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ミステリ感想-『始祖鳥記』飯嶋和一

2022年01月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
江戸時代中期、男は日本で初めて空を飛んだ――。
ただ飛ぶことだけを夢見た備前屋幸吉の生涯を描いた、構想13年、執筆2年の大作。

2000年このミス5位

~感想~
このミス5位にランクインしたが全然さっぱり1ミリたりともミステリではない時代小説。
主人公は「江戸時代に凧で空を飛んだらしい」という事績だけが伝わる実在人物で、つまりまるまる創作のガチ時代小説なのだが、これがめっぽう面白かった。
主人公の幸吉の生い立ちから、なぜ空を飛ぶに至ったのか、それがどうその時代の人々に受け止められたか、その後どうなったか、波乱万丈の幸吉の人生が(マジで)陸海空を駆け巡り縦横無尽に描かれる。
ある程度の江戸時代の知識は必要だが、広く読まれるべき快作だろう。

それにしても、このミスにランクインしてくれたおかげで読めたことには感謝しているが、これに投票した連中は完全に頭おかしいとは思う。SF界隈ではどんな作品でも隙あらばSF認定する輩が問題視されているというが、全く同じケースであり、こんなガチ時代小説をミステリの範疇に入れるなよ……。


21.12.28
評価:★★★★ 8

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