師は技能職だという他の国の常識に戻るべきだと私は考えています。法案審議は続きます。

【衆議院経済産業委員会】
 「下請法を改正して中小受託事業者の価格転嫁を促進する法律案」(217閣法48号)の審議。

 立憲は、法規範性を持つ「中小企業憲章」の制定を推進した、埼玉6区(北本市など)の大島敦さんは質問。大島さんは「私は製造業は、大統領任期が4年間だとすれば、今後工場閉鎖だけは避けたいと思います。生産現場は、一度でも工場を閉鎖するとそれまで積み上げてきたあらゆることが、あれで蓄積が消滅してしまいます。例えばNCマシンなど微調整しながら築き上げてきた工作機械の精度機械を扱う従業員の熟練と従業員が取得した資格、元請からの品質認証ISOなど工場への各種認証品質を保守保証するための検査の制度で改善によって積み上げられてきた生産性、労働災害を防止するための安全管理など、日本の付加価値の源泉が工場だと思ってまして一度工場を閉じると再開したり、同じものを作ったりすることは、難しい」「5人、10人の小さなもの作りの現場にNCマシンは入ってます。ただ減価償却が終わって、従業員の年齢、50代後半ぐらい、60を超えてます。子供も成人して、ローンも全部返済が終わってるかもしれない。ですから、検査工程にいる小さい部品を何百万個も検査している女性の方も、こないだお伺いをしましたら、最低賃金です。他に職場がないから他に移ろうとも思わないしっていうところもあります。ですから今そういう中での下支えをしているのが日本の中小企業、特に小規模企業であって、ここが崩れると結構これボディーブローのように、多分今のアメリカがそうかもしれない。なかなか製造業と言っても、製造業自身が復活しないのはそのような従業員の皆さん、工場がないので、だからなかなか物が言ってもなかなかうまく工場が製造業が盛り上がらない。日本の貢献としては一番大きな貢献が米国の製造業の復権を助けるということもあるかなとは考えています」と語りました。

 ここも、やや見えている立場が違うのかなと思ったのですが、NC(数値制御)のプレス機械世界トップ、工作機械国内6位の会社で、リーマンショック当月の埼玉県内の67%の売り上げを記録した川越営業所のセールスマンと話して意気投合したことがあります。埼玉県内の工場経営者は、ホンダ寄居営業所の単価切り下げ交渉に対して、機械の減価償却が終わっているから、壊れ次第廃業して、銀行からお金を借りてアパートにしちゃうと語りつつ従っていると。セールしマンとしては、機械を買って、単価を上げろと言っていると。埼玉では、工場からホンダへの突き上げがきつく、ホンダが単価の切り下げに苦労していると聞きました。まさにその数日後の日本経済新聞に「ホンダが部品の海外比率引き上げへ」と報じられました。ですから、単価切り下げ交渉には廃業してアパートになるぞとホンダ寄居営業所を脅迫し、ホンダは「インドに発注へ」と日経に書かせて抵抗するのが自由主義経済の正しいあり方だと、私は考えています。初当選から中小企業100選を巡回するなどして取り組む大島さんですが、その視点は大企業の労働組合員という視点もあるのかもしれません。

【衆・厚生労働委員会】
 まず、本会議で質疑され付託された法案のうち「医療法改正案」(217閣法21号)だけが、今日現在委員会審議入りしていません。
 きょうの委員会では、藤丸敏委員長が「薬機法改正案」(217閣法15号)だけを議題にしました。まず、質問者がいないかどうか委員室に問いました。いないため、質疑終局を宣言しました。討論で、立憲の井坂信彦さんは「賛成だ」としつつも、「薬価中間年改定廃止法案」(216衆法23号)を採決すべきだとしましたが、拒まれました。採決は賛成多数で可決すべきだとしました。

 この後、一般質疑となり、高額療養費の適正な見直し手続に関する集中審議となりました。長妻昭さんは「財政検証で、基礎年金が今後3割目減りするということがはっきりいたしました。これについてですね、もうもちろん対策を打たなきゃいけないんですが、どういう対策を今国会で打つというふうに考えておられますか」と問いました。福岡資麿厚労大臣は「実質ゼロ成長を見込んだ過去30年投影ケースにおける基礎年金の水準について今おっしゃったというふうに認識をしております。政府としては移行を目指す成長型経済では、現行制度を前提としても将来の年金の給付水準がおおむね維持される見通しでございます」と述べました。

