~あらすじ~
第16回鮎川哲也賞。
解剖実習中、遺体の中から教授への脅迫状が発見された。それをきっかけに次々と奇怪な事件が起きる。
ドクター・ヴェサリウスと名づけられた犯人の目的は? そして19年の時を経て甦る壮絶な計画とは?
~感想~
こんなことを言えるほど読んではいないのだが、非常に「最近の乱歩賞っぽい作品」であった。
魅力的な発端は魅力的なだけで、さして意外な裏はない。やはりデビュー作だけあって人物の書き込みといい、役割分担といい洗練されていない。必要のない人物、不自然な行動を取る人物が多すぎた。
また、過去も動機も背景も伏線も真相も、すべてセリフで語られるだけで厚みが足りない。言葉として扱われるだけで、実際にあった物語だという質感が薄いのだ。現実に即しろと言うのではなく、物語の中で存在感を持ってさえいればいいのだが、物語の中でさえ、存在感を主張していないように思えるのだ。
展開も盛りあげるべきところで流し、流すべきところもしっかり流したため起伏に乏しい。
技巧的な面ばかり批判してしまったが、なにより本格魂に欠けていたのが最たる不満。歴代受賞作家に――といっても芦辺拓や加納朋子の名しか浮かばないのだが――流れていた、本格魂を受け継いだ作品ではない。それが本作の最大の欠点であり特色であろう。
06.10.12
評価:★★ 4
第16回鮎川哲也賞。
解剖実習中、遺体の中から教授への脅迫状が発見された。それをきっかけに次々と奇怪な事件が起きる。
ドクター・ヴェサリウスと名づけられた犯人の目的は? そして19年の時を経て甦る壮絶な計画とは?
~感想~
こんなことを言えるほど読んではいないのだが、非常に「最近の乱歩賞っぽい作品」であった。
魅力的な発端は魅力的なだけで、さして意外な裏はない。やはりデビュー作だけあって人物の書き込みといい、役割分担といい洗練されていない。必要のない人物、不自然な行動を取る人物が多すぎた。
また、過去も動機も背景も伏線も真相も、すべてセリフで語られるだけで厚みが足りない。言葉として扱われるだけで、実際にあった物語だという質感が薄いのだ。現実に即しろと言うのではなく、物語の中で存在感を持ってさえいればいいのだが、物語の中でさえ、存在感を主張していないように思えるのだ。
展開も盛りあげるべきところで流し、流すべきところもしっかり流したため起伏に乏しい。
技巧的な面ばかり批判してしまったが、なにより本格魂に欠けていたのが最たる不満。歴代受賞作家に――といっても芦辺拓や加納朋子の名しか浮かばないのだが――流れていた、本格魂を受け継いだ作品ではない。それが本作の最大の欠点であり特色であろう。
06.10.12
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