2024年09月29日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[ポスト英国EU離脱 EUはノルウエーのサバ乱獲と英国との難しい交渉に対応しなければならない]
「責任ある漁業国”とアッピールしている態度は信じがたい」
日本の一部の識者とされるグループにおいて、資源管理の優等生と評されるノルウエー漁業が、「無責任な行動」をとり、乱獲を試みていると批判を浴びている事実が存在している。
ノルウエー政府は2024年6月17日、英国、フェロー諸島とともにNEAFC海域のサバの向う3年間有効とする漁業協定に合意したと発表した。
TAC設定(2024年漁期:沿岸国73万9,386トン)に対する国別割当は、ノルウエー31%(22万9,210トン)、英国27.48%(20万3,211トン)、そしてフェロー諸島が13.35%(9万8,708トン)としている。
EU加盟国漁業事業者団体連合会“ユーロペッシェ”(Europeche)はこの3国間協定について、前回の国別配分協定で適用された割当量から大きく逸脱、過度に膨らんだ一方的な設定を行い、継続的な乱獲を正当化し、協定に盛り込まれた漁獲割当の相互間の譲渡も人為的に増加させた割当、つまり“盗品”の交換だと批判、欧州委員会と欧州理事会に対し、この「無責任な行動」に対して断固たる措置を講じるよう求めた経緯がある。
今般、ブリュッセルで開かれたEU農業・漁業大臣会合で演説したスペインの漁業大臣ルイス・プラナスは、欧州委員会は「EUの利益をしっかりと守る」必要があると発言した。
ノルウエーのサバ漁獲割当量は近年大幅に増加しており、制裁を課すよう繰り返し求めてきたEUの漁業者らは不満を抱いており、これらへの対応について協議が行われた。
EU閣僚らはまた、2026年6月に期限が切れる英国との漁業協定の状況についても協議し、更新手続きを開始することを視野に入れた。
協議は10月下旬から12月上旬にかけて行われ、EUと英国が共同で管理する81の魚種が対象となる。
英国のEU離脱による漁獲割当の譲渡は、2021年から開始されており、2026年半ばまで実行される。
譲渡のプロセスは(括弧内は全体に対する比率)次のとおりとなる。
2021年:60%(15.0%) 2022年:70%(17.5%) 2023年:80%(20.0%) 2024年:92%(23.0%)
2025年:100%(25.0%)
非TAC魚種については、2012年から2016年の間に記録された平均漁獲量をベースに、2026年半ばまでに制限されることになっている。
英国に渡る漁獲割当の国別負担は、アイルランドが40%で、EU諸国が60%とされている。