お父さんの底力。

寅さんとか長島監督とかによく例えられるお父さん。ついに脳梗塞で倒れました。しかしマイペースさに変わりなし!

天井にテレビが見える。

2019-11-10 22:03:04 | Weblog

今日は御即位のパレードの日。

病棟の休憩室の前を通り過ぎると、いつになくたくさん患者さんが集まってテレビをみていました。

まだ寝たきりのお父さんにも見せようと思って、ポータブルテレビをもっていきました。


病室に入ると、天井をじーっと凝視しています。

きたよ、と言っても反応が薄い。なおも天井をみています。

テレビをつけて

『ほら、ちょうどパレードが始まったところだよ。きれいだねえ」

とお父さんの前に差出しました。

『ほんとだ」

とほんの数秒見たかと思うと、また押し返して来て天井をながめはじめるのです。

「なんか見えてるの?」

試しに聞いて見ました。

すると、回らない口で、ほとんど出ない、ささやき声で

『うん、ほら洪水が映っているだろう。あれはどこだ?台風19号か?」

というのです。

そう、お父さんには天井にテレビが映っているように見えるのです。

前に見たテレビの映像の記憶が流れ出ているのでしょうか?

入院前もほとんど一日中テレビを見ていたので。


それからしばらくいましたが、新聞を見せても興味ない、CDでモーツアルトを聞かせても

天井をながめつづけたまま音楽を聴いている様子もない。

爪を切ったり保湿剤を塗ったりしても反応はありません。



ー玉のように目を丸くして天井を凝視していたかと思うと、目の玉が上の方に移動していき、

まぶたがほぼ閉じていく‥寝たかと思うとまた天井を凝視‥の繰り返しです。

ときどき何かを食べるしぐさをします。

口はずっと半開きで、おばあちゃんが痴呆になったときによく似た表情です。


入院して一週間でこんな状態になってしまったことに唖然としました。

一時的なものかもしれないけれど。そうだといいけれど。

何回も入院しているけれど、こんなに意思の疎通ができなくなったのは初めてです

 

救急入院させなかった方が良かったかも。と思いました。

でもどちらにせよ、入院になったでしょう。

 

一時的なものかと思い、看護師さんにも話をきいたら、もう透析始まってからはずっと幻覚がみえているそうです。

テレビついてないのに「うるさいから消してください」と言ったり。

トイレも間に合わないから、夜はオムツにしようと思っているんです。

熱が38℃台と高いせいもあるんでしょうね、お年も高齢ですし、とこともなげに言っていたけれど、

家にいるときは熱が高くてもアタマはしっかりしてたぞ

て言うか、熱あるんだ。また何かしら感染症を起こしているのか?


もうろうとしているお父さんを見ているのはつらい。

もしもう少し回復したら、透析になってもやっぱり家でみようかなと思った。

私ひとりでどこまで見れるかわからないけど。

やっぱり透析病院でぽつんとぼーっと寝ているのを想像するとやりきれない。

 






お父さんとお母さんが来たよ。

2019-11-07 21:13:52 | Weblog

今日、病院に行ってみるとちょうど透析が終わってもどってきたところでした。

気胸で入院したのですが、あまりに腎機能が悪くなっていて尿毒症もでているということで、

選ぶ余地もなく透析が開始されたのです。

 

病室に戻ったお父さんは急に歳をとったように生気もなくぼーっとしていて、言っていることが変でした

混乱しているみたいです。

「ここは〇〇(お父さんが育った県)なのか?」

「(お父さんの)お父さんとお母さんが面会に来たよ。」

ぼーっとしているのと、耳が遠いので、私の説明が飲み込めないようでしたが、

しばらくすると少しはっきりしてきて、

「ああ、随分遠くまで運ばれたような気がしたから、遠くの病院に来たかと思った。」

とつぶやきました。



「幻覚が見えたんだ。極彩色の。そのあと目の前をふわふわ、ふわふわ、何かが浮かんでいるのがみえて、

でもつかもうと思うとつかめないんだ。

お父さんとお母さんも来たよ。

『娘や息子の面倒をしっかり見なきゃだめですよ』

っていうんだけど、お前やお兄ちゃんのことはあんまり気にならなかったな。

××(弟)のことだけ気にかかってなあ。帰ろうとするから握手しようと思ったらすっと素通りしてつかめないんだ。

それで夢だと思って目が覚めた。」


お父さんはワンマンで子供の意見も全然聞かない人だったけれど、こんな状態になっても、

やっぱり父親としての責任を守ろうとしている。

面倒を見るのは子供たちではなく、自分だと考えているのだ

自分の時間が少しでもとられるのが面倒で、もう死んでも別にいい、

なんて半笑いするような弟の身をずっと案じているのだ。

親って哀しい。


またまた入院。

2019-11-04 23:38:45 | Weblog

最近お父さんがよく言っていたのが、

「のどにひっかかってものがうまく食べられない」


今日はデイサービスで食事をしていてやはり吐いてしまったようです。

「それでちょっと具合悪かったんだ、落ち着けば治ったのにデイサービスのやつ、

救急車なんて呼んじゃって!」

いやそれは私が頼んだのです。酸素濃度がどんどん下がっていると聞いたので。


救急の先生の話では、今度は肺に水が溜まっているのではなく、気胸だそうです。

レントゲンを見せてもらったら、片方の肺がすごく小さくなっていた。

さっそくドレーンで処置をしてもらってだいぶ楽になったようです。

今度の主治医は呼吸器。全科制覇しそうな勢いのお父さんです。


でも最近食欲はぜんぜんなくて、どんどん痩せてくるし、

全身がかゆくてたまらないとか訴えてたし、

どうしていいか、自分では判断できかねて、胸の痛い日々が続いていたけれど、

はからずも入院になって、ちゃんと管理してくれるんだと思うとすごくほっとします。


それにしても救急で運ばれてから入院までは毎度ながら時間かかるねー

今回は昼間に救急搬送されたので、終わったのが夜8時くらいでよかった。

明日も仕事だからねー、もう徹夜はツライ‥。

 



ひさびさに物作りに燃えるお父さん。

2019-11-01 00:07:53 | Weblog

最近お父さんはますます体力が衰え、食欲もなく、すぐ疲れてしまってぼーっと寝てばかりいます。

そんなお父さんがひさびさにやる気をみせました。

ベッドにテレビのリモコンを置いているのですが、すぐ布団に紛れたり落としたりしてしまうのです。

それでまず目をつけたのが、血糖値の針の入っていた箱です。

ベッドの横の柵に針金で結びつけてリモコン入れにしようとしたのです。

おっと失敗。箱に対してリモコンが重すぎたようで、箱が横に倒れてしまいます。

「100円ショップで使えそうなの売ってるんじゃない?買ってくるよ。」

という私を激しく制します。

いーから。オレが作る!

ひさびさにやる気が満ちています!

うーん。何か良さそうな空き箱をさがしてくるよ。


しばらくして戻ってみると、得意そうに

どうだ、これなら大丈夫!と指差したのが、

金属のドロップの箱で作ったリモコン入れ。

お父さんにとってどんな立派なリモコン入れより満足なんでしょう。

まあ、少しでも充実した時間があってよかったね

その横には私の作った、空き箱のメガネ入れを掛けて置きました

うーん、ビンボくさい