お父さんの底力。

寅さんとか長島監督とかによく例えられるお父さん。ついに脳梗塞で倒れました。しかしマイペースさに変わりなし!

意外に辛抱強いお父さん。(H27.9.17)

2015-09-18 00:05:10 | Weblog
病室に入っていくと、今日も足を動かしたり、手を動かしているのがみえた。
今日はティッシュの箱に俳句らしきものが書かれていた
「看護婦さんが忘れていったボールペンで詠んでみたよ。」


お父さんは退屈しのぎにいろいろなことを思いつく。
病室に入ってきた先生や看護婦さんは気のせいか皆にやにやしている
いろいろ変なことやらかしてるんじゃ


あんな個室にぽつんとひとりで置かれて、TVもなにもない。
真っ白な天井と壁。
iいろいろなチューブにつながれて、体を起こすと後ろにひっぱられそうになる。
唯一の楽しみの食事は、血糖が高いためカロリー制限で、
刻んだおかずがほんのちょっぴり。
部分入歯は外したままなので、片側でしか食べれない。


あんなに自由に好きなようにやってきて、束縛が何よりキライなお父さんが、
とくにイライラすることもなく、普通にその状態を受け入れている。
私だったら、もうすごく不快でイライラすると思う。
お父さん、意外に人間できてたんだなあと思う。
それとも、ストレスを感じる神経のあたりがちょうど梗塞したのかな



お父さん、本領発揮しだした。(H27.9.13)

2015-09-14 00:00:34 | Weblog
さて、今日も集中治療室に行くと、お父さんはだいぶ元気そうになっていた。
両足の下に布団を丸めて足つぼ?のマッサージ。
麻痺した手にはタオルの丸めたのを入れて、少しでも動くようににぎにぎ。
「運動不足でなー、自分でもこうやって訓練してるんだ」
TVも何もない、集中治療室なので、ポケットラジオを聞いている。
落語をたくさん入れたiPodを先日もっていったのだが、
「全部聞いた。面白かったけど知ってる話ばっかりだったなあ。
これ、ラジオより音いいなあ」と感心している。
「看護婦さんがくるのが唯一の楽しみなんだ。男の看護士がくるとがっかりする
なんて言っている。
実際のところ、手足は枯れ木のように細くなってしまったし、尿管にもチューブ入ってるし、鼻にもチューブ、
手には点滴。微熱が続き、血糖値と血圧が高いと言う状態だが、お父さんの明るさはやっぱりすごい。


対する私は、「お兄ちゃんと話した?」
と聞かれて思わず涙が。 
帰る時には
「元気出せよ」
と言われてしまった。
これじゃ逆だよ。















最初に試されること。(H27.9.13)

2015-09-13 23:25:47 | Weblog
介護の問題で最初に出てくるのが、誰のところで見るのか、誰が見れるのか、という問題。
ここでまず、家族の仲のよさが試されるのだな、と思う。
兄弟と協力して、と言っても配偶者がいれば、そう簡単に行かない。


うちもやっぱりこの問題が出てきた。
お互いナイーブになる。
やんわりと言ったつもりの言葉を
強い言葉で言い返される。
そんなこと言ってない、と言い合う。
そっちがそういったからこっちもこういったんだ。
いやそっちが先だ。
と怒鳴り合う。
お前は意固地だという。
最近眠れないし食べれない、どうしようと言うと
バカにしたように笑い
「アナタもいい加減大人なんだから」
と取り合わない。
お嫁さんの抵抗がすごいと言うので、こっちでみるよ、というと
何勝手に決めてんだ、いい加減にしろ!と怒る。
いったいどうすりゃいいんだい。


何もかもがすれ違いでぎくしゃくする。
言葉を重ねれば重ねるほどむなしく回っていく。
話してる途中で、TVに向かって『すげー、ゴール』
とか言ってるし。
ちゃんと聞いて欲しい。
こっちの言ってる意味を理解して欲しい。
でも、もう何も言えない 
言葉のゴールは遠い!


とりあえず一言
大変だったね。よくやってるよ。
と言ってくれるだけでどんなに力になることか。
(と、すぐ認めて欲しいと思うところが子供なんだろうけど。)


仲がよかった兄が、もう決定的に向こう岸に行ってしまった気がして
悲しかった。
父を失う前に兄を失ってしまったような気がして。

やることがたくさんあるのに、何も手につかず、
貴重な休日が終わった…

まだ倒れたばかりなのにこんなことでは先が思いやられるよ

















介護の苦労をオレはよく知っている。(H27.9.10)

2015-09-11 00:32:55 | Weblog
天井をみたまま、ふとお父さんはつぶやいた。

「介護の苦労をオレはよく知っている…」

お父さんは持ち前のパワーで、
脳溢血で痴呆症になったおばあちゃんと胃がんのおじいちゃん、脳梗塞で言葉
が不自由になって車いすになったお母さんの方のおじいちゃん、大腸がんのお母さん、
のすべての介護をしてきた。



「家に病人がいる何とも言えない重苦しい感じ、先が見えないから余計にこたえるんだよなー」


最近お父さんは私によく
「ありがとうなー。」
という。
今まで
「ありがたいと思え!」
と言うセリフは聞いても、お礼を言われることなんてなかったので
気持ち悪い。

お父さんの目の色は淡いブルーグレーみたいな色になってきた。
こちらを見ている目にちゃんと私が移っているのだろうか。
と不安になる。











2重写しの風景。

2015-09-10 23:40:10 | Weblog
ベッドに寝ているお父さんを見ていたらある情景が思い出された。

昔、お母さんが病気になった時、こんなベッドにしーんとした感じで寝ていたこと。
あの時はお父さんが持ち前の体力と気力と行動力でがしがしと看病のリーダーをつとめていた。
頑丈で、殺しても死ななそうだったお父さんが、今、
お母さんと同じようにベッドに横になっている。
どんなに頑丈で元気な人でも、やがては衰えて死んでいく。
当たり前のことだけど、なにか信じられない。
まだ心構えができていない。
でもいつまでたっても心構えなんてできないような気もする。


お母さんが死んだ時も信じられなかった。
実際のところ、いつ死んでもおかしくないくらいな状態だったのに、
なぜか、その状態でずっと生きると信じていたのだ。


やっぱり生きていて欲しい。
どんな状態になっても。
そりゃ話をしたいし、笑って欲しい。
けど、生きているだけでもいいと思ってしまう。

なんでそんなに執着してしまうのだろう。
もしかしたら愛情じゃなくてただの依存心なのかな。