【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

麻生太郎政権の政治資金規正法「解釈改悪」に怒り、五輪相が土建屋献金、相も変わらず自民党

2015年07月25日 16時47分20秒 | 政権交代ある二大政党政治の完成をめざして

 今週木曜日、自民党の五輪担当相が、5期連続赤字の土建屋から政治献金を受けていたとの報道がありました。これについて、五輪相の衆議院議員としての事務所が「合法である」とのコメントを発表した、とも報じられました。

 これについて、筆者が調べたところ、驚きの事実が発覚しました。

 政治資金規正法第22条の4は、「3事業年度以上にわたり継続して政令で定める欠損を生じている会社は、当該欠損がうめられるまでの間、政治活動に対する寄付をしてはならない」としています。

 そして、この政令ですが、筆者の手元にある「公職選挙法令集」は「平成19年版」なのですが、これには、

 政治資金規正法施行令の第9条では、規正法の「欠損」とは、「会社の確定した決算における貸借対照表に記載された欠損金とする」とあります。

 「~~施行令」は、政令なので、天皇陛下が公布し、官報に掲載されるものです。 

 規正法と規正法施行令からして、5期連続赤字の土建屋から現・五輪相が献金を受けられるはずがありません。

 ところが、平成20年12月10日の政令373号で改正された規正法施行令で、驚愕の改正がされていました。

 上記9条が削除され、施行令第22条が新しくでき、次のように書き換わりました。

 欠損とは、「会社の確定した決算における貸借対照表に記載された純資産額から当該貸借対照表に記載された資本金その他の総務省令で定めるものの額の合計額を控除した額が零に満たない場合におけるその満たない部分の額」となりました。

 こんな状態が3期以上続いている会社などありえません。事実上、規正法第22条の4を削除した、と言って良い、改正施行令です。

 これは施行令なので、国会での審議は経ていません。

 なぜこういうことになったかというと、第21回参院選「逆転の夏」による衆参ねじれで、解散できない状況に追い込まれた、自民党麻生太郎内閣が、土建屋に継続して政治献金を要求できるように、改正した可能性が高いと考えられます。官僚がこのような改正を主導するとはとうてい考えられず、自民党内の一部幹部が主導した、と推測されます。この改正について、当時の自民党国会議員385名(衆議院303名、参議院82名)はたぶん9割以上説明できないと考えられます。

 悪法もまた法なり。 

 ハッキリ言って、このエントリー記事で私が何を言っているのか、国会議員も含めてサッパリ分からない読者が大半だと思います。

 ただ、平成6年政治改革4法は、私の中で、強い思い入れがあります。

 私の中では半分冗談ですが、憲法に勝るとも劣らじ最高規範だという考えがあります(この一文は冗談)。

 そのうちの一文を、法律改正ではなく、政令によって、事実上、空文化されていたことを知り、強い憤りを禁じ得ません。そして、このプロセスは、行政手続法などにもとづく公文書も残っていないと考えられ、検証不能だと考えられます。同時に、土建屋と自民党の癒着により、1000兆円の借金と、地方の衰退、過剰なインフラ、ヒートアイランド化をまねいた政権交代なき政治への憤りを禁じ得ません。

 検証不能ですが、いずれにせよ、麻生太郎氏は、細川護熙さんや、羽田孜先生に謝ってほしい。

 検証不能ですが、つくづく、自民党をもう一度政権から引きずりおろさないといけないとの強い思いを持ちます。

 このエントリー記事の本文は以上です。