この間お父さんが「どうしてもオレにしかわからない仕事」をしに兄をお供に
地元に帰った。(お父さんは昔、見よう見まねで有限会社をつくったのだー)
最近のお父さんは元気がなかった。
ぼーっと植木を見ていたり、めまぐるしくTVのチャンネルを回しながらも
全然内容がわかっていないようだったし、何もやる気がないようで、
こうやってどんどんぼけていくのをどうしようもできないのかなあ、
とお父さんの姿を見ると悲しい気分になっていた。
ところが地元で仕事がらみの会社を回って帰ってきたら、
昔のお父さんのように元気でちゃんとしているのだ。
疲れているはずなのに。
兄に聞くと、しみじみ言うことには
「あっちこっち回るたびに『あれ、お元気でしたか?』と声をかけられたり、
いろいろ動いているうちに生き生きしてきた。やっぱ仕事って大事なんだなあ〜。
おやじがどういう仕事を地元でしているかちょっとわかってよかった』
(謎の有限会社だった
)
だと。
それからしばらくたったある日のこと。
父のことで兄弟にムカつくことがあって、
がまんできなくて悪口言った。
黙っていると苦しくて体に毒が回りそうな気分![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_gaan.gif)
信頼していた人がそれほどでなかったときの苦しさは半端ない。
一回わかったはずなのに、毎回がっかりしてる私も私だけど、
たぶんあきらめきれてないんだろう![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
お父さんはほんとうに珍しいことに、黙って耳を傾けていた。
それでばーっと文句言ってから
「ごめんね、お父さんに文句言って。でも少し気が晴れた」
と言ったら、とてもうれしそうに
「そうか、気が晴れたか。よかった」
と言った。
歳を取ってじぶんはじぶんで変わっていないのに、回りの扱いがかわってくる。
デイでいくら親切にされても十把一絡げの老人としか見られていない。
オレはそんな老人とは違う!と思っていても
実際何事も思うようにできなくなってきて、もう終わった人みたいな扱い。
そりゃ元気もやる気もなくなるさ!と想像する![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_en2.gif)
仕事場に戻って自分を知っている人がいて、働いたり、
自分を頼って相談してくるひとがいたり、
そんなことがあると元の自分に戻って、生き生きとするんだと思う。
介護する人は介護することだけでせいいっぱいで、なかなかその人の生き甲斐に
つきあうことまではできない。
かといって、その人が勝手にやりたいように動くことは心配で
できるだけ安全にしていて欲しいと願う。
それは本人にとって牢獄のようなものかもしれないな、と思ったりする。
でもやっぱり家族としては自由にしてください、とはなかなか言えない。
だって、その後ひどくなっても、結局面倒見るのは私だもんね!
無理無理。(そこかい
)
といろいろ考えていた私に答えを出すような本を読んだよ。
「死すべき定め」(アトゥール ガバンテ)
やっぱり怪我しようが危なかろうが、最後まで自分でいたいんだなあ、と思った。
人によるかもしれないけどお父さんはそのタイプ。
あんな理想的な施設+病院が日本にもあればいいなあ。
(あるかもしれないけど多分富裕層しか入れないカンジだろうな
)