旅とエッセイ 胡蝶の夢

ヤンゴン在住。ミラクルワールド、ミャンマーの魅力を発信します。

今は、横浜で引きこもり。

Seoulで二泊 

2016年06月29日 08時37分50秒 | エッセイ
Seoulで二泊   

① 韓国へ行くぞ。
 韓国へ行ってきた。思いの外楽しい旅だった。現在の職場では人数が少なくて、3日以上続けて休むことは難しい。春の桜シーズンに京都一人旅(往復深夜バス+ゲストハウス)を予約したが、直前に同僚の親族に不幸があって取りやめた。キャンセル料5千円。今回はカミさんと台湾旅行を計画したが、台湾はもっと早くから申し込まないとチケットが取れない。カミさんの都合で土・日を含むのもネックだ。えい、面倒。なら一人で行く。
 一番安いのは韓国だ。羽田発着はやはり高い。成田で時間の都合が良いもの、1万6千円、H.I.S.これだ。インターネットで申し込んだ。結局成田と仁川の空港使用料、ホテルの一人使用追加料金(4,000円X 2日)、帰り便の変更(早朝便から午前便へ500円)Total30,500円也。含まれるものは往復の航空運賃(燃料チャージ込み)と2泊のホテル代金だ。
 韓国は遊園地の商売の時に、確か4度行き釜山を含めていくつかの地方都市にも行っているが、あまり自由な時間はなかった。以前は仲の良い友人がいたし、中々エキサイティングな街で色々な思い出が残っている。しかし今回ガイドブックを買って日程を考えて困った。うーん、行きたい所が無い。台北ならあれもしたい、ここも行きたいとなるのに。ガイドブックはショッピングにグルメ、エステに韓流、KPop。こじゃれたお店、ブランド品を安く効率よく買う方法、おしゃれな民芸品の数々、名物料理の店。マイった。そのどれ一つとして興味がない。ガイドブックのほとんどに意味がない。
 それじゃああれね。ネットで調べると、あったあった。クーポン券までついているが、値段は書いていない。まあ口コミで分かったが。よし、一つはこれ、着いた日の午後に行こう。そして翌日は?終日空いているけど。垢すりは台湾と香港でやった。台湾では楽しく気持ちよく、香港ではぼられて不愉快な思いをした。エステと足裏マッサージはベトナムでやったな。もういいや。ソウルで健康ランドに行ってもしょーがないし。
 国立博物館に行くことにした。ホテルから数駅、凄い敷地で広大な建物だ。世界で4-5番目に大きいらしい。料金は無料、日本語ガイドツアーが時間指定で日に何回かやっているが、それはパス。午後は王宮?うーん、今一つ魅力に欠ける。博物館で散々歩き、広い王宮でいやってほど歩くのはシンド。市場に行くか。

② LCL
 飛行機は済州航空(Jeju Air)、LCL(格安航空便)に乗るのは初めてで楽しみだ。行きは成田(11:50)⇒仁川(14:30)、帰りは仁川(10:35)⇒成田(12:55)だから3日目は帰るだけだ。韓国と日本の間に時差はない。Jeju AirはLCLなのに預け入れの荷物が15kgsまで無料だ。自分のバックは小さいので機内に持ち込めるが、まあ時間はたっぷりあるから預けよう。行きは5kgs、帰りは9kgsにしかならなかった。
 座席はひざがつかえるような事はなく、特に行きは3人掛けに1人で快適だった。時間も短いからね。座席は通路を挟んで3人ⅹ3人、帰り便はほぼ満席だった。CAはかわいいが制服はファミレスの店員に近く、英語がうまくない。自分は大てい最初韓国人と思われた。機内では生ぬるい水しかくれない。行きも帰りも昼食時で、カップ麺とレトルトのビビンバ丼を往復頼んだ。共に5$、500円、5,000ウォン、30元、どれかの通貨で現金払い。カップ麺はラーメンというより、辛味汁うどんでまずくはないがうまくもない。キムチとタクアンがつく。このタクアン塩気が全然なかった。ビビンバはレトルトのご飯を温めて具や辛味味噌などを入れる。これはキムチと何故か海苔スナック(結構大きい)付きだった。行きも帰りもパンを買っていたから一緒に食べた。音楽や映画のサービス、一切無い。
 Jeju Airのカウンターに出したのは、パスポートとH.I.S.の日程表(日本語)をプリントアウトしたものだけ。こんなんで大丈夫かいな、と一抹の不安があったが、行きも帰りもその紙切れ(裏紙使用)一枚で何の問題もなかった。

