「北の山・じろう」日記

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ロシア軍の幹部人事と作戦計画の変化<ウクライナ紛争2024.3.5

2024-03-06 00:44:08 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

ロシア軍の幹部人事のニュースは見たことがありません。
しかし、これは重要なことです。
2022年、支離滅裂だったロシア軍を立て直したのはスロビキン大将です。スロビキン大将が特別軍事作戦の総司令官に就任後、ロシア軍は落ち着きを取り戻し戦線は安定しました。その後、今に至るまでロシア軍を支えている「スロビキン・ライン」の建設に取り掛かり、ウクライナ軍の2023年の反撃作戦を防ぎました。

ロシア軍内部の権力闘争を見てみます。
明らかに主流派と反主流派の権力闘争がありました。
主流派は、国防相のセルゲイ氏と参謀総長のゲラシモフ氏のラインです。
反主流派は、はっきりとは分かりませんが筆頭はスロビキン大将だと思います。そこにワグネルのプリゴジンが参加して争いがありました。
ワグネルのプリゴジンはプーチン氏の支持を背景に主流派に権力闘争を挑みました。
普通はあり得ませんが、ロシア独特の組織構造がこれを可能にしました。
プーチン氏の得意技に組織を二つ作って競わせて忠誠と効果を求める手法があります。

ウクライナ紛争においては、これがモロ裏目に出てロシア軍の分裂を招きました。ロシア政権のNo2とNo3がプーチン氏を諫めたと思います。
プーチン氏であろうと自分の間違いは認めて改めます。目的は、ロシアの勝利だからです。
この辺りにも随分誤解が見られます。
現在のロシアの政治体制は、プーチン氏の独裁ですがその実態は、プーチン氏を頂点とする政府幹部の合議制です。プーチン氏が全てを決めるわけでもなく、要は分業制です。ロシア株式会社の社長がプーチン氏で、専務も常務もいます。プーチン氏が大方針を決めてもそれ以外は、役員会の合議制です。
プーチン氏を追放したり失脚させれば、ロシア政府の全てが変わると言うのは間違いです。ロシアの政府機構は、それほどヤワでも単純でもありません。

まあ、それは脇に置いて・・・
ロシア軍の権力闘争が酷くなりすぎたので、プーチン氏はロシア軍の一本化に同意しました。プリゴジンを切ることに同意しました。これでプリゴジンは後ろ盾を失いました。ロシア国防省は権力闘争に勝利しワグネル排除に動きます。ワグネルを解体するスケジュールが決まりました。自分の権力を一部残すためにプリゴジンは、武装蜂起しました。これがワグネルの反乱です。
反乱はすぐに終わり、結果としてプリゴジンは無力化されました。

そしてロシア軍内部では、反主流派の追放と幹部の入れ替えが行われました。これが2023年6月~7月です。
反主流派の筆頭と思われるスロビキン大将は身柄を拘束されたのちロシア軍を退役しました。
分かる人事は、これだけです。
プリゴジンと関係のあった人間は30人くらいいたようです。このうちから追放された人間がいると思います。
しかし、これで分裂していたロシア軍は一本化され全体としてロシア軍として行動するようになりました。これが、それ以前とは大きく異なる部分です。違う言い方をすると大幅に強化されました。

特別軍事作戦の総司令官は、2023年1月からゲラシモフ参謀総長です。しかしロシア全軍を統括する立場にある参謀総長が、いつまでも大きくても一軍事作戦である特別軍事作戦の総司令官を務めるのは事務量からしても不可能です。
おそらく2023年6月~7月の幹部人事で特別軍事作戦の司令官代行を指名して特別軍事作戦の司令部を独立して作りウクライナ方面の戦いの指揮を全面的に任せていると思います。
それ以前は、参謀本部と特別軍事作戦の司令部がぐやぐちゃに交じっていたような印象がありました。

その理由は、ワグネル事件後のロシア軍が整合性のある軍事行動を取るようになったからです。明らかに司令部があり一人の指揮官がウクライナ方面の戦いの全指揮を執っているように見えます。
広い戦線の各戦場のロシア軍の部隊行動に整合性が見られます。各部隊の軍事行動に全体としての意味と目的があると言うことです。

以前はそれがなく、勝手に各戦場で戦闘をしてウクライナ軍に蹴散らかされて終わりでした。
今そうでないですね❓
全部の戦場でウクライナ軍に圧力をかけるような戦い方に変わっています。そうして弱らせておいて、どこかの戦場に大軍を集中して一気に攻め落とします。
この方式を初めてやったのが、アウデイーイウカです。
今年以降も同じような戦術を採用すると思います。

ウクライナ軍の側からいうと、ロシア軍の意図を見抜かないと集中攻撃されるたびに大きな拠点を失うことになると思います。
だから次にロシア軍が集中攻撃するであろう戦場を予測して陣地や防衛ラインを強化して兵力を多く配置して迎撃する必要があります。

戦場の取捨選択を行い、ロシア軍が奪いに来るであろう重要拠点を防御するような戦い方に変えないとウクライナ軍は、今年もなにがしかの領土を失って2024年が終わると思います。

ウクライナ軍を見ていると、それと反対の戦い方をしています。余計な攻撃をしたり、ロシア軍に全部反応したりしています。ロシア軍が期待する通りの反応をしているからロシア軍は作戦計画を立てやすいと思います。

作戦計画の部分で無理や誤りがあるからウクライナ軍は、ほぼ全部の戦場で劣勢の戦いを強いられています。
結論を言うならウクライナ軍が長期的にロシア軍と戦うのは、無理だと言うことです。

だから普通なら、停戦を考えると思います。
徹底抗戦したところで、やがて全面降伏するしかなくなるでしょう。


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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