 福岡大臣は「今国会、福岡大臣ご承知の通りマクロ経済スライドの早期終了も含めた年金改正法案の詳細な内容については現在検討が行われているところでございまして、現時点で具体的な案については定まってございません」と語りました。長妻さんは「これですから法案出すんですか。無責任じゃないですかねはっきりちょっと明言してください」と述べました。 

 「今すぐGPIF250兆円を取り崩して、基礎年金の底上げと現役保険料の軽減に使え」と主張する政党・参議院会派が存在しないことが、私は不思議です。

【衆・内閣委】
 「AI推進理念法案」(217閣法29号)。参考人質疑では、一般社団法人ソフトウェア協会会長の立場で、さくらインターネットの田中邦裕社長が先月28日の経済産業委員会に続いて登場。行きつけの美容院で、客が集まらないと相談され、AIチャットアプリをその場でダウンロードするよう答えたら、客が集まるようになったとしました。会社四季報によると、同社は1990年代後半に創業したクラウド企業で、年商200億円超。株式時価総額は1600億円で、社長は15%ほど保有していますから、資産は200億円超になります。

【衆・法務委】
 「刑事訴訟デジタル化法案」(217閣法30号)の法案審査が続きました。

【衆・外務委】
 「日本チェコ、ルクセンブルグ航空協定」(217条約5及び6号)は全会一致で承認すべきだとしました。
 「WTO協定の約束表の改定」(217条約9号)「ASEAN貿易投資期間センター設立協定の改正」(217条約10号)も全会一致承認すべきとなりました。

【衆・国土交通委】
 「船員法改正案」(217閣法58号)を賛成多数で可決すべきだとしました。

【衆・農林水産委】
 「食料・農業・農村基本計画」に対する集中審議。政府報告は12分の長時間となりました。農相は「おはようございますおはよう改正食料農業農村基本法に基づく初めての食料農業農村基本計画が4月11日に閣議決定されました。熟議の国会でありますので、与野党の垣根を越え、基本計画に係る委員会質疑をいただき、また本委員会の決議をいただきました。このことにつきまして、感謝申し上げます。これらの議論を最大限尊重し、本基本計画を策定いたしました」と話しました。計画はホームページで詳細に公開されていますが、向こう5年間も引き続き、担い手への農地集約がはかられ、それへの関心が高いようです。

【衆・震災復興・災害対策特別委】
 「災害対策基本法改正案」(217閣法17号)は、立憲修正案、れいわ修正案とも否決。政府原案が自公立などの賛成多数で可決すべきだと決まりました。半島防災、福祉防災などを盛り込み、今後の防災庁設置準備室の議論を待つことになります。

【参・本会議】
 「ラピダス出資法案」(217閣法11号)が大臣から趣旨説明されました。「能動的サイバー防御法案」(217閣法4衆議院修正及び5号)を飛び越したかっこうとなります。
 制定時から参議院先議の議員立法だった「自殺対策基本法改正案」(217参法 号)は、こどもの自殺対策への学校の責務などを盛り込み、投票総数237、賛成236、反対1の賛成多数で可決し、衆議院に送られました。
 「改正港湾法」(217閣法13号)は239、232、7で可決し成立しました。半島の港に上陸して救助物資をプッシュ型支援できる法案で「見捨てられた半島・能登」の印象を払拭するかのように、15ヶ月経ってから各府省庁の半島防災の改正法案が積極的に議論されています。
 「相互円滑化協定の国内実施法」(217閣法56号)は、239、232、7で可決し、成立しました。衆で審議中の法案とあわせて、今後は自衛隊の駐留・物資融通の二国間の条約の国内実施で、自衛隊法の100条周辺を改正する個別法案が不要となります。

【参・地方創生・デジタル特別委】
 「第15次地方分権一括法案」(217閣法35号)が伊東大臣から趣旨説明されました。こども家庭庁の三原大臣が担当する「児童福祉法など改正案」(217閣法40号)は常任委員会で審議中です。

【参・憲法審査会】
 2回目の開催。自由討議で、自民党の佐藤正久幹事長代理は、参議院の緊急集会の各会派の考え方を整理すべきだと主張。改憲発議はかなり遠くなりました。
【参・調査会】
 3つのうち2つが開かれました。

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