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ミステリ感想-『錆びた滑車』若竹七海

2021年02月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
一人暮らしの老母に恋人ができたらしいと、尾行調査を依頼された葉村晶。
ところが様子はおかしくついには喧嘩に巻き込まれ、いつものように怪我を負う。
その縁で出会ったある男と、ひとつ屋根の下で暮らすことになり…。

2018年このミス3位、文春6位

~感想~
葉村晶シリーズ長編。
冒頭、あの葉村晶が男と同居したことが示唆されるが、予想通りというかなんというかロマンス(※死語)めいたことが起きるはずもなく、これもいつもの不運の始まりだった。
「わたしの調査に手加減はない」はシリーズ短編の一つのタイトルだが、葉村晶という探偵を表す言葉でもある。
悪意の標的となり大切なものを失った彼女は、手加減のない調査で真実を突き止め、黒幕をじわじわと追い詰めて行く。
スラップスティック的なところも人気なシリーズだが、葉村晶の復讐譚とでも呼ぶべき、シリーズ屈指のシリアスな展開で、地道な調査が淡々と描かれるも、少しずつ明らかになっていく真相や、意外な事実とつながりの開示は相変わらず抜群で、特に真犯人の予測は困難だろう。
今回も最後まで読者を引きつける良作だった。


21.2.3
評価:★★★★ 8

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