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小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『慟哭』貫井徳郎

2006年05月01日 | ミステリ感想
~あらすじ~
幼女連続誘拐事件の捜査は難航していた。若手キャリアの捜査一課長をめぐり、警察内部には不協和音が生じる。そんな中、マスコミは彼の私生活をすっぱ抜く。内と外の両面から苦しめられる苦境にあって、事態は思わぬ局面を迎えるが……。


~感想~
なんにも予備知識を持たずに読んだ方がいい。僕はあらかじめ「そういう小説」だと聞いていたので、真相に驚くことはなかった。
デビュー作とは思えない確かな筆力で、堅実に丁寧に物語は描かれる。刑事の捜査さながらに物語はゆっくりと進み、警察と自暴自棄の男、二つの道が交叉するとき、初めて「慟哭」の意味が明かされる。
無理してる感の漂うコメディとはうって変わり、硬質ともいえる文体でぐいぐいと引っぱる、読ませる物語は、貫井氏のイメージをがらりと変えてくれた。アンチもファンもこれは必読。良作でした。


06.5.1
評価:★★★ 6
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