goo blog サービス終了のお知らせ 

小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『孤狼の血』柚月裕子

2024年01月06日 | ミステリ感想
~あらすじ~
昭和63年、ヤクザがしのぎを削る広島。新米刑事の日岡はマル暴で輝かしい実績を持つ大上のもとに配属されるが、大上はヤクザと癒着し、抗争を抑え込むためなら恐喝・暴行などあらゆる手を使うのもいとわない無軌道な人物だった。

2015年このミス3位、日本推理作家協会賞、直木賞候補

~感想~
ミステリ的にも高い評価を受けた作品だが、そんなことより何よりもヤクザ小説として最高に面白い。
無頼な大上とインテリで常識的な日岡のバディぶり、小物や脳筋から任侠まで取り揃えたヤクザと、脇を固める美人女将その他の個性的な面々が実に魅力的で、話の展開も早く、そのうえ予想を超える物語が描かれ一気読み必至だろう。
続編も2作出ており、おなじく高評価を受けていて、しかも結末を見ればすぐにでも続きが読みたくなること請け合いである。あの年表もあんなの見せられたら先が気になってしまいずるいって。

また作者は「仁義なき戦い」の大ファンだそうで、実写映画もヤクザ映画としては極めて異例な大ヒットを飛ばし、映画オリジナルストーリーの2作目も作られたそう。作品ファンとしても喜ばしい限りである。
全くの余談かつ偏見だが、作者はこういったヤクザ小説を書くようには見えず、その豊富な知識と全く違和感ない描写に驚くとともに、一昔前のいかにもヤクザ小説を書いてそうな作家たちはいったいなんだったんだろうと思う次第である。寄せに行ってたの?


23.1.6
評価:★★★★ 8
コメント