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ミステリ感想-『トスカの接吻』深水黎一郎

2008年08月13日 | ミステリ感想
~あらすじ~
プッチーニ作曲の歌劇『トスカ』上演中、主演女優のナイフが相手役の首筋に突き立った。
「開かれた密室」である舞台に、罠を仕掛けた犯人とは。
さらに新演出の予告後、第二の犠牲者が……。
芸術フリークの瞬一郎と伯父の海埜刑事が完全犯罪の真相を追う。


~感想~
『エコール・ド・パリ殺人事件』につづくシリーズ第二弾。丁寧な造りは言うまでもない。
デビュー作『ウルチモ・トルッコ』はなんだったろうかと思うくらい、メフィスト賞の良心のような、丹念にものされた作風のこの作者。
伏線回収の鬼と化した前作にはおよばないものの、今回も地味な物語かつぜんぜん知識も興味もない題材を、硬質な筆致ながらしっかり読ませるのはさすが。
真相は禁じ手というか後味が微妙に悪いのは難だが。
ともあれ今後もこるものらメフィスト勢の時代の風(?)に影響されず、我が道を進んでほしい。


08.8.13
評価:★★☆ 5
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