ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代
「雨族」
断片48-園の内側、赤い空
4.決意
さて私は金のために私の可愛い女の子を奴に売った訳だが、気になるのは、奴が死に際に残した言葉だった。
「どうでもよかったんだ。」
奴は、どうしてこう言ったのだろう。
奴は“どの娘でもよかったんだ”と言ったのかもしれない。
私には、そうじゃあないのだ、どうでもよいわけにはいかない。
しかし、たいていの場合、世の中は、どうでもいいようにできているのだ。
知的生命体が何かの利益のために血まなこになっている時は、そのニュアンスは少しは薄れるにしろ、それだって、傍から見りゃどうでもいい。
宇宙は、どうでもいい。
運命に、くだらん介入は無意味なのだ。
私たちは、すでに全てが決められている。
私が、いつどこでどの女と交わるかも、とっくの昔に決定されているのだ。
とにかく、私は金を手にする事ができた。
数えてみると、37万円だった。
私の可愛い女の子は奴にとって、それだけの値打ちがあったのだ。
私には、その事に関しては、つまり、宇宙の法則に反して、どうでもよくはなかった。
少なくとも私は私の可愛い女の子を愛していたからだ。
しかし、奴は私以上に私の可愛い女の子を愛していたのかもしれない。
しかるに、私は思う、奴の言葉は、ウソッパチだ。
しかし、死んだ奴の事は、どうでもいい。
いかに、しぶとく存在しようと、私の世界にすでに奴は、いない。
私は、これから、この金で、私の可愛い女の子と冒険の旅に出るのだ。
人殺しと、幻覚剤とSEXが自由な地上の楽園へ
断片48 終
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)
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