旅とエッセイ 胡蝶の夢

ヤンゴン在住。ミラクルワールド、ミャンマーの魅力を発信します。

今は、横浜で引きこもり。

2015年07月20日 15時51分53秒 | エッセイ


 六十を前にして髪は残っている。白髪はまあいい。だけど床屋に行くとなんであんなに白くなるんかね。染めるのは面倒だから染色リンスを始めた。これなら簡単で根元だけ白いとかにはならない。真っ黒にはならないがカモフラージュ出来る。以前試した時にはうまくいかなかったが、最近のリンスは性能が良い。実は髪をグイっと上げると、ゲッ随分後退していやがる。でもまーいいや、女に関心を持たれる時代はとうに終わっている。ここまでよく持ってくれた。
 眉毛がやたら伸びるのはうっとうしいから時々切っている。眉毛も白髪は目だってやなもんだ。毛抜きで抜くが、白髪を一本取るのに黒い奴を二~三本取っちまう。この前抜いたのにまた生えた。おかしいな、こんなに長いぞ。途中で黒から白にかわるんかな。
 どうにも耐えられないのが耳毛だ。耳の中に毛が生えるなんておぞましい。以前アメリカのドラマで、中一位の小娘に兄のガールフレンドのお姉さんが、「いい事教えてあげようか。男って年を取ると耳の中に毛が生えるんだよ。」「ヒエー、うそ。友達に教えていい?」眉毛に輪をかけて耳毛(いやな言葉!)は取りにくい。カッターを使って耳の穴をこすって血を出した。鼻毛は分かるけど、耳の中に毛は必要ないだろうが、神ちゃん、酷なことするなよ。若い内は無くて、年とってから生やすなんて止めてよね。

今日の格言

チx毛が生えて男は始まり、耳毛が生えて男は終わる。
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空手考

