内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

ブログ ― 毒にも薬にもなる「ファルマコン」

2022-04-03 17:37:56 | ブログ

 ちょっとわかりにくい言い方になってしまいますが、ほんとうはモノローグにすぎないものをダイアローグだと思いなし、あるいは、自分では両者をすり替えたことにも気づかずに、けっこうダイアローグができているつもりで会話を続ける、あるいは、そのつもりでこのブログの文章を綴ることを私は自分に厳禁しています。というよりも、それは、そもそも、不可能なことなのだと私は思っているのです。
 日常会話のことは措くとして、このブログに関してのみ言えば、そのタイトルが示しているように、これはどこまでも「内的自己対話」に過ぎません。つまり、どこまでいっても「おひとりさま」なのです。そんな精神的「ひきこもり」状態を、ブログで文章を「公開」することで擬似的に解消したつもりになっても、それは、とどのつまり、自己満足に浸っているに過ぎません。そう、ドストエフスキーの『地下室の手記』の「書き手」のように。そこには「他者」がいないのです。そんなことをもう九年間も続けています。
 でも、多分、当面、やめられない、と思います。ブログは、私にとって、「おひとりさま」状態で恍惚となる麻薬である、と同時に、捌け口のない悪感情を解毒する治療薬なのです。プラトンが『パイドロス』で言っていた「ファルマコン」の一種なのだと言ってもよいかもしれません。
 良い効能も確かにあるわけですから、むげに排除すべきものでもないでしょう。しかし、悪作用も確かにあるとすれば、その「服用」には、本来、「魂の医師」による処方箋が必要なのでしょう。ところが、ブログという「民間薬」は、処方箋なしに、誰でも、しかもタダで、いつでも入手できてしまう。仲介料も斡旋料も必要ありません。
 もしかすると、このブログを始めたとき、私は、それと知らずに、悪魔に魂を売ってしまったのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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