木の実幼稚園のゆかいな仲間たち

愛媛県松山市にある『木の実幼稚園』の先生たちによるBlog

令和5年度お泊り保育1日目(年長)

2023-07-24 16:25:00 | Weblog
2023.07.21


コロナの管理に明け暮れるような3年間に終止符が打たれ

ついに 子どもたちが山に戻れます。


お泊り保育という子どもたちにとっての大冒険は

元々 内子・大洲方面へ南下し、

そこから更に東の山奥へと進んだ旧河辺村を目指します。

そこには、廃校となった大伍小学校が見事に改装された宿があり、

夏が来ると子どもたちを待ってくれていました。


はじめの集いを終えたら、出発です。

まずは、内子の小田川を目指します。


  



清流で知られる小田川ですが、

広々とした景観を持ち、

長年の流れに丸められた大小の小石が気持ち良い

清らかな流れをたたえた川です。


平時には程よい水量を保ち、

幼児でも安心して川遊びに興じることができます。

石を取り除くとカニが姿を見せてくれ

目を凝らせば稚魚がすいすいと泳いでいます。


この日は気温や風にも大変恵まれ

子どもたちに

「お帰り」

と言ってくれているような日となりました。


夏の自然の中で思い思いに楽しみ

木陰で昼食をとり

また川遊びを楽しみ

絵本の中でしか体験できなくなりつつある「スイカ割り」も、

友だちと一緒にしてみました。


どれもこれも

徐々に失われつつある風景です。


  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  



時を忘れて過ごした子どもたちが

宿に到着しました。


到着を待って下さっていた支配人の中島さんから

ご挨拶を頂戴し、

子どもたちは生活のルールを学びに

館内見学を行います。


  



夜に控えたおたのしみの前に

夕食の時間です。

お泊り保育は、

ただの旅にあらず。

次なる広い世界である小学校就学に向け、

精神的な自立を促す経験の場でもあります。

「自分たちのことは、できる限り自分たちで行う。」

という、みんなの目標に立ち返り

食事は当番制でお世話に取り組みます。

とは言え、当番制で大変かというとそうでもなく

子どもたちの心の中には

既に「誰かの役に立ちたい」という気持ちが芽生えていて

とても意欲をもって取り組めます。

彼らのそんな横顔を目にすると、

「(立派に成長してくれている・・・)」と、

ただただ嬉しい気持ちになるのです。


  

  





さてさて食事を終えたら

今年も開演「劇団このみ」!

毎年無茶苦茶なパロディが繰り広げられます。

今年の「おおきなかぶ」は・・・

誰が引き抜くのでしょうか!?




↑ どこからどう見ても猫型ロボット




↑ どこからどう見てものび太君




↑ 心優しい しずかちゃんもお手伝い




↑ ジャイアンとスネ夫が加わっても抜けません(どうしよう・・・)




↑ ドラえもんが四次元ポケットから取り出したのは「スマホ」!




↑ ドラミちゃんはかなり嫌そうですが結局お手伝いに来てくれます


 

↑ ネズミが出てきて大騒ぎ!




↑ いつ抜けたのかもはっきりしないけどフィナーレ!

  気にしない、気にしない。


  

 

↑ 観劇した子どもたちは大喜び。

 「劇団このみ」 今年も大成功!



さて、そうしているうちに夜も更けてきて

キャンプファイヤーの時間です。


もう一つの自然である「火」の存在について学びます。

灯を頂戴し

宿の職員の方々やおじちゃんたちが用意してくれた場所で

キャンプファイヤーの火を焚きます。


歌ったり踊りを舞ったりしながら

今日1日を振り返ります。


おじちゃんたちによる花火を楽しんだら

宿に戻ります。


  

  



今日はさすがにグッスリでしょうか?

みんな、お休み。


  

 

(2日目に続く)




(PostScript:1日目編集後記)
この日、福岡県で8人のグループで川に遊びに行った小学生6年生の子どもが

3人溺れて亡くなったというニュースが報道されました。

同じ日に、三重県で7人の友だちと海に遊びに行った中学3年生が

海で溺れ亡くなったというニュースも報道されました。


目をそむけたくなるニュースであると同時に、

子どもたちを「川に連れてきて良かった」と思いました。


このようなニュースを目にして、

「川が危ない場所であること、海が危ない場所であることを

 もっときちんと、そして何度でも教育されていれば、

 このような事故は防げたかもしれない。」

という、強い悔しさに似た感情を覚えました。


今回のお泊り保育の川遊びも、

美しい川を前に、既にライフジャケットを着用して

今か今かと早く川に入りたい子どもたちに

教員が語りかけます。


「おじちゃんたちが立ってくれているあたりの赤い旗が見えますか?

 あそこから出てはいけません。」

「絶対に一人になってはいけません。」

「この笛の音が聴こえたら、すぐに先生のところに集まります。」

こういったいくつものルールを学ばせます。


楽しい時間を過ごしつつも、

川が危険であることを

川を目の前にして学ばせます。


危険というものは、

なにかしら体感しなければ、わかりにくいのです。

何度も伝えなければ、その子の知識になりにくいのです。

小さい頃からそういった教育を繰り返し受けて、

ようやく危険を察知できるようになるのです。

道路を見せて、道路に飛び出さないことを伝えることもそう。

山に登って、下り坂で走らないことを伝えることもそう。

道具を持たせて、正しく使うことを伝えることもそう。

どうしても教育が必要なのです。


そういった教育が不十分であったとき、

小学生高学年であろうと

中学生であろうと

高校生であろうと

川や海で命を落としてしまうのです。

川の危険について体験が乏しいから

深みにはまってしまうのです。

離岸流や潮の存在を認識できていないから

沖に流されてしまうのです。


だから、川に行かないのではなく

安全な川を調べ、

選んであげ、

安全な川がどのような姿なのかを自分の目で見させ、

ライフジャケットを着せてその必要性を語り、

ルールを聞かせてそのルールを守らせ、

そして園に帰ってきたら

「ルールを守れたから、こうして無事に帰って来られたのだ。」

ということを、語り掛けてあげます。


幼少の頃からのそういった体験が幾重にも