黄色い拍子木

たまのをよたえなばたえねながらへば しのぶることのよわりもぞする

餃子

2006-02-26 18:11:47 | 旅行
雨の降る、夕飯の準備をするであろう時間を終えたスーパーは人影も
まばらです。見知らぬ土地に来た心細さとなんとなしの寂しさが助長
されます。

エスカレータで地下に下りてすぐ、その目的の店は見つかりました。
見た感じはスーパーに良くある、ごく普通のフードコーナーと
言った感じです。私以外にお客はスーツ姿のサラリーマン二人。
上司と部下といった感じです。上司の的を得ているのか得ていない
のかよく分からないアドヴァイスを聞きながら、部下は餃子を
食べてビールを飲んでいます。「ビールウマー」と言うのが聞こえて
来たように思われます。

市内にある20店程の餃子屋さんが共同でされているようで、日によって
用意されている餃子が違うようです。用意されているのは7種類ほど。
この日はスタンダードな形の餃子や春巻きのような餃子が用意されて
いました。

メニューに書かれている30文字ほどの紹介文を手がかりに、3品
(海老の入っている餃子と春巻きみたいな餃子、それに皮がモチモチ
していると言う餃子)と生ビールを頼みました。黄金のコンビを前に、
雨の中を歩き疲れた私の胃袋は、悲壮なまでの鳴き声を店内に轟かせます。

10分ほど待つと餃子が出てきました。メニューの写真通りのが3品。
最初、ビールに口をつけて、春巻き型の物からいただきます。

美味しい、けれど普通。形は面白い、けれど普通。

ここで気落ちするわけには行きません。まだ2種類残っているのですから。
次は皮がモチモチすると言う餃子をいただきます。

モチモチしている、けれど普通。美味しい、けれど普通。

最後の砦を残しているのに、気落ちするのはまだ早すぎます。そうです、
ここは餃子の街、宇都宮。餃子帝国が世界を征服した暁には首都となり、
ここのご主人は餃子皇帝として一生を過ごさねばなりません。恐ろしい、
恐ろしい!わははー、朕は餃子皇帝だぞー!大蒜ビーム!ニラウィップ!

やや妄想に浸りながら、海老入りの餃子をいただきます。

おお、美味しい!パリパリの外側と、しっとりした内側。海老はひき肉と
一体になっており、その出汁が肉のうまみを引き出しているように
思われます。ニラとかすかな苦味が味のバランスを調えていました。

ここを薦めていただいた魚屋さんには感謝です。もし、行こうとしていた
所の餃子が美味しくてもフツーな感じであったのなら、やはりショック
みたいなものを感じて、「餃子の都なのに・・・」なんて思いを抱きながら
一人寝の夜を過ごさなければならなかったのかも知れません。

モスバーガーで晩御飯を済ませてしまおうなんて事を少しは考えて
いましたが、雨の中彷徨った(もともとは靴下のためだったが)甲斐が
ありました。

最後に海老の餃子を残すようにローテーションしながら、すべて平らげました。
ご馳走様でした。

スーパーでホテルで飲むためのドリップ式のインスタント珈琲を買って、
長崎屋を後にします。

雨は冷たく降り続いていましたが、餃子とビールで活発となった血流は、
暖かに満腹となった私の体内を流れます。
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