2024年09月29日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ベラルーシ・コネクション 政府間協定ロシアEEZ“特別スケトウダラ合弁操業”ロシア側企業入れ替わり]
2002年3月13日付ロシア・ベラルーシ政府間協定の枠組みで開催された、第21回両国漁業員会の2023年12月14日付合意に基づくロシアとベラルーシの企業によるベラルーシ旗でのロシアEEZ内共同漁業が、今年2024年春季オホーツク海抱卵スケトウダラ操業、所謂“Aシーズン”に参加、2万1,500トンを漁獲し成功を収めた。(報告担当者 原口聖二:ロシアは漁業政策として基本的にオホーツク海での外国漁船によるスケトウダラ操業を認めていない。)
今年2024年、この特別な共同漁業に用意されたスケトウダラ漁獲割当は、前年同で、オホーツク海とベーリング海において5万1,000トン、その他を含め計6万2,000トンが配分されている。
ロシアEEZでのベラルーシ人の漁業生産へのアクセス拡大を想定した条項が盛り込まれ始めたのは2020年代になってからで、今年2024年に入り、この特別な漁獲割当にアクセスし操業を行っているのが、ウラヂオストク登記のベラルーシとロシアの合弁企業“ソユーズヌイ・ルイブヌイ・プロムスラ”(Союзные Рыбные Промыслы)社であることが分かった経緯がある。
同社は2022年半ばに同地で登記され、現在、2隻のトロール漁船、“ポルフィリイ・チャンチバドゼ”と(Порфирий Чанчибадзе)と“ムイス・ルビコン”(Мыс Рубикон)が所属して操業を行っている。
合弁会社の生産資産は7億ルーブルで、約170名の乗組員が雇用されており、製品を、アジア諸国をはじめ世界各国に販売可能な認証を取得している。
登記によると、同社の50%の株は、ほとんど知られていないロシア人女性“ユリア・ラザレワ”が所有している。
これは、昨年2023年、同社代表セルゲイ・スクリヤルから受け取ったとされている。
セルゲイ・スクリャルは10年以上にわたり、ロシアのカニ大手グループ“アンテイ”(Антей)社の財務責任者だった。
今般、ロシア経済紙“カメルサント”は、ロシア独占禁止庁が、この“ソユーズヌイ・ルイブヌイ・プロムスラ”の株式を、他のロシア企業へ売却することを認めたと伝えている。
ベラルーシ側とロシア側の持率割合に変更はない。
この株式を買収するのは“イズムルド”(Изумруд)社で、億万長者として知られる*アルカディ・ロテンベルグの関連企業とされている。
ベラルーシ側は“ソユーズヌイ・ルイブヌイ・プロムスラ”社株の25%ずつを在オルシャの“モルスキー・プロムスラ”(Морские промыслы)社とリュドミラ・ネロンスカヤが所有している。
リュドミラ・ネロンスカヤは、2020年代初頭まで、ロシアからウクライナ、ポーランド、ドイツに供給される液化石油ガスの処理と輸送に携わっていたベラルーシ企業数社の創業者の一人である。
これらの企業には “トランス・エクスペディツイヤ”(ТрансЭкспедиция)社、“ザパド・トランス・エクスペディツイヤ”(ЗападТрансЭкспедиция)社、“ガス・エネルデジ・ヒム”(ГазЭнерджиХим)社、“ネフテトランスロジスティカ”(Нефтетранслогистика)社等が含まれている。
*アルカディ・ロテンベルグは、ロシアの事業家でオリガルヒの一人で、弟のボリス・ロテンベルグと一緒にロシアのガスのパイプラインと電力の供給網の巨大な建設企業であるSGMグループの共同経営者となっている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます