[画像]安保2法案で質疑する、民主党の北澤俊美さん(中央)と、安倍首相、中谷防衛相ら、2015年7月27日、参議院インターネット審議中継から筆者(宮崎信行)がスクリーンショット。
【平成27年2015年7月27日(月)参議院本会議】
摂氏35度になろうとする猛暑日のなか、山崎正昭議長がギャベルを叩き、午後1時開議。
安保2法案(189閣法72号、189閣法73号)が審議入り。
参議院のイチバン暑い夏が始まりました。
安保2法案のタイトルは、
「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案」
「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案」
です。このうち、前者が「束ね法案」「戦争法案」と呼ばれるもの。後者は公明党が主張した「例外なき国会承認」の法律案ですが、基本的には前者が議論の対象になります。どちらがどうということはなく、この審議では、ほぼ1本の包括的法案と認識すればいいでしょう。
中谷防衛相の趣旨説明演説と、自公民維共の代表質問演説、首相・防衛相の答弁がありました。施政方針(所信表明)演説や、それに対する各党代表質問以外の参議院本会議では極めて異例、少なくとも私は過去に記憶がありませんが、臨時ニュースではなく、「NHK国会中継」で放送されました。
中谷大臣は趣旨説明で、「我が国の安全保障環境の変化と密接な関係にある他国に対する存立危機事態」などに対処するため、この法律案を提出した、としました。
自民党の安保特別委員で、珍しく来夏改選組の山本順三さん。なぜ来夏改選組で唯一と言ってもよい特別委員なのか。なにか秋の党人事・内閣改造をにらんだ配置なのかもしれません。
●参議院自民党幹部が「60日ルールを使わず、参議院の意思を示そう」と呼びかける
その山本さんは代表質問演説の最後を「60日ルールでの衆議院での再可決は、参議院の軽視であり、与野党問わず参議院の存立危機事態だ。必ず参議院の意思を示そう」と呼びかけました。
答弁で、安倍晋三首相(自民党総裁)は、「安保法制の説明は、政府ではないが自民党のインターネット動画でも説明している」と答弁。ふだんは、国会で、自民党総裁としての見解は示さない安倍首相ですが、珍しく自民党の話に言及しました。
続いて、民主党の北澤俊美さんの質疑。
「政府は砂川判決が集団的自衛権を認めているという珍説をつくりだした」と批判。
第47回衆院選で民意を得ているとの首相発言について、「解散の記者会館はアベノミクス解散の信を問い、選挙公約は閣議決定に言及しただけで集団的自衛権という言葉は使っていない。争点隠しのまやかしであり、眼中人無しだ」としました。
「(首相は山本さんへの答弁で)今も対案についての発言があったが、この法案は憲法違反であり、必要なのは対案ではなく廃案である。10本の法律を束ねて出しておいて、さあ対案を出せというのは毛ばりである」としました。
最後に「党派にかかわらず、参議院の良識を見せていただきたい」と語り、9月の採決での参議院与党の造反を呼びかけました。
維新の党の小野次郎さんは「維新の党は憲法の整合性の枠内で、安保法制の充実を求める。政府案を徹底的に審議したうえで、対案を示す」と語りました。これに対して安倍首相は「審議はせっそくであってはならない、と考え、95日間の延長をした」と語り、9月27日までの会期延長を正統化しました。
共産党書記局長退任後、おそらく初めて本会議質疑に立った、市田忠義さんは「他国民を殺せば、日本国民も憎悪の連鎖に巻き込まれる。若者を戦場に送らないために、稀代の悪法を廃案に追い込む」と語りました。
【同日 参議院安保特(我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会)】
2015年日米ガイドライン実施の安全保障2法案(189閣法72号、189閣法73号)が中谷防衛相から趣旨説明されました。
散会前に、鴻池委員長が「質疑は後日」と語りましたが、あす、あさって、基本的質疑がNHK国会中継入りで行われる見通しです。
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