木祖村 Gリポート

木曽路や木祖村の話題を報告します。木曽川源流の里の議員日記。

7月31日 砂防事業を学ぶ2

2007年07月31日 | 活動日誌その他
7月31日 松本砂防事務所開放講座(2回目)に参加。

 個人で参加している研修講座の2回目は、姫川流域の土砂災害の歴史がメインテーマです。

 姫川流域はまさに糸魚川-静岡構造線の真上にあります。姫川の西は火山堆積物で、北アルプスからの地下水が豊富なうえに地形が急峻なため山崩れが多い。一方西側は砂岩・泥岩の重なる第3紀の新しい地層であり、地下水が多いと粘土化してゆるい斜面であっても地すべりが起こりやすい。そのため豪雨のたびに土砂災害が頻繁におきた歴史を持っています。
 特に明治44年の「稗田山大崩壊」は日本三大崩れと呼ばれる大崩壊に数えられており、昭和59年9.14長野県西部地震で大崩壊を起こした「御嶽大崩れ」も同じような火山堆積物の大崩壊といえます。



稗田山(金谷橋より):左右の段丘状の地形は山の稜線部付近から崩壊した堆積物。


 講座の中で最も興味深かったのは、国道148号・JR大糸線がしばらく不通になったことでも記憶に新しい、平成7年7月11日梅雨前線豪雨災害(7711災害)における被害状況です。姫川水系36箇所で土石流が発生し、孤立世帯425世帯、建物・家屋倒壊等54戸、浸水被害450戸でしたが、人的被害は0(死者・行方不明者0名)でした。
 被害後のアンケートによると 未曾有の災害だったためどの地区も避難経験のない住民ばかりであり、孤立集落など居住者の67%は避難勧告は聞いていないとの回答。昔からの災害が語り継がれている、いわゆる危険地区居住者は危機管理意識が強かった事、が判明しています。
 自主避難の判断基準は「実見・実感による自己判断」であり、1・避難する場所の有無、2役場・消防団の呼びかけ・区長の判断、の2点が避難行動のきっかけになっていました。

 集落が点在し、孤立しやすい地域では、こうした事例は防災対策を考える上で非常に参考になると思います。



葛葉峠(平岩):旧国道148号の葛葉峠はこの上。今後何年も続く法面工事。