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ミステリ感想-『看守眼』横山秀夫

2013年08月18日 | ミステリ感想
~あらすじ~
29年、看守を務め上げた男は定年退職を迎えてもなお、ある事件を追っていた。彼の「看守眼」が見据える真相とは?……看守眼
自伝のゴーストライターを手掛ける三人のもとに届いた大口の依頼。二人が失格し残る一人に依頼者は「私は恋人を殺した」と告白し……自伝
家庭裁判所の調停委員を務める私。離婚の調停に現れた女は、かつて娘をいじめていたと思われる少女とその母親だった……口癖
県警ホームページに午前五時に侵入したクラッカー。その正体と意図は?……午前五時の侵入者
地方新聞の編集が見逃した2つのミス。小さな瑕疵だったはずのそれは一つの殺人事件へとつながる……静かな家
県知事から突然、冷たい態度を取られた秘書は戸惑う。知事の態度を変えたのは一月前のある男の自殺がきっかけなのか……秘書課の男

~感想~
事件とも呼べないような些細な出来事が、裏で大きな事件・事実へとつながっていく過程がまず見事。
それも隠された事実は、作品によっては並の本格ミステリも及ばないような、飛躍しすぎだろと思うくらいとんでもない方向に吹っ飛んでいくのが面白い。
またこれだけの短い分量に込められた物語の厚み、人物造形にはいつもながら感心するばかり。
一編上げるならやはり表題作の「看守眼」で、余裕で長編にも昇華できるような魅力的な人物・題材・トリック・真相がずらりと並ぶ様は圧巻。いっそのことこの元看守を主人公にシリーズ化してくれてもいいのにと思うくらいである。


13.8.15
評価:★★★☆ 7

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