③仁川国際空港
 仁川国際空港に着いた。以前は金浦空港だったから、ここは初めてだ。仁川は市内から金浦よりも遠いのだが、仁川⇒金浦は空港鉄道で約30分、ソウル駅までは金浦からさらに30分かかる。成田と比べれば便利で近い。仁川空港の立派なこと。成田では第三ターミナルから乗ったが、成田が途上国の田舎空港に思える。これでは東アジアのHub空港の地位を奪われるのは当然だ。仁川では入国、荷物の受け取りともすんなりと進み、ちょっと離れた所にある駅からソウル駅までは一本で行ける。一般4,250W(56分)、直通だと14,800W(43分)らしい。
 単純に言えば100W(ウォン)が10円、1,000Wが100円、0を一つ取れば良いのだから分かりやすい。正確には空港での両替のレートを計算すると、15,000円が153,000W,別の両替では、10,000円が108,500W。1/10で間違いない。
 
④電車
 今回の旅の移動は全て電車を利用した。地下鉄路線図と書いてあって、確かに街の中央を流れる漢江では川の下を一気に通過しているが、しょっちゅう地上に出るので電車と呼ぶに相応しい。韓国は日本ほど人口が密集していないのか、平野が多いのか、ちょっと郊外に出ると案外自然がある。それも田畑というより空き地や湿地帯が目立つ。特に仁川の近くは相当な田舎だ。
 ここで切符の買い方を教えよう。自動販売機にはハングルの他に英語、中国語、日本語の選択ボタンがある。日本語ボタンを押して駅を選び、人数を押せば料金が表示される。近い所は一律135円(1,350W)+カード代50円=185円だ。黄色かオレンジのカードがお釣りと一緒に出てくる。改札ではタッチパネルにカードを接触させ、バーを押して入る。バーは自動ではない。ある駅で関西弁の姉ちゃん3人組がバーが動くのを待っていて、「押すんだよ。自動じゃないよ。」と大騒ぎ。
 最初にPasmoやSuikaのように2千円とかデポジット出来れば良かったのだが、よく分からずその都度買った。定期というのがそれらしいのだが、日本語間違ってね。駅名選択がちょい曲者だ。路線と駅番号でも良いのだが、番号は知らないし一覧表もない。アルファベットで駅名を選ぶ。手持ちの路線図には漢字とハングルしか書いていないので、駅名のアルファベットを調べる必要がある。ここで初めてガイドブックが役に立った。MやYで始まる駅名には似たものが多いので慎重にしなければならない。金浦はKimpoではなくGimpo(魚かよ)なので、Kでいくら調べても出てこない。
 また乗り継ぎが問題だ。改札を出ないで別の路線に行くことが出来る場合と出来ない時がある。プラットフォームの反対側なら出来たのかもしれない。しかし旅人はあれよあれよと改札を出てしまい、まだ料金は残っているはずだと、目的の路線の改札を押すとブブー、ザケンナヨ。そんなのが2度、3度あって新しく切符(カード)を買い、カードが5-6枚溜まった。一枚50円、これどこで返金出来るんだ。コンビニとかでもいいのかな。すると見つけました、Cash Refund、払い戻し機。カードを入れると日本の500円硬貨に良く似た500W、50円が小気味よく落ちてくる。ヤッタ、こりゃ楽しい。すると返金されずに戻ってくるカードがある。これは未だデポジットが残っているんだな。その通り、次の駅まで乗れた。
 電車は路線によって形状が違ったけれど、どれも次の駅の表示とアナウンスがハングル→English→中文→日本語の順でなされる。実に分かりやすい。東京オリンピック大丈夫かいな。日本人でも聞き取りにくい変なアナウンスの駅名だけじゃ、電車に乗った外国人は困るだろうに。逆方向に乗らないように、次の駅名のアルファベットは把握しておく。流石にハングル表示の路面バスは使えないが、この鉄道網なら全く困らない。さほど混んでいないから大てい座れた。電車に乗ってさり気なく人間観察をするのが面白い。
 さてホテルのある駅(ソウル駅から一つ目だが、結構郊外)に着いた。午後4時頃だ。あいにくホテルの地図をプリントアウトした紙を忘れてきてしまった。ホイ、しまった。駅から歩いて5分と書いてあるが、右か左か。駅前のコンビニでミネラルウォーターの大きなボトルを買い、ホテルを尋ねると愛想の良いお姉ちゃんが、別の買い物客にも確認して方向を教えてくれた。中々にきれいな街だ。おいしそうなレストランやパン屋、小さなスーパーとダンキンドーナッツがある。このダンキンドーナッツはソウル市内にやたらと多い。
 二度目に尋ねた通りすがりのお姉さんは、その看板が見えますか?ホテルはそこから目と鼻の先にあった。少々暗い印象だが、しっかりとした建物だ。1階にレストランがあるがcloseしている。シンプルな部屋は気に入った。

⑤明洞(ミョンドン)実弾射撃場
 本日のメインイベントがこれだ。明洞は渋谷か新宿か、平日の夕方なのにすごい人だかりだ。こじゃれたハイセンスの店が並んでいる。ああ、こういう所は好きじゃない。人混みも嫌いだ。ただあの1m位の長い竹串に点々と刺した焼き貝のような、屋台のテイクアウトは気にかかる。射撃場の地図はクーポン券と一緒にプリントアウトしてきた。その地図を参考にして探すが、見つからない。散々歩き廻り、人に聞いても要領を得ない。とにかく何か食うかと店に入った。食事のことは後で別記しよう。
 レストランの親父に聞いても、韓国語であっちの方だ、あっちにある。あっちって明洞の中心、さっきからずっと探していた方向じゃん。もうGive upするか、人混みにうんざりしてきた。最後に店の前に座り込んでいる若者に聞いた。Turn right, turn left.やっと明快な答えが返ってきた。右に曲がって左、あった!やっと見つけた。やっぱりこの地図おかしい。
 受付に行くとカーキ色の服を着たお姉ちゃんが、日本語で説明してくれた。さっきまですごく混んでいたそうだ。遅れて到着して正解か。この射撃場はピストルのみで、4千円で10発+クーポン使用別のピストルで2発。8千円で2種x30発、別のピストルで5発(クーポンサービス)、1万円で忘れた。8千円3種35発に決めた。イタリア製38口径の   とWalther, Lock Perfection、お巡りさんが持つような回転式のSmith&Wessonの3種にした。待つことしばし。他の客も日本人だな。
 防音の耳あて、メガネ、防弾服を身につけ扉の向こうに行き、的を2種類選ぶ。的は普通の円のものと、テロリストの上半身といったものにした。何m離れているんだろう、聞くのを忘れた。随分遠くに見えるが25mくらいか。インストラクターのおっちゃんが銃を用意し、弾を込めて正面目の位置より下の所にチェーンをつけて固定する。それを持ち上げて撃つ訳だが、チェーンは別段気にならない。しかしこれでピストルを持って振り返り、インストラクターをHold upすることは出来ない訳だ。
 隣で撃っていた客の的が手元に戻ってきたのを見ると、全体に弾痕が上にずれている。反動で銃口がハネ上がるのかな、と思い抑え気味にして照準を合わせ、的の顔の真ん中を狙って引き金を引いた。バンッ。音はすごいはずだが、耳あてで大きくは聞こえない。続けて心臓、頭、手などを狙って次々に撃った。バン、バン、バン、バン。生まれて初めて銃を撃ったが、別段反動は気にならない。手にかかる衝撃は意外なほど小さい。
 とはいえ、紙の的でも破壊力の大きさは分かる。38mmの弾丸は小さくてきゃしゃだが、体に食い込んだらこりゃたまらないな。銃を取替え的を代え次々に撃った。バンバン、意外に詰まらん。リボルバーのピストルでは薬莢が飛び迫力があったが、まあそれだけのことだ。後悔はしていない。満足感はあるが、もういいやという感じかな。的がスイカやビール瓶なら面白いだろうな。
 みんなもっとじっくり撃つのだろうか。受付に戻ったら、えっもう、とお姉さん。15分位で終わったようだ。的中率は88/100で合格まであと2点だった由。反動は気にならなかったと言うと、それなら45口径いけますね。ダーティーハリーか。ピストルの写真を1枚サービスで3枚くれた。これでソウルの第一日目は終えた。好好。