2015年07月18日 16時48分49秒 | エッセイ
空手考

 高校三年の時、ブルース・リーの『燃えよ!ドラゴン』を見て頭が沸騰した。アッチョー、アチャ、アチャ。もっとも映画館を出た観客のほとんどが興奮していたな。東洋人が白人より明らかにカッコいい小気味よさがある。
 大学に入って最初は、歴史研究会とかに入ったがつまんねー。マージャンばっか、一年でそこを辞め防具空手同好会に入った。糸東流系統の空手で、技が伸び伸びと大きく型が美しかった。ちなみに大学には部と同好会併せて、格闘技で軽く十以上あったな。
 しかし最初は基本の練習ばっかりだ。防具をつけて実戦形式の組み手をやったのは、一年近くたって茶帯になってからだった。その時は情けなくなるほど動けなかった。もっと組み手(試合)をやらせて下さい。これじゃあ強くなれない。空手にはブルース・リーのような後ろ廻し蹴りとか飛び蹴りなんぞは無い。突き、蹴り、受け、上段、中段、下段、型の反復練習、時々約束組み手、その繰り返しだった。
 合宿は心底厳しくて逃げ出す奴もいた程だが、果たして本当に強くなったのか、ケンカで有効なのかは今ひとつ確信が持てない。ところが最初の大会で、組み手の最初の相手が外国人だった。開始の合図と同時に滅茶苦茶殴られた。空手の突きじゃあない。振り回すパンチで頭がガクガクする。剣道の面のような防具を頭部につけているので痛くはないが、最初の一発で両目のコンタクトレンズがずれて視力が0.2になった。コノヤロー、やっと前蹴りを出すと、手で払われて足にチクっと痛みが走った。後は構えたままサンドバック状態になった。パンチが入って頭がガクっと下がり、戻るとパンチ。ガックンガックン、何がなんだか分からない。試合は基本が出来ていないという事で、ただ立っていただけの自分が勝ったが、こんなのうれしくない。足が痛い。ジンジンと痛みが増す。
 その日は自由組み手(試合)の他に型の試合がある。その時茶帯の自分は、30人位いた中で型の予選で一番の成績だった。運動音痴かと思っていた自分に一つの特技があった。体が柔らかいのだ。これは計り知れないメリットだ、股割りとかをやっていても、人並みに苦しそうな顔をしていればごまかせる。本当はまだ余裕があるのだ。体の硬い人は股割りが一番いやだと言っていた。脂汗を流して耐えている先輩がいた。彼はとりわけ体が硬い。自分にとって柔軟は息抜きだった。これナイショ。
 だいたい中学、高校で空手部のある学校は珍しいでしょう。柔道、剣道に比べれば空手人口は1/30か1/50じゃあないだろうか。大学に入って空手を始める人は、運動音痴が多いんだ。
 さて足というか、足の指が猛烈に痛かったけれど、型の第二試合に出ない訳にはいかない。何しろ予選一位なんだから、順当にいけば茶帯の型部門優勝なわけで、しかも決勝は自分の得意な型だ。一つ一つの技を思い切り大きく、指先にまで意識を集中し顔の回頭はビシっと。1/3位まで完璧に進めていたが、気がつくとコロンと体が回転した。何の前触れもなく静かにあっけなく転がった。何が起こったんだ?ん?見ていた審査員はもっとびっくりしたらしい。何やら話し合っていたが、そこで失格になった。足の踏ん張りが利かなかったんだ。全く今日は散々な目に遭った。
 道着や防具で大きくふくらんだバックを担ぎ、電車に二時間以上乗りビッコを引きずって帰宅した。足の指がズキンズキンを半端なく痛むが、その晩は寝て次の日近所の医者に言った。レントゲンを撮ると先生は言った。「いやー、見事に折れているね、真っ二つ。これでよく歩けるもんだ。」ヒエー、小指の骨がきれいに折れて離れている。そのままギブスをして治療終了、自然に治癒するのを待った。ギブスが外れても直ぐには練習に復帰出来なかった。復帰して昇段審査を受け黒帯(初段)を取り、しばらくして辞めた。関心が空手から海外貧乏旅行に移っていたのだ。
 思い出といえば、夏合宿で明け方三時半ごろに起こされ、浜辺で千本突き、千本蹴りと延々練習を続けても夜が明けず、やっと水平線が白み始めた時に心底ホっとしたこと。晩秋の合宿で相手の体から湯気が出ているので面白がっていたら、自分からも出ていた。そこにいた二十人ほどの頭から体からマンガのように水蒸気が柱になって立ち上っていた。
 空手の突きは体側から拳を180度回転させ、腕が伸びきる直前に人指し指と中指の第三関節の二点を相手の顔面(細かく言えば人中=鼻の下)か、みぞおちにたたき込むもの。体の移動を伴えば長距離の長槍のような威力を持つが、間合い(相手との距離)の見極めが難しい。腕が伸びきっても伸びる前でも威力が半減する。これって相当不便なパンチなんじゃない。相手は必死で動いているのだから、完璧なタイミング、距離にこだわらなくてもパンチパンチ、キック、ブロックされようが腕が伸びきらなくても相手にダメージを与え続けるほうがよい。達人じゃあなくても使える道具でなくちゃ。
 喧嘩は試合のように離れて構えた所から始まるとは限らない。接近戦、超接近戦もある。やはり場数を踏まないといかんな。喧嘩慣れしたチンピラに、経験のない空手二段は負ける。所詮空手は道具なんだから、使いこなすには慣れることだ。それにはもっと実戦形式の組手をやらなくては駄目だ。
 受けもいかん。散々練習した受けは実戦には全く使えない。空手の直線でくる突きに対する受けなので、回り込むパンチには使えない。それに受けはどうしたってワンテンポ遅れるから、目に留まらない速度でくり出される突きに間に合うとはとても思えない。足の力は手の三倍だと言われている。中段前蹴りを下段払いで受けたらどうなるか。合宿で組手を行っていた時、このシチュエーションが出た。結果は見事に受けた主将の腕が骨折してしまった。蹴りを放った方は何ともない。やはり駄目だ。体をかわすか、ちょっと下がるのが現実的だ。
 最後に蹴り。自分が習っていた空手では前蹴りが見事で、伸びきると道着のビシっという音が聞こえ、これが決まれば肋骨は折れ内臓破裂で即死だなと思わせる。ところが実際に格闘技(キックボクシング、K1、マーシャルアーツ)では前蹴り、横蹴り(これは滅多に出ない。威力不足か。)は相手との距離を取るためにしか使われない。おまけに足を取られて倒されたり、不利になることが多い。突きが関節の二点に集中するように、前蹴りは足の指を思い切り反らせて、親指の下の部分に集中する。力を集めてその部分を相手の体に当てる。しかし戦いの時に裸足になるバカはいないだろ。カンフーのような布靴なら良いが、革靴やスニーカーを履いていたらどこを当てればよいんだ。下手をするとくつの中で指を骨折しかねない。これなら出てくる相手にくるりと背を向け、思い切り足を後ろに伸ばしかかと(くつで一番硬いところ)を腹にめり込ませる方が良い。
 回し蹴りも空手ではまずヒザを上げてから蹴るんだと散々ケイコしたが、型ならともかく実戦では三日月蹴りと言われる不完全な蹴りで良いから、相手より先に数多く当てた方が勝つ。あと小柄な人、体の小さな女性はいくら技が切れても、パンチキックが相手に届かない。相手からもナメられて飲んでかかられる。一度かわすなりして相手の懐に入り込む工夫がいるね。
 空手の欠点ばかりあげたようだが、全てに有効、万能な武術はない。合気道は関節を責める事で、自分の力でなく相手を投げ飛ばすが、大男の丸太のような腕には通用しない。武術は道具に過ぎないから、実際の喧嘩では変化に応じて工夫、そして何より経験が必要だ。先手必勝とか、気で相手を呑む、パーフェクトな一撃でなくて良いから数を放ち、ダメージを与えること等が必要になるだろう。
 まあ今さら喧嘩のプロにはなれないが、次回があるなら見苦しくないように戦おうと思う。身にかかる火の粉は振り払わねば。いくつになっても男はつらいよ。



