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ミステリ感想-『サヴァイヴ』近藤史恵

2011年07月17日 | ミステリ感想
~収録作品~
老ビプネンの腹の中
スピードの果て
プロトンの中の孤独
レミング
ゴールよりももっと遠く
トウラーダ


~感想~
作者の代表的シリーズとなった『サクリファイス』、『エデン』の過去と未来を描いた短編集。
全くミステリではなくなったが、自転車ロードレースという見慣れない題材はやはり興味深く、個々の作品もタイトルに向かって一直線に進んでいく爽快感がある。
が、見かけよりはるかに過酷なスポーツなのはわかるし、選手間にいろいろな軋轢があるのもわかるのだが、ちょっと『ガラスの仮面』過ぎはしないだろうか。
ロードレースの実際も体育会系の内実も全く知らないが、行われるのは「女のやる嫌がらせ」か「少女漫画でしか見たことないイジメ」か「それは女特有ではないかというドロドロした感情や嫉妬」ばかりで、男臭いスポーツにあまりにそぐわない。このあたりそういえば女性作家だったと思い出してしまいなんともはや。
また各編も結末はにおわせるものの、結局どうなったのかは明確に描かれないものばかりで、末尾の一編はレースすらせずに暗い雰囲気のまま終わる、という短編として、短編集としてそれはどうなんだという疑問を抱かずにはいられない。
まあ、次回作も買うけども。


11.7.15
評価:★★★ 6

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