⑥ 国立中央博物館
 ホテルのある駅から一度乗り換えて博物館のある駅で降りた。2番出口から博物館に直通の地下通路があるのは分かっていたが、どうやっても2番へは行けない。いったん地上に出ると、博物館とは反対側だ。きれいな街だな。一度地下に戻り2番出口を探すが改札を通らないと行けない。仕方が無い。1番出口から地上に出て、カンカン照りの道を歩いて博物館に向かった。しかし相当先の方までそれらしき建物は見当たらない。
 鉄条網に囲まれた敷地がずっと続いている。軍事施設のようだ。門を警備している兵隊(?)に聞くと、知らないと言う。えっ博物館直ぐ近くだろ、何で知らないの。30代の清楚な女性に尋ねると、この先だと言う。彼女も同じ方向へ行くらしい。きれいな英語を話す人だ。道々雑談を交わした。韓国では英語が通じる率が、ざっと日本の3~5倍といったところか。特に若い人は大抵通じる。男性は兵隊に行っているから物怖じしない。旅人には助かる。
 10分ほど歩くと博物館の敷地についた。彼女とはそこで別れたが、感じのよい人だった。どれが博物館?あれかと近づくとCoffee shopじゃん。博物館は敷地の奥の方にあって道路からは見えない。とてつもなく大きくて、周りは緑地になっている。池があり、中国風の東屋が池に張り出している。緑地の奥には大きな石造遺物が点々と展示されているようだが、行かなかった。暑いし広すぎる。博物館に併設してイベントホールや子供博物館、図書館などがある。博物館に入ると吹き抜けの陽光にあふれた広場があり、数十mの石塔が展示されている。展示室は中央大回廊の左右にあり、建物は3階建てだ。
  課外授業なのか、子供たちの集団がいくつか目立つ他はガラガラだった。受付に寄って日本語と表示されているカウンターに近づくと、この旅行一番といえる可愛らしいお嬢が満面の笑みで迎えてくれるが、入場は結局何の手続きもない。入場は無料で、カバンの持ち込みOK、ストロボ無しで写真撮り放題、パンフレットをもらって退散した。
 展示について話そう。1Fは先史・古代から始まり、部屋別に夫餘・三韓、高句麗、百済、伽耶(この字に人偏付き)、新羅、統一新羅、渤海、高麗、朝鮮と続く。この国の古代~中世では馬に乗って弓矢を主兵器としてきたことが分かる。小さな勾玉もあって倭国との繋がりが見える。また碑文等を見れば漢字文化圏であることがよく分かる。銅鐸、銅鏡、矛・剣、日本とよく似た(こっちが先生)文化である。片手で持つ短めの立派な剣が目に付く。取っ手の先端は広がっている。
 2Fは右側には寄贈者の名を示した展示室が11ある。反対側は書、絵画と仏教絵画。9mの野外儀式用の仏画は大迫力。歴代の王・王妃の肖像画は形式が定まっているようだが、18-9世紀に描かれた王妃(老婆)の絵は残酷なまでに写実的で、ここまで老いを描くのは悪意があるとしか思えない。まるで馬鹿殿に描いたゴヤのスペイン王朝画を思わせる。王様の被り物や服を見て思うのだが、これじゃあ閻魔大王だ。両方とも王だからよいか。
 花鳥風月の絵はそれなりに美しいが、日本で今、若冲展をやっているのがイカン。あのような大胆なオリジナリティーと迫力、感動はない。というか若冲や北斎が別格なんだ。むしろ役人が分厚い本に印刷のように書き込んだ、祭事や式典の絵や記録が面白い。B4サイズほどにページに行事の行列等が、びっしりと彩色されて描かれている。行列の配置、人数、持ち物、服装、楽隊の人数、楽器の種類と配置等々、後の人がこれを見てそっくり踏襲したのだろう。何でそこまで形式に走るのかは分からないが、当時の様子がありありと浮かんでくる。音まで聞こえてくるようだ。絵の彩色は昨日描かれたもののように鮮やかだ。他のページを捲ってみたい。
 さて3F、正面から見て右側はインド・東南アジア、中央アジア(見事なガンダーラ仏がある。)、中国、日本。左側がこの博物館のハイライト、仏像、金属工芸、青磁と白磁。なかなかに優れた仏像が部屋一杯に置かれている。金属性の半迦思惟像は白眉。漆工芸の箱やタンス等も優れ物が多いし、展示の量が半端ではない。青磁、白磁はこれでもか、まだか、まいったか、コンニャロと展示されている。焼き物大好きにはたまらんだろう。無地とは限らない。鮮やかに彩色されているものもある。
 この博物館、全部見ると結構疲れる。でもね、正直ヒエー、ブッ魂消たというようなもの無いな。ごめん、でも台湾の故宮博物館の方が凄い。











⑦ カジノで勝負
 午後からはカジノに行った。ガイドブックを見ると、ソウル市内には3つの大きなカジノがある。その内の2つはちょっと郊外にあり、一つはソウル駅前にある。歩いて10分のHilton Hotelの中だ。Hilton Hotelは丘の上にあった。ソウルの街には小高い丘がある。そこにはSeoul Towerが建っているのだが、ヒルトンはその手前の丘という感じだ。かなり傾斜の急な坂で、車は2速でなければ登れまい。
 そのヒルトン直下の崖沿いに、相当汚く暗く狭い家屋が階段の両側にびっしりと建っていて、洗濯物が軒先にずらっと干してあった。カジノは普段着で行ったから何か言われたら嫌だな、と思ったが中に入るとヨレヨレのポロシャツを着た中国人のおっちゃんばかりだった。このカジノは外国人しか入れないようだが、客は見たところ99%は中国人のようだ。
 残りの1%は自分だが、自分が1万円で遊ぼうとしているのに対し、彼らは100万円で遊んでいる。このカジノ、以前はホールだったんだろう。ステージのように高くなっている所にスロットマシンが並んでいる。現金を入れるとマシンはピュンピュン吸い込むが、一回のベットの金額が大きい。500円、千円でないと回転しない。5分で5千円が消えた。こりゃたまらん。
 もっとレートの小さいマシンに移り、勝負再開。マシンを代わったり中断する時は、紙切れをプリントアウトする。その紙をマシンに入れれば同じ額でリスタート出来る。マシンを移ってから数回目、何が当たったのかジャカジャカと保有点数が上がった。8xxxxW、8千円になったかな。でも8千円じゃあしょーがない。200~500円で勝負を繰り返す。直ぐに7千円台になったが、減りだすと小当たり、中当たりが出てなかなか7千円を割らない。6千円台に入ってもまた7千円に戻る。1時間ほど一進一退を繰り返した。ところが6千円台が定着すると減りが早くなった。
 マシンを移動したりまた戻ったり、あーあ6千円を切っちゃった。タバコを吸いに行き、プリントアウトした紙をよく見るとどうも0が一つ多い。560,000W、あれ5万6千円?すると一瞬だが8万円になっていたんだ。それなら直ぐに換金すれば良かった。では最後に一勝負、レートの高いマシンに戻って端数の6千円を賭けたが、5分で無くした。5万円分の紙切れを両替カウンターに出すと、チャッチャッ15秒で5万W札が10枚戻ってきた。感覚で言うと、5万W札が日本の1万円のようなものだから10万円勝った気分だ。
 それなら8万円で止めておけば良かった。そうそう当たるものじゃあないことは、この1時間半ほどで分かった。1万円はマシンに飲まれたから、純益は4万円か、いいね。ちなみに更にハイレートのスロットマシンが奥の方に置いてあったが、昼間のせいか誰もやっていなかった。
 
 思いがけぬ所得を持って南大門の市場に行った。数年前に燃やされた門は、再建されていた。服・日用品・食品・野菜や肉魚がごっちゃに売られていて、掘っ立て小屋のような食堂が並んでいる。この市場狭くてごちゃごちゃしていて、人に溢れているが明洞と違ってこっちの人だかりは好きだ。乾物屋や地下の菓子屋巡りをして、お土産を買い込んだ。イカの燻製、生姜を干して砂糖をまぶしたもの、ポテトの菓子(これは500円で100袋ほど入っていて嵩張るがうまかった。)韓国のり等を買った。なにしろトランクはスカスカだ。



⑧食事
 以前よく一緒に仕事をした友人が言っていた。焼肉は日本の方がうまいと思うな、特にタレがよい。彼は何でもお国自慢で韓国一番だったが、食事に関しては日本に軍配を上げていた。一人旅では相手に合わせる必要はないから、何をいつ選ぼうが自由だ。辛いのまずいの言われない。初日の明洞で食べたのは豚野菜餃子鍋、900円といったものだ。キムチ、水キムチ付き。あれっタレがほんのちょびっとしかないぞ。
 ご飯も無いなと思っていたら、後で麺が出てきた。野菜はしょせん野菜、豚肉は薄くて量が少ない。安いメニューを選んだからな。タレがないから何を食っても薄味だ。ところがあらかた食い終わって鍋のスープを飲んでみて驚いた。こってりと素敵なスープになっている。ひゃー旨い。でも何で?具は全くどうってことなかったのに。最初の湯に何か入っていたのか。そこに麺を入れて食ったが、ラーメンのような麺でこれも良かった。85点。

 朝食は2回、最終日の朝は早かったので前日パン屋でパン(ソーセージドック、玉子サンド、チーズパン)を買っておいた。案外いい値段(650円位)がしたが、固めのコッペパンにサラダとソーセージがビッシリ、ムチムチに入っていて食い応えがあった。日本のパンの1.8倍のカロリーはありそうだ。もう一回は朝からやっている麺屋に入った。おばちゃんが大きな鍋に湯をたっぷり沸かして麺を茹でる。様々な具が選べるので、壁に貼ってある写真を見て選び、これっと指指した。出てきた麺は見たところ天ぷらうどんだ。メインにエビが二つ、他に細々した具が乗っている。つゆは薄味で、そうこれは焼肉やで出るワカメスープだ。麺はうどんそのもの。ところが海老が違った。天ぷらではなく、エビフライだ。まあ美味しいよ、辛くはない。タクアン、キムチは取り放題。450円はまあいいか。75~80点。

