さて、そんなふうに介護の苦労とか文句ばかり言っている私ですが、
正直言うと、介護するという体験は貴重なものだなあ‥
とも思っているのです(余裕のある時は)。
そんなこと迂闊に言うと、
「じゃあいいじゃん」
とますます押し付けられるので絶対に口外しませんが。
何よりもいまだかつてないくらい、色々と学べているような気がする。
人生の真実みたいなものを。
と言うと少し大げさかなあ
たとえば人の気持ち。
とてもいいことを言っていても、いざという時の行動で、
その人の本当の気持ちや器がわかる。
平穏な日常では、みんないい人でなごやかに過ごせるけど、
本当のその人の人間性みたいなものに触れることはない。
それが、いざ、という事態が起こると、
とても頼り甲斐があると思っていた人が言い訳ばかりして壁を作り始めたり。
きついなあと思っていた人が意外に親身になってくれたりすることもある。
思っていたのと違う反応に、かなりショックも受けるけれど、
真実を知って、なるほどなあ〜、ひとってこういうものなんだなあ〜
と納得したりして。
何か少し成長したような気がする。
それはお父さん自身を見ていても思う。
お父さんはそれはそれは自己中で頑固でわがまま、人の話は聞かない、
すぐ癇癪を起こして手がつけられなくなる、どなり散らす、
という人だった。
ただ、昔の人なので責任感は強く、
「おれが両親の面倒をみる」
という気持ちが強かった。
事実、最後までみていた。
晩年、おばあちゃんは痴呆で、
おじいちゃんは癌で入退院を繰り返していた。
あんなにしっかり者だったおばあちゃんが
日に日にぼーっとして小さくなっていくのをみていて、
いろいろ感じたことがあると思う。
おじいちゃんはといえば、思うにまかせられらない人生にいらだっていて、
世話をしていても、怒鳴りつけられたり文句しか言われなかったという。
当時のお父さんは、元の性格にストレスも加わりとにかく家ではイライラ怒ってばかり‥
あれ、全然成長してない‥❓
しかし!しかしだ!(力説)
いざ、自分が介護を受けることになったとき、その時の自分の苦労がものを言うのだ!
介護する側の苦労が、実感としてよくわかっている。
あれ、本当にあなたはお父さんですか?と思うくらい、
「ありがとうな」
とよく言うのです。
それは、お父さん自身が介護をしていなかったら絶対になかったと思う。
お父さんの性格では、
「こんなことくらいできないのか!」
「はやくしろ!ぼやぼやするな!」
と怒鳴り散らしていたと思う。
人が衰え、亡くなっていく過程を見守り続けることや、
まわりとの関わり合いの真実を知ること。
苦労を明るく乗り越える強さを得ること。
そんなチャンスが介護にはある、と思う。
そして現代ではそんなチャンスはそうそうない。
だからこそ、子供は親の介護をするべきだと思う。
その子自身が成長するためにも。