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ミステリ感想-『少女は踊る暗い腹の中踊る』岡崎隼人

2006年06月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
第34回メフィスト賞。
彼女からのプレゼント、それは両足のちぎれた赤ん坊。
連続乳児誘拐事件に揺れる岡山市内で、無為な日々を消化する北原結平19歳。過去の罪に囚われ、後悔にまみれていた。
だが、深夜のコンビニで出会った少女・蒼以によって、孤独な日常が一変する。
正体不明の殺人鬼ウサガワの出現。フラッシュバックする過去。日常が壊れ人が壊れ命が壊れる。
結平も蒼以もあなたも、もう後戻りはできない。


~感想~
舞城もどき。
一段組。方言。地方都市。過剰な暴力。無意味な殺人。トンデモ連続殺人。
維新もどき。
19歳。暗い過去の記憶。壊れた少女。テンションの高い殺人鬼。
メフィスト賞が何匹目かのドジョウを狙った作品であることは疑いない。
ミステリ的仕掛けは味つけ程度で、いわゆる青春ノワールといった類。メフィスト賞でなければ生涯読むことはなかっただろう。
文体はひねくれず、乾いたスピード感のある筆致。文学性をさっぱり志さなかったのは大きな救い。気どった文章に鼻白むこともなく、イライラせずに読み通せた。
こういった小説にありがちな、現実味の乏しい浮いた会話ではなく(十二分に浮いてるけども)無味乾燥な淡々とした会話だったのも、見るべき点か。明らかに僕の毛嫌いしているジャンルながら、一息に読み通せるだけのなにかがあることは確か。
まさかシリーズ化はないだろうが、次回作もいちおう読んでみてもいいと思えた。
……これが読めるなら、食わず嫌いの佐藤友哉も読めるかなぁ。


06.6.8
評価:★★☆ 5

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