「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ウクライナ紛争がロシアにもたらした大きな変化(人事と効率の向上)<2024.06.06

2024-06-06 19:49:36 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

2024.06.5
ロシア国防省の大規模な粛清、新たな攻勢前に組織効率を高めるのが目的
https://grandfleet.info/russia-related/large-scale-purge-of-russian-defense-ministry-aimed-at-boosting-organizational-efficiency-ahead-of-new-offensive/

この記事がロシア国防省関連の人事を一番詳しく書いていると思います。
ウクライナ紛争に関する記事は、ごく目先の枝葉のことを大げさに書くケースがほとんどです。

だから政治や社会を含めた大きな変化が分かりません。
しかもロシアに関しては過小評価と誹謗中傷のフェイクニュースばかりですので、余計に分かりません。
何でも「ロシア極悪!」で済ませてしまいます。

およそ敵を観察して対策を考える、あるいは外交的な行動をしようと言う気配は、西側には皆無です。
全部、自分たちの主張を力であるいは経済力で押し通そうとするだけです。
アフガン・イラク・リビア・シリアと弱い国ばかり相手に戦争してきたので、単に戦えば勝てると思い込んでいる節があります。
だから相手を観察するとか、上手くいかないから外交交渉に持ち込もうという発想がありません。
単純な二元論思考の致命的な欠点です。
勝と負けしかなく、負けるのはダメだから勝ちしかありません。
戦争を継続すればやがてロシアが崩壊するという「宗教」により戦争を継続しています。

一方でロシアは、戦争を社会改革に上手く利用しています。
いざ戦争をやってみたらロシアの兵器はおんぼろさんぼろ。ロシア軍は、最初はヘロヘロで何をやっているのか分かりませんでした。
汚職と腐敗にまみれ、労働者は怠け者揃い。
更には、プーチン氏のお気に入りのプリゴジンが国防省と権力闘争を始めてしまい、一時はロシアもかなり際どかったと思います。もしプリゴジンに呼応して決起する有力な将軍が1~2人いれば、ロシアでは確実に内戦が起こったと思います。

こう考えてみるとプリゴジンの反乱も相当怪しいですね❓
ロシア国内より国外から何らかの影響があったのかもしれません。
以前のプーチン政権のNo2のニコライ・パトルシェフにも怪しげな動きが見られました。

国防省関係については、大きな人事異動がありました。
幹部総入れ替えになりました。
どこの国でも同じですが、その国で一番汚職と腐敗が大きいのは国防省です。管轄する範囲が大きく扱う予算も国内で最大です。
これはロシアに限った話ではありません。
アメリカなどは合法的に国防予算を一部食い物にしています。
ウクライナは、ロシア以上に酷いと思いますが大した粛清はありません。

それ以前から例えば、武器や戦争関連物資の生産に関しては、かなり効率化が進みました。
当初は、これも全然ダメでした。
プーチン氏が会議の席上で航空機製造担当の閣僚を問い詰めている映像が流れたこともあります。
あれやこれやと理由を言い立てて製造遅延の言い訳をするわけです。
それに対しプーチン氏は、「どこの部署に命令しているのか❓いつまでに作れるのか期限を示せ!」とかなり厳しい口調で𠮟責していました。

このような場面が様々な部署であったと思います。
この過程で責任を果たせない幹部は、多分首を飛ばされたと思います。

結果として今では、ロシアの生産効率は劇的に改善し砲弾製造に関しては年間300万発の増産体制の構築に成功しました。
各種ミサイルについても同様です。
今では、戦場で必要な数量以上の生産がされており砲弾・ミサイルとも備蓄を積み増しているようです。

ドローン生産も同じです。
これまでドローン生産部門を統括していたのが国防大臣に就任したアンドレイ・ベロウソフ氏だそうです。
有能な経済テクノラートだそうです。

このようなことを一部見ても、ロシアは戦争の長期化に備え、そして社会改革に取り組んでいることが見て取れます。

西側の曇った目で見ると、これがプーチン氏が独裁体制をより強固にしたという判断になります。

そもそもロシアの政治体制を誤認しています。
これは中国に対しても同じです。
独裁体制の批判に熱心ですが、その中身を観察しようとしません。
「民主主義を守る!独裁極悪!」を叫ぶだけです。
二元論世界観の破綻です。

当たり前ですがロシアの独裁体制はプーチン氏の権力を守るためにあるのではありません。
ロシアの政治と社会の体制を安定させるためにあります。
これは、旧ソ連の崩壊後のロシア社会の混乱の極みを見れば、よく理解できます。
ロシアにとって最も重要なのは、政治と社会の安定です。

それを取り仕切るのがリーダーのプーチン氏です。
ロシアの政府はプーチン氏のためにあるのではなく、ロシアのためにあります。
これを逆に考える人ばかりです。

だから西側がロシアを見るとき、全部間違えると言うことです。
大体、旧ソ連の政治体制と同じです。
書記長を頂点とする集団指導体制です。
それを今のロシア政府に当てはめれば、ほぼ同じです。

そのような視点から見ると、ロシアは第二期の政治体制に移行しつつあります。

これまでのプーチン政権は、古参の少数の幹部が大きな権力を持ち少数の幹部が政権を運営する方式でした。
最もプーチン氏の信頼の厚かったと思われるNo2のニコライ・パトルシェフが政権から外れたのは象徴的だと思います。

プーチン氏がトップであることは同じですが、その下には多くの閣僚が分担して政権運営を担う方式に変化しつつあるのでは、ないかと思います。
①「プーチン+3~4人の大幹部」
⇒②「プーチン+閣僚と官僚のトップ」
まあ下の方が普通ですが、これまでは①でやってきたと思います。
プーチン政権は安定期を迎えて②に移行しつつあるように思います。

①と②と、どっちが優れているか❓
②が優れているに決まっています。
①から②に移行しようとすれば、色々な柵が邪魔をします。
今、戦争の非常時ですから柵を排除して②に移行できるというわけです。

こう考えるとロシアの国防相人事は、まるで違うものに見えませんか❓

※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑤
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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