Aさんが初めて来店されたのは去年の６月。5回の人工授精の後にトライした初めての体外受精が不成功に終わった時に、このコラムを読んだのがきっかけでした。
結婚4年の36才でしたが卵巣予備能を示すAMHが1.7ng/ml(42才前後)と低く、6個採卵出来た内の2個しか受精せず、その卵も育たず治療はキャンセルに。
次の周期は無排卵で生理が来たばかり。「でも、再来月には体外受精に再挑戦したいんです！」との希望でした。
基礎体温表を拝見すると、治療が長引くにつれ低温期の体温が上昇して高温期との差が無くなって来ており、月経期もなかなか下がらない。どこが低温期でどこが高温期なのか？一見分からない周期もありました。
疲れやすく、イライラ、月経血の塊があり、ご主人様も精子数や運動率が低く、疲れやすい、お腹が弱い…などここに前回の体外受精が上手くいかなかった原因があるようです。
もう少し延期するよう提案しましたが、「どうしても再来月に」とのことでリスクも承知頂いた上で、奥様には卵胞を元気にし、ホルモンバランスを調える補腎薬・疏肝薬を中心に、ご主人様には胃腸を調え精子を元気にする補腎薬をしっかりと服用して頂きました。
2ヶ月半後、「ショート法で8個採卵、6個が受精し、グレード１の胚盤胞が3つも出来ました!!」という連絡には私も胸をなで下ろしました。全部凍結したため、次周期はホルモン剤を排泄するお薬を、戻す周期には着床しやすくする漢方に変更。２度目の胚移植で無事妊娠し、赤ちゃんを守る安胎薬を服用中です。
年末に来店されたご主人様は「アリガトウゴザイマス」とずっとニコニコ。
海外在住で日頃離れているのもあってか、妊婦の奥様がとても心配なご様子で、たくさんの質問にお答えしました。お互いを気遣う姿に「本当に授かって良かったなぁ」と心が温かくなりました。
ながさきプレス2013年２月号
日本不妊カウンセリング学会
認定カウンセラー
夏苅竜子
