黄色い拍子木

たまのをよたえなばたえねながらへば しのぶることのよわりもぞする

絶え絶え

2006-11-30 22:11:08 | Weblog
老犬の様子がおかしい。

ソファの上で、息を荒げてぐったりをしている。餌にも
全く手をつけていない。
妹が言うには、壁と玄関に置いてある姿見の間に挟まり、
身動きできなくなっていたというのだ。別に袋小路でも
なんでもない場所に。そんな場所に閉じ込められて、妹が
仕事から帰ってくるまで声をあげて助けを求めていた
ようだ。

もう、だめかもしれない。そんな予感はいままでもあった
けれど、今回は本当にだめかもしれない。ここ最近、驚く
ほどに加速している老化が、心に溢れる不安に輪をかける。

明日の朝、彼は息をしていないかもしれない。
明日の朝、彼はもう生きていないのかもしれない。
明日の朝、彼は死んでいるのかもしれない。

明日、また子供が自殺するかもしれない。
死に行く子供よ。その命、不要ならば私のかわいい
プードル犬に分けてくれないか。不要なんだろう?もう生きる
事をアボートで停止するのだろう?

ならそう長くない彼に、まだまだ生きてソファーの上での
シアワセな眠りを味わいたい彼に、チョコレートを食べてると
何も言わずとも傍に現れる彼に、私が帰ると気だるそうでも
きちんと出迎えてくれる彼に、家族のように暮らしてきた彼に
命を分けてはくれないか。

私が眠りに付き、目覚めると同じくして、彼も目覚めて
くれますように。私にできるのはただ、それだけだ。
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