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カラス

2015年07月09日 18時44分31秒 | エッセイ
 カラス

 通勤の関係でほぼ隣の駅まで歩いていた時期がある。途中川沿いの道を100mほど歩くのだが、春には色々な種類の桜が咲き、川には鯉が泳ぎ水鳥が来ていたりする。5-6月には枇杷の実が生っている。一度1mを優に超える青大将が川の淵を泳いでいて、上流に向かうその蛇を子供の一群が追いかけていた。蛇は岸に上がるに上がれず、どんどんと上流に向かって泳いでいた。あれはどうなったんだろう。
 その川沿いの道にカラスの群れが住みついていた。態度のでかいカラス共だ。鉄柵にとまっていて人が近づいても中々飛び立たない。余りのフテブテしさに腹がたち、充分近づいてパっと手を出したら、驚いたカラスが慌てて飛び去った。フン、勝ったね。
 ところがどっこい、直後に後ろから耳を掠めてバサバサバサ。ワー、びっくりした。とっさにかがんで首を引っ込めた。今度は奴の番だ。ザマーミロ、俺の勝ち、アホー。
 これはずいぶんたってからもう一度やられた。その時は手を出していない。ただ目が合っただけだ。勝手に飛び立ったカラスが後ろから頭の斜め横を通過した。ン?何だ?距離があって驚かない。するともう一度、今度は耳の横をバサバサ。チンピラカラスめ、目が合ったらインネンかよ。何年もたっていたから、別の個体に違いない。それからは川沿いのカラスエリアを歩く時は、後ろに気をつけて立ち木等の遮蔽物を利用している。
 釣ってきたフグをさばいていた時(身だけにして食う。真似しないで。)、この肝をあいつらに食わしてやろか、と思った。でもカラスは食わずに、バカな飼い犬とかが食ったりするんだろうな。
 写真家の藤原新也は近所のカラスといつも戦闘状態で、外を出歩く時はパチンコを持って行くそうだ。玉は致命傷を与えるほど硬くはないという。その気持ちよく分かります。相手は飛んでいるからね。傘を持っている日は絶対に有利だもんな。
 都会のカラスはゴミ箱を漁って、弁当箱からマヨネーズの子袋を見つけ器用に穴を開けて中身をすするそうだ。あのクチバシはどんだけ器用なんだ。カラスに襲われて食われたハトは、羽とそれを支える骨だけ残してきれいに食われている。
 またカラスは優秀なハンターで、スナイパーのように忍耐力がある。ある会社でスズメだったか小鳥がカラスに襲われ、羽毛を逆立て撒き散らしパニックになっていたそうだ。トドメを刺そうとするカラスからその小鳥を保護し、そこの社員が落ち着くまで1時間程オフィスに入れておき、大人しくなった小鳥をそっと表に出した。すると先ほどからひたすら待ち続けていたカラスが、飛び立った小鳥に襲いかかりパクっと一飲みにしたそうだ。毎年ツバメの雛が巣立ちする瞬間を狙っている、と言う。子猫を集団で襲うカラスの目撃談も聞いた。ホンにカラスは賢い。たくましい。敵ながらアッパレ。
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ケンカ考

2015年07月07日 17時28分50秒 | エッセイ
ケンカ考

 男は強くなくちゃ。ケンカに勝たなくちゃ。
学生の時、早稲田松竹で見た高橋英樹の『けんかえれじい』、格好良かったナー。観客がセリフに共感して、劇場がどよめいたもんな。
自分が子供の時は、いかにも頭でっかちでひ弱なガキだった。小学校高学年になって、何かのきっかけでライバルのシバ×君と取っ組み合いになった時は、どうしていいか分からず、ただ相手の服を両手でつかんでいたが直ぐに下にされた。明らかに負けでみんなに見られた。
他校の不良に絡まれた時は、友達と二人でいたのに自分だけがターゲットにされ、何も出来ずにやられて泣いた。幸か不幸か中・高でケンカ実戦をした記憶はない。高校最後の年に見たブルース・リーの『燃えよ!ドラゴン』で男の本能に火がついた。アッチョー。中華街で人民服とヌンチャクを買ったもんね。
大学二年で空手を始め、二年弱で黒帯(初段)を取った。だけど、アレレ随分ブルース・リーの技とは違う。後ろ回し蹴りなんてやんないぞ。練習って型ばっかしじゃん。それでも若くて体力もあり、空手のおかげで自信がついた。海外に出ても素手のケンカなら負けない、狭いEVの中なら無敵だと思っていた。ところが実勢に殴りあう場面にまで発展することは無かった。むしろ空手をコミュニケーションの道具にして、人気者になったことは良くあった。
ケンカの技術はある程度身につけていて自信もあるのだが、実際にどこまで使えるのかは分からない。もうすぐ六十になる身で、体の柔軟性も失われてきていて、電信柱を前に上段回し蹴りのケイコも、ここ十年来全くやっていない。ところがどっこい、先日ケンカに巻き込まれた。詳細は省くが、夜遅く若いよっぱらいに絡まれ一発殴られた。その後は男を押さえ込み、手も足も遠慮なくブンブン振り回してくる相手に馬乗りになり、壁に押し付け振り回したが、観客も多くこちらから殴ることは出来ない。
自分が傷つくのはいやだが、人間の本能として相手を傷つけることにもためらいが生まれる。約束組み手で相手が受けることが分かっていても、かなり意識的にやらないと腕が縮こまるものだ。結局観客に抑えられわめく相手を背にして駅に向かった。ところが次の日、鏡を見て魂消た。一発だけ当たったヘナチョコパンチで目の上がプックリ腫れ上がっている。コブになってそのせいで目が細くなり両目がチンバになっちゃった。今日も夜勤で良かった。
今回は相手が弱すぎた。ケンカに勝った爽快感は無いが、冷静に対処した事には満足している。アノネ、こんなチンケなケンカ話でゴメンね。
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24 亜細亜の優しさ、適当さ

2015年07月06日 17時34分43秒 | 娘ノート
24 亜細亜の優しさ、適当さ

 仕事に行き詰まり、人間関係にニッチもサッチも行かなくなったら、さっさとトンズラ。体がおかしくなったり、心の病にかかるよりは逃げた方がよい。幸い日本の社会には職業選択の自由がある。
 南の国にはいい加減で、のんきで遊んでいてもちっとも後ろめたくない世界が広がっている。日本でいえば沖縄なんか良いのではないかな。
 心を癒すには、南国の太陽がよい。北へ向かった旅人は余計に心がやるせない。アジアの田舎へ行けば、子供は子供らしく娘は娘らしく、老人は老人らしくつつましくもたくましく、笑顔で受け入れてくれる社会が広がっている。
                                         
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