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「雨族」
断片50-園の内側、赤い空
6.魚
魚とは何だろう。
知っているか? 魚は古代キリスト教のシンボルだったんだ。
私は、魚を喰えない。
目がいやだ。
ヌルヌルしている。
生くさい。
しかし、殆んどの日本人はまるで復讐でもするように魚に固執して喰いまくる。
彼らは神を殺し、毎日自殺しているのだ。
西洋文明への見せしめなのだ。
ベティは、私が、
「奴が、クロエを殺し、僕が奴を殺した」
というと、目玉の大きな魚を納豆に混ぜて、もぐもぐしながら、
「だんびらは使ったの?」
と言った。
だんびらは柱時計の下に、ゆらゆら、ゆれていた。
私は、小さく首を振って、
「僕は、論理的には殺したが、物理的には何もしていない。奴は僕の二重身なんだ。奴に物理的な死が訪れるなら、僕は消えてしまう」
と言った。
ベティは、カチカチと歯を鳴らした。
何か言いたそうだったが、言うと、地球が、ガラガラと崩れていきそうだという風に、口をつぐんでいた。
私は、頭が痛くなった。
まるで、地球を、後頭部に猛スピードでぶつけられたようだった。
ビルが鉄球で砕かれるように。
断片50 終
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)