航空万能論のかなり詳細な戦況記事を読んでいるうちにこの冬のロシア軍の作戦計画が見えてきました。
多分、ロシアの参謀本部は夏のうちに優秀な将軍を発掘して作戦計画を立案させていると思います。去年の冬から今年の春にかけてのロシア軍の攻撃が失敗に終わったのは、作戦計画を立案する将軍がいなかったからだろうと思います。そのため全てのロシア軍の軍事行動が、行き当たりばったりで支離滅裂で損害を出すだけでウクライナ軍に撃退されて終わりました。
秋から始まったロシア軍の攻撃は、かなり違います。各方面の軍事行動に整合性が取れています。普通どんな軍隊でもそうすると思いますが、何らかの目的を定めて全体の軍事行動がなされているように見えます。
これは明らかにロシア軍の参謀本部に優秀な将軍が加わったとしか思えません。ウクライナ軍が去年のロシア軍と同じように考えていると、飛んでもない事になると思います。
そこでウクライナ軍のために私がロシア軍の作戦計画を推測してみることにしました。ウクライナ軍の参謀本部では無理だと思うからです。
※現在のロシア軍の攻撃は、３方面あります。
①ハルキウ州クピャンスクКуп'янськ方面
②ドネツク州バフムト方面
③ドネツク州アウディイウカАвдіївка
春以降は、この３方面に攻撃が限られていて他を攻めていません。後は、④ドネツク州リマンЛиманだけですね。
そして現在③ドネツク州アウディイウカАвдіївкаで激戦が１か月以上、続いています。
１１月に入ったころから②ドネツク州バフムト方面でもロシア軍の攻撃が始まり継続中です。
（１）①と④は、連携した戦場です。
（２）②と③も連携した戦場です。
③ドネツク州アウディイウカАвдіївкаでの犠牲を一切無視した猛攻は、何が何でもアウディイウカАвдіївкаを攻め落とすロシア軍の意思を示しています。おそらく攻め落とすと思います。
ここに②ドネツク州バフムト方面が関連してきます。
バフムトからルートT-0504を西に進撃するとコンスタンチノフカКостянтинівкаが、あります。途中のChasiv Yarは要塞と言ってよい地形です。ルートT-0504から行って攻撃に失敗したのが、今年の春です。そのためロシア軍はバフムト市街北のベルヒフカ貯水池方面からウクライナ軍を攻撃しています。どちらかと言うとなだらかなルートO・0506からChasiv Yarを攻撃しようとしている意図が見られます。目的はその先のコンスタンチノフカКостянтинівкаです。
2023.11.14＞略図あり
バフムートの戦い、ロシア軍がベルヒフカ方向で1km以上も前進か
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/battle-of-bakhmut-russian-troops-advance-more-than-1km-in-verkhivka-direction/
③ドネツク州アウディイウカАвдіївкаを攻撃している意図は第一に州都ドネツク市の安全を確保するためです。第二はルートH-20を利用してコンスタンチノフカКостянтинівка方面に北上することだと思います。
ロシアが支配しているゴルロフカГорлівкаからルートT-0516を利用してもコンスタンチノフカКостянтинівкаを攻撃することが出来ます。
これらを合わせるとロシア軍の攻撃目標は、コンスタンチノフカКостянтинівкаであると推測できます。
コンスタンチノフカКостянтинівка～クラマトルスクКраматорськ～スラビャンスクСлов'янськ
バフムト～スラビャンスクСлов'янськ
仮にスラビャンスクСлов'янськまでロシア軍が攻略すると、今度は（２）の①ハルキウ州クピャンスクКуп'янськ方面④ドネツク州リマンЛиманと連結します。
最終的には、ハルキウ市街が目的だと思います。
ロシア軍の参謀本部に優秀な将軍がいるとすると、現在の攻撃している方面を総合するなら以上の作戦計画が推測できます。
ヘルソン市街のドニプロ川東岸をウクライナ軍は攻撃しているようですが、ロシア軍の攻撃目標とは全然方向が違う方に軍を動かしています。
ウクライナ軍がしなければならないのは・・・
「コンスタンチノフカКостянтинівка～クラマトルスクКраматорськ～スラビャンスクСлов'янськ」
「ドネツク州リマンЛиман」
この方面の防御を徹底的に強化しないと、ロシア軍の予想される攻撃を防ぐのは難しいように思います。
ウクライナ軍に自分たちが劣勢だという認識があれば、そうすると思います。現在、そうなってはいないようですね❓