 二日目の夜はどこにするか決めていた。駅とホテルの間にあるチキンの店が何ともうまそうだったんだ。この店は中に入って分かったのだが、飯屋というよりビアレストランというのが相応しい。ちょうど端っこのテーブルに置いてあった兄ちゃん二人分のまかない飯、野菜と肉の炒め物が実にうまそうだった。チキンは4-5種類があるが、結構いい値段だ。一皿1,500円する。だけどカジノで儲けたから構わない。中ジョッキの生ビール300円。チキンは2種類を半分づつにしてもらった。付き出しに乾き物のスナック菓子等が出た。サクサクしてうまい。全体に韓国のお菓子は美味しい。
 運ばれてきた皿を見ると、おっと思う分量だ。色々な部位のチキンが大皿に山盛りになっている。一人で食いきれるかな。一つは辛いのもう一つは辛くないのを頼んだ積もりだったが、結局両方辛かった。手と口をたれでビチョビチョにしてかぶりついた。うまい、辛い。思った通りだ、こりゃあ美味い。口の中がヒリヒリするから生ビールをグビリ、チキンがたくさんあるから調整しながら飲まなくちゃ。骨からチキンを剥がして平らげ、30分はかけて食い尽くした。フー満腹だ。これは90点。


 博物館のレストランの食事が美味しかったと、口コミで書かれていた。しかし値段を見ると高い。1,500~2,000円はする。カジノに行く前だったので止め、博物館の前にあるCoffee Shopに行った。メニューはパスタにピラフといった軽食だ。昼飯弁当500円というのがある。これにした。四角い金属製の箱にご飯、目玉焼き、炒めたカットソーセージ、味付けしたジャコ少々とキムチ。そしてキムチとタクアンは別に取り放題。キムチは弁当の内と外は同じものだ。ご飯は冷たい。まずくはないが、日本ではこの組み合わせでは商品にならないな。ご飯が少なかったので、向かいのコンビニでおにぎり80円を買った。40点。

⑨Korea now
久しぶりの一人旅だが、いいねいいね、一人の旅は気楽で楽しい。連れが感動したり楽しそうにするのも良いが、射撃にカジノじゃあねー。カミさんと来ていてあれだけ乗り換えで間違えたら顔が鬼になっている。

・韓国の人は概ね親切で、特におっちゃんがそうだったが、若い男の中には、「二村(Ichon)に停まるかって、そんなの俺が知る訳ないじゃん。」と横柄なのもいた。
・若い女性のリアクションが見ていて楽しい。女性同士が仲がよい。スマホを一緒に見ていて、何が面白いのか足をバタバタ、隣の友達の腕に触る。そう、この国は女の子同士のボディータッチが濃いいんだ。別にレスビアンではない。ユン・ソナだったか、日本で同じように女の子に接したら白い目で見られてショックだった、と言っていた。
・しかし仕事で行く時と違って、夜が暇だな。しかたがないから衛星放送で日本の番組を見ていたよ。ニュースやトト姉ちゃん、大河ドラマを見てしまった。
・タバコが高い。450円もする。吸う人は多いが喫煙コーナーが限られているので、ビルの角などにおっちゃんがたむろしてスパスパやっている。何故10本入りの薄いタバコが売られているのか、値段を知って納得した。
・行きの成田での預け入れバックの検査は厳しかった。ポーチに入れて奥の方にしまったライターとデジカメの予備電池が見つかってしまった。ライターは1ヶは手持ちで機内に持ち込めるから、カバンには入れないように。帰りの仁川の検査はさほど厳しくはなかった。

 帰り便は1時間遅れた。安全確認とのこと。出発ゲートが2度変更になり、建物の端から端まで1kmほども歩いた。英語・日本語のアナウンスはない。やっと乗った便は、空港内で迷っている客のために更に遅れた。結局朝6時半にホテルを出て家に戻ったのは17時、丸一日を費やした。でも俺は帰国の移動も旅の内だと思っている。

⑩ 日韓美人度チェック
 以前韓国を仕事で旅した時には、明らかに韓国の方が美人が多いと感じた。今回の2泊3日ではそうでもなかった。どっこいどっこいの引き分けだ。日本女性もかわいくなったのか。以前はビジネス街を中心に歩き、今回は地下鉄や繁華街、下町を歩いたという違いはある。ただ一つ言えるのは韓国には老いも若きもデブはいない、ということ。
 中年~初老の女性でストトンと太ってしまうのは、日本の女性の方だ。韓国のおばちゃんは太らないが顔がしわくちゃになる。15年前の韓国では、茶色い口紅が流行っていて無気味だったが、今は普通。そう言えば制服の女学生って見た覚えがない。私服の学校が多いのかな。女学生と言えば、ベトナム(アオザイ)だよな。

 
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シニョール、キタヒマのカバンには武器がある。   

2016年06月29日 08時35分53秒 | エッセイ
 シニョール、キタヒマのカバンには武器がある。   

 南米のどこぞの空港で出発を待っていた。すると放送が流れた。「シニョールキタヒマxxx」何じゃい。
 カラテキッドで宮城(Miyagi)さんは、ミヤジじゃない、ミヤギだと怒っていたが、EspanÔlでJは濁らない。Japanはハポンだ。だからキタヒマになっちゃう。ジジイはヒヒイだ。でも大丈夫、ババアはババアだ。ついでにHは発音しないから、Hotelはオテル、本田も恩田もどちらもオンダ。Hyundaiはユンダイ。
 さて係員に名乗り出ると、カウンターに連れて行かれた。ちょっと剣呑な雰囲気だ。「何があったんですか?」「シニョール、貴方のカバンの中からArms(武器)が見つかった。」「えっ?」あっそうか、あれだ。
 間もなく出発ゲートのカウンターに自分のカバンを担いだ男が現れた。仕事の資料が入っているし、2週間程度の出張なので結構重い。運んできた男は息を切らしている。床に横に置かれたカバンの鍵を開け、よっこらせっと広げた。周りを囲む数人の空港職員が緊張して半歩下がる。
 出てきたのは、ベルトに差した2丁拳銃、息子へのお土産のオモチャだ。安堵の笑いが流れる。運んできたポーターのひげ男も笑った。彼にチップを渡して釈放されたが、その後荷物検査に引っ掛からないように、このオモチャを紙に包み袋に入れて、ファイルとファイルの間に仕舞って旅を続けた。
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 出来ない奴ほど得をする。

2016年06月29日 08時34分57秒 | エッセイ
 出来ない奴ほど得をする。

 会社は不合理だ。仕事が早くて出来る奴は、こき使われて次々に仕事が廻ってくる。(でもそれは結局悪い事ではない。)仕事が遅くて融通の利かない奴には上も仕事を割り振らないから、残業も少ないし出張もない。それでいて給料・ボーナスにさしたる違いはない。
 出来ない奴に限ってプライドが高くて、これはこうだと決めつける。廻りから見ると何だか分からない基準を持ち出し、そんな事も分からないのかとふんぞりかえる。工場なんかでそのタイプが多い。信じられないが、本人は自分が有能なのに廻りに見る目が無い、などと嘆いている。コミュニケーション能力に欠け、物事を客観視出来ない自己中心で自分愛の強いヤカラなのだ。それでもその人にしか出来ない技能があれば良いが、そうでなければ最悪だ。
 面倒くさいから廻りは関わり合いを最小限にして放っておく。仕事が少ないと余計に不平を言う。問題児を抱えるのはどこでも嫌だから、異動することもない。その間出来る奴はかけずり回り、優秀だから引き抜かれて異動も多い。業績が上がっていて事業が好調なら、これで特に問題は起きない。もし世の中の成長期に当たってそのまま定年を迎えるなら、出来ないで威張っていた奴の方が得をする。
 しかし社会の動きが早く、長い成長が続くなんて時代ではない。もし会社が危うくなったら、出来る奴だけ拾われる。社外の人も案外人を見ているものだ。でも40歳を超えているようなら、二人共捨てられる。人望とかマネジメント能力なんてものは、他所からは中々分からないし、評価の対象としては低い。
 出来ない奴は結局、楽は出来るが得をしている訳ではない。やらない事が多ければ、出来ない事が更に増えて行く。五年十年経つ内にその差は大きく開く。会社に来て屁理屈を吐いて頼りにされず、全力を出すこともなければ、そんな人生詰まらない。

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デパートの外商と落語家の息子   

2016年06月15日 17時46分03秒 | エッセイ
デパートの外商と落語家の息子   

 今ではずい分斜陽化したが、それでも老舗の百貨店の権威は残っている。特に地方都市にその傾向がある。デパートの花形部署はオーダーの紳士服売り場や、家具売り場もあるが何といっても外商部だ。デパートは基本的に何でも売っているのだから、客のお金持ち(昔は税制が優遇されていたのだろう、開業医が多かった。)の衣食住、冠婚葬祭、何にでも対応できる。客の方は少々値段が高くても包装紙は見栄えがするし、時間と手間を節約できるメリットは大きい。苦労を重ねた創業者なら物の値段にこだわるだろうが、お医者さんなんかはそうでもない。
 外商部の社員の抱える数百人いる顧客の内、一人の娘が結婚するとしよう。結婚式の引き出物を頼まれたとする。3万円のものを500人分(金持ちなので)としたら、それだけで1,500万円の売り上げだ。ところが金持ちの客をたくさん持って、毎月多くの売り上げを計上する社員でも、給料はあまり高くない。同年輩の商社やメーカーに比べると、デパートの給料は安い。外商部員は自身も金持ちの息子が割りと多かった。親戚縁者だけでも結構な売り上げになるし、金持ちの心金持ちが知る、というものだ。お金持ちは、貧乏な家庭出身の苦労してきた青年、なんてのが別段好きじゃあない。第一話しが合わない、詰まらない。
 しかし努力型のセールスマンの中には独立を試みる者が意外にいた。自分にはこれだけの顧客がいるし、毎月X千万も売り上げているのに給料は固定でボーナスもしれている。一人でやったら、月数百万の売り上げでも大もうけだ。そこで時計、宝石、家具等の歩合制の会社に入ったり、自分で会社を始めたりする。会社勤めならよい。当てが外れても生活は出来るし、最初は期待外れで嫌味を言われても後で取り戻すことも可能だ。ところが思い切って独立した連中は潰しが効かない。成功するのは5人に1人か、10人に1人か、セールスの達人なのに。
 大方のセールスマンはかん違いをしている。あれほど個人的に仲良くしていたのに、と思う。でもそれは売る方の一方的な思い込みだ。客はあくまで×△デパートの田○だと思っている。デパートが抜けた田○はただの人に過ぎない。別に田○を特別に思っていた訳ではないし、肩入れするいわれはない。裏切られたと思う方がおかしい。×△デパートの信用と包装紙がないなら、物が高額であればあるほど買いたくはない。第一品物が時計だの宝石だの偏っているから需要もない。
 ×△デパートといって開拓したり引き継いだ客は、個人の客とは云えない。そこで勝負をする方が裏切りだ。デパート時代の客の大半を失い、それでもそこから這い上がって新しい客を開拓するのは5人に1人というくらい難しいのだ。後ろ盾と信用なしでセールスすることは実につらい。

 日本を代表する広告代理店、○通などはよく落語家の息子とかを採用する。汚ねえ、縁故採用じゃん、と言うがそれのどこが悪いの?芸能関係の家庭で育ったボンボンは、テストの成績は悪くても華やかな環境に慣れているから物怖じしない。満点に近い成績の秀才がいくら英語が達者でも、話しが合わなきゃ溶け込めない。英語が必要なら、帰国子女の社員に担当させるか通訳をつければ済む話だ。
 ○通は長い経験で、どんな社員が育つのか分かっているのでよくそういった類の縁故採用をする。おまけに親の縁まで利用出来るのなら願ったりだ。

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托鉢を差し出す老婆と孫娘  

2016年06月15日 17時44分40秒 | エッセイ
托鉢を差し出す老婆と孫娘   

 タイ・ラオス・ミャンマーといった国では、成人の通過儀礼のように若者が出家する。3ヶ月6ヶ月1週間と期間はマチマチだが、息子が頭と眉毛を剃ってお坊さんになる姿を見てお母さんは泣く。一生ではなくても我が子が家庭からいなくなるのが寂しいのね、と思っていたら違った。
 出家する(中には生涯僧となる)息子の動機の一番は「家庭の事情」だが、よく聞いてみるとお母さんのためと言う。仏教において女性は不利だ。男性はあくまで可能性だがその生涯において解脱出来るが、女性は一度男に生まれ代わらなければ解脱出来ない。そんな女性が最も徳を積む行いが、息子を僧にすることだ。得度式におけるお母さんの涙は、そんな大きな徳を与えてくれる息子に対する感謝と誇らしさの、嬉し涙だったのだ。
バンコクであろうが田舎の村であろうが、オレンジの衣を着たお坊さんは裸足で列をなし、大きな鉢を抱えて托鉢をする。鉢に入れるのは米(ラオスではもち米、タイはうるち米)だけではない。バナナやマンゴー、キャラメル、おかずはビニール袋に入れて差し出す。朝早くから行列が来るから、炊き出しは早朝からやっているんだろう。
坊さんにご飯等を渡す役は女の人が多い。その家にお婆さんがいたら、彼女が給仕係りだ。差し出す方はうやうやしく鉢に入れるが、貰う方は特に頭を下げたりはしない。流れ作業で結構忙しい。そんなお婆さんにくっついてよくチビの孫娘が手伝っている。何が楽しいのかクスクス笑って、お婆さんに叱られる。小さな手を合わせて、恥ずかしそうにモジモジしながらお辞儀をする。この可愛らしいチビッ子が成人して結婚し、お婆さんとなって托鉢にご飯を差し出す。そんな循環が続いてゆけば良いのだが。
印度ではガンジス川で沐浴をする信者がめっきり減った。社会主義のラオスでは一度仏教が禁止され、僧が還俗させられた。バーミアンの大仏はタリバンが爆破した(クソ、行く予定だったのに)。ISはパルミュラの遺跡を破壊している。カンボジアではポルポトによる悲劇があった。
娘よ、たくましく健やかに、真っ直ぐ生きよ。亜細亜の大地は豊かで暖かく、生命で溢れている。

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