2024年08月02日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア カニ業界 大規模な製品輸出構造の再編と資源利用税等の経済的負荷を指摘]
ロシアのカニ業界は、大規模な製品輸出構造の再編と資源利用税等の経済的負荷を指摘している。
1990年代初めから、ロシアのカニ製品の供給は数量的に非常に安定していると言える。
ロシアカニ漁業者協会会長ドウプリャコフは、カニ製品の主な輸出市場が日本、米国、韓国、中国の4カ国で、この中にあって、2022年まで米国への供給量が約45%を占めていたが、制裁措置によって構造が劇的に変化し、現在は中国市場が支配的な地位を占めていると明らかにした。
中国向け供給は、2021年の16%に対し現在は45%で、昨年2023年のデータではこれに韓国が29%、日本が26%と続いている。
米国は、2022年7月、ロシアからの水産物製品の輸入を全面禁止し、更に2023年12月には、第3国が加工した製品についても、ロシア原産水産物の輸入を禁止する追加制裁措置をとっている。
中国市場への輸出機会の拡大は同国の消費の成長にかかっており、ロシア漁業者は物流を再構築し、さらにはボイル冷凍製品の消費文化を供給先に定着させることが重要となっている。
また、米国市場に依存度が高かった北部バレンツ海産製品をアジア市場に向ける必要があり、そのための活製品を含めた物流、航空便ルートや北極海航路の活用が重要になっている。
なお、ドウプリャコフは、カニ製品の市場価格が大きく変動し不安定な中、ロシアのカニ業界の現状に、2019年からのカニ漁獲割当オークションによる莫大な資源利用税3,600億ルーブルの支払いと、義務付けされた漁船建造という経済的負荷が存在していることを加えている。
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