小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『VR浮遊館の謎』早坂吝

2024年04月11日 | ミステリ感想
~あらすじ~
合尾輔と探偵AI相以は、AI小説家フォースの書いたミステリゲームのVR体験会に招かれる。
7人の魔法使いによる謎解きバトルはしかし、犯人AI以相と殺人鬼・骨折りジャックに乗っ取られていた。


~感想~
探偵AIシリーズ第4弾。
前作「四元館の殺人」ですさまじい21世紀本格(※死語)を味わわせてくれた作者がそれをはるかに上回る続編を出してきた。
VRゲームこそいろいろ粗は見えるが繰り広げられる謎解きはいつもながらに丁寧。しかし本題はそこにはなく、広がり続ける物語はとんでもない次元まで突き進んで清涼院流水ばりの世界観に行き着き、清涼院流水でしか見たことない題材を用いながら生粋の本格ミステリとしてこの短さにまとめ上げたのは驚きの一言。
この強烈無比のトリックはもちろんのこと、探偵と犯人の対決、シリーズ作品として今後どうするのか先の見えない出し惜しみ無しの展開と、次が最も楽しみな作品の一つとなった。
新潮文庫nexというラノベ気味の媒体で、開始当初は軽めのシリーズと甘く見ていたことを猛省したいし、ぜひ本ミスで(今度こそ)良いところまで行って欲しいと願う。


24.4.11
評価:★★★★☆ 9
コメント    この記事についてブログを書く
« ミステリ感想-『ノースライ... | トップ | 今週のキン肉マン #448 キン... »

コメントを投稿