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「雨族」 断片2-二十歳までの僕の恋への関わり方Ⅱ:kipple

2007-10-04 00:46:00 | 雨族(不連続kipple小説)

ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代


                「雨族」
     断片2-二十歳までの僕の恋への関わり方Ⅱ


その後、ボートの転覆事故で死んでしまった女の子について考えると、とても奇妙な心境におちいる。

まるで、ウルトラQの1/8計画に参加したような気分になる。

彼女は僕の人生を何らかの形で予言して死んでいった。

僕は、とりたてて彼女の事も他の誰の事も好きじゃなかった。

どうして誰も好きになれないのか、皆目。見当もつかなかった。

今、思うと、おそらく、面倒くさくて、疲れるからイヤだという思いが先に立ったのだろう。

苦しむのがイヤなのだ。

ただ、付き合っているだけが、いいんだ。恋を、せずに。

二十歳に近づいた十九歳の秋に僕は短大一年生の女の子と知り合って週に一度、映画を観に行ったり、遊園地に行ったり、ビールを飲みに行ったりした。

吉祥寺にあった僕の友人にアパートを開けてもらい、そこで二人で入り込み、一晩中SEXをした事がある。

僕は何故だか、頑強にキスを拒み、彼女を困らせた。

僕はキスをしたくなかった。どうしてだか分らなかった。

ベッドの中で夜明けを二人で眺めていると、おかしな気分に襲われた。

僕はトラルファマドール星で、捕らわれの身となったビリーの事を思い出し、悲しくて悲しくて、たまらなくなった。

「何を泣いてるのよ」
と彼女は言い、

「キスする事も出来ないなんて、あなたは、ド・コ・カ、ト・テ・モ、オカシイわ。」

「おかしいと自分でも思うよ。」
と僕は言った。

「自分でも、どうして、そうなのか、よくわからない。」

「あなたは、永久に自分が分らない。分らない、ワカラナイで、分ろうとせず、取り返しのつかない事になるわ。」

僕は、ビクリと身を震わせた。

「どうなるの?」

ある種の予感があったが、実際、聞いた後も、信じられなかった。


「雨族よ。」
彼女は、そう言った。



断片2     終


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)

「雨族」は、自分が10代の頃から、何となく妄想してた超バラバラ妄想小説です。ストーリーは特にありません。(ある時もある)時系列も連続してません。(してる時もある)



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