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「雨族」 断片48-園の内側、赤い空~4.決意:kipple

2010-01-22 19:58:00 | 雨族(不連続kipple小説)

ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代


               「雨族」
     断片48-園の内側、赤い空
      4.決意


 さて私は金のために私の可愛い女の子を奴に売った訳だが、気になるのは、奴が死に際に残した言葉だった。

「どうでもよかったんだ。」

 奴は、どうしてこう言ったのだろう。

 奴は“どの娘でもよかったんだ”と言ったのかもしれない。

 私には、そうじゃあないのだ、どうでもよいわけにはいかない。

 しかし、たいていの場合、世の中は、どうでもいいようにできているのだ。

 知的生命体が何かの利益のために血まなこになっている時は、そのニュアンスは少しは薄れるにしろ、それだって、傍から見りゃどうでもいい。

 宇宙は、どうでもいい。

 運命に、くだらん介入は無意味なのだ。

 私たちは、すでに全てが決められている。

 私が、いつどこでどの女と交わるかも、とっくの昔に決定されているのだ。

 とにかく、私は金を手にする事ができた。

 数えてみると、37万円だった。

 私の可愛い女の子は奴にとって、それだけの値打ちがあったのだ。

 私には、その事に関しては、つまり、宇宙の法則に反して、どうでもよくはなかった。

 少なくとも私は私の可愛い女の子を愛していたからだ。

 しかし、奴は私以上に私の可愛い女の子を愛していたのかもしれない。

 しかるに、私は思う、奴の言葉は、ウソッパチだ。

 しかし、死んだ奴の事は、どうでもいい。

 いかに、しぶとく存在しようと、私の世界にすでに奴は、いない。

 私は、これから、この金で、私の可愛い女の子と冒険の旅に出るのだ。


 人殺しと、幻覚剤とSEXが自由な地上の楽園へ






断片48     終


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)



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