今年を締めくくる大一番、グランプリ有馬記念。世界一馬券が売れるレースとしても有名だが、牝馬の優勝となると37年も遡らなくてはならない。昨年のウォッカが60何年かぶりの牝馬ダービー制覇を成し遂げたが、今年は有馬記念でダイワスカーレットによる37年ぶりの牝馬制覇の期待がかけられていた。
1番人気はそのダイワスカーレット。昨年は桜花賞、秋華賞でウォッカを退け、エリザベス女王杯では古馬牝馬を完封、有馬記念ではマツリダゴッホの2着と、牝馬としてはダービー馬ウォッカよりも素晴らしい戦績を挙げた。今年はフェブラリーSを回避したあとドバイも回避。大阪杯でメイショウサムソンや後に宝塚記念を勝つことになるエイシンデピュティらを完封、ウォッカとの再戦が待たれたが、脚部不安で春は全休。
秋は2戦しか予定していないと言われ、その緒戦はエリザベス女王杯のはずだった。しかし、調子が思ったよりも良くなっていたことから、復帰緒戦を天皇賞・秋に変更し、歴史に残るレースの中で2着と健闘。そして、有馬記念へと進めた。残念ながらライバルのウォッカはジャパンカップで今年のレースを終えたため、ライバル対決は来年になってしまったため、ダイワスカーレットにとって、ウォッカの居ないこの一戦はどうしても負けられないレースになった。
2番人気は昨年のこのレースの覇者マツリダゴッホ。有馬記念が行われる中山競馬場とは相性がよく、10戦7勝で勝率70%という実績があり、それが評価され2番人気に支持された。
3番人気は天皇賞・秋でダイワスカーレットと死闘を演じたウォッカ&ディープスカイをジャパンカップで負かしたスクリーンヒーロー。それまで注目されなかった馬が今回はG1で初めて人気を背負ってのレースとなる。この馬にとってこれからが正念場と言える。
4番人気はこのレースで引退のメイショウサムソン。一流馬ならもう引退していてもおかしくない5歳という年齢のせいか、今年は勝ち星なしと昨年までの勢いが完全になくなっている。しかし、似たような状況で有馬記念を制覇したオグリキャップという馬が過去にいたせいか、力が衰えているのが分かっていても4番人気に支持された。ただ、メイショウサムソンは一昨年、昨年と春は調子が良く、寒くなると成績が落ちる傾向にあったので、オグリキャップのようにはいかないのではないかと思った。
レースはダイワスカーレットを先頭に、カワカミプリンセス、メイショウサムソンと続いた。本当にダイワスカーレットはスタート良いなぁ。これが強さの秘訣の1つなのか。1000メートルを1分切るくらいの2500メートル戦としてはやや速いペースで進むが、恐らくこれでもダイワスカーレットにとってはマイペースなのだろう。3~4コーナーにかけて、サイショウサムソンら後続が迫ってくるも、ダイワスカーレットはまったく動じずに直線に入った。しかも、4コーナーを回った時点で後続を突き放す勢いで一気に2番手にいたメイショウサムソンを置き去りにした。
直線に入ると独壇場。誰にも影を踏ませず、最後に最後方からアドマイヤモナークがものすごい勢いで上がってくるも、2馬身弱に迫るまでが精一杯。ダイワスカーレットは涼しい顔(に見える)で37年ぶりの牝馬による有馬記念制覇という偉業を成し遂げた。天皇賞・秋もそうだったが、底が見えない牝馬だなぁ・・・。純粋に強さでいうならウォッカよりも強いことは疑いようもない。ウォッカが弱いというわけじゃない。現に天皇賞・秋では2cmという差ではあるが勝っているのだから、互角と言うべきなのだが、ダイワスカーレットは終始先頭でマークされる立場にいながら、直線に入って下がるどころかさらに二の脚を使うところが強い。
短距離ならウォッカ、中距離なら互角、クラシックディスタンスならダイワスカーレットという感じだと思う。ウォッカは気性の問題で中長距離は厳しいと思う。それでも勝つのだから、ウォッカは強い。しかし、安定感でいうならダイワスカーレット。
・・・まぁ甲乙つけ難いっていうことですな。ただ、1つだけウォッカが確実に勝るものがある。それはスター性。ウォッカには何かを期待せずにはいられない。要するに”華”がある。ダイワスカーレットは確かに強いけど華がない。その違いはあると思う。
それにしてもダイワスカーレットは強かった。ウォッカともども”歴史的名馬”になったなぁ・・・。しかもライバル同士。来年もまだ現役を続けるそうなので、引き続き2頭で競馬界を盛り上げてほしいところだ。
あと1つ。
オトコ馬ども、もう少ししっかりせんかい!!!情けなさすぎるぞ!!ディープスカイくらいだろう、これから先に期待が持てるのは!!