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かわ遊び・やま遊び雑記

アユ・ワカサギ・ヒメマスなどの釣り情報と自然観察や山菜採りなど自然の中で遊び回った記録や雑記

ぐんまのアユ事情:遡上アユには試練がいっぱい!

2009年10月01日 | 釣り一般

川で孵化して海に下ってからの仔アユが何処でどう育つかは長年の謎でした。最近の研究によって、干潟の波打ち際など浅瀬で育つことが分かってきて、埋め立ての危機に曝されている干潟などが生き物にとって大切な場だということが改めて証明されました。例えば、東京湾での生息状況については東京都島しょ農林水産総合センターの研究結果に記載されていますのでご覧下さい。

そして、海で大きく育った稚アユが春に河川の低い水温に誘われて河口付近に集まりはじめ、川の温度と海の温度が同じくらいになった頃に遡上を開始すると言われていますが、遡上を始める詳しいメカニズムは未だ解明されていないようです。

その遡上しはじめた稚アユ・・・河川構造物が何もなかった昔ならば上流になんなく遡上できて、石に付いた美味しい藻を食べて大きく育つことができたのですが、現在は遡上を始めても様々な障害物にその行く手を阻まれて、上流に辿り着くのはほんの一握りになってしまう現実があるのです。

利根川は江戸時代の利根東遷によって銚子への流れが本流となりました。この銚子河口から遡上したアユは魚道が両岸に設置された利根河口堰を遡上してきますが量はそれほど多くないようです。さらに遡上した稚アユの多くが水温や水質などの条件で鬼怒川水系に入ってしまうのではないかと推測されています。

そこで、このブログでは江戸川ルートの稚アユについて中心的に考えてみたいと思います。
江戸川~利根川ルートの稚アユが遡上を始めて、最初の難関は江戸川水閘門になります。ここには魚道が無いので水門か閘門が開いているときに通過するしか上流には遡上できません。

(江戸川水閘門の水門)


ところが近年の遡上時期は雪解け洪水も減って流量が多くないため水門が開かれることが少なくなってしまいました。(ちなみに平成18年の春は流量が多く水門が開いていた時期が長かったためか120万尾を超える遡上がありました。)そして、隣の閘門も昔ほど船の往来が多くなくなったため開閉回数が減ってしまっているのです。さらには水閘門で遡上できずに滞留している稚アユを狙って違法な釣り人やカワウが大挙して押しかけて稚アユを大量に捕獲しているのですからたまったものではありませんね。

(沢山いる密漁者、これだけいると堂々とやっています)


※河川では5月末までは稚アユの捕獲は禁止されています。しかし水閘門の上や河岸堤防にはフェンスを乗り越えてたくさんの釣り人が釣りをしています。平日でも100人くらいは居て、多い人は1000尾近くも釣るとのことです。試算してみると100人が250尾を40日間釣るとすると100万尾の稚アユが密漁されてしまうことになります。
一説では江戸川水閘門までは約300万尾の稚アユが集まってきているのではないかと言われていますので、その3分の一が釣られてしまうことになるのかも?
その他にカワウに食べられたり、水閘門を通過できないで死んでしまったりする稚アユも相当居るでしょうから、ここを上れる稚アユはどのくらいになってしまうのでしょうか?

江戸川水閘門を何とか通過した稚アユを次に待ち構えているのは利根大堰です。此処には魚道が3カ所あって昇り易いように改良が加えられたり、魚道の入り口が見つけやすいように堰の放流方法も改善されたりしてきましたが、それでも稚アユの滞留はあるようです。そして此処でも稚アユを狙って密漁者(毎年、数名が検挙されているのですが懲りないのですね!)とカワウが出没することになるのです。此処を通過する稚アユは近年では10万尾~3・40万尾程度のようです。たまに増えても120万尾がテンで、昔の遡上予想値の10分の1以下、平年は50分の1程度となってしまっているようです。

(改修前の長野堰)


さらに上流に行った稚アユは利根川本流、烏川とその支流の碓氷川などに分かれて遡上を続けます。利根川本流では渋川の坂東大堰、烏川では長野堰、碓氷川では金ヶ崎堰や板鼻堰などがネックとなってきますが、これらの堰については群馬県農政部蚕糸園芸課水産係で魚道の改修を進めていて一定の成果を上げてきています。

これでやっと藻の生えている石が多い川に辿り付くわけですが、そこにはさらに様々な試練が待ち構えて居るのです。次回からは、水温や水質・水量変化などについて考えてみたいと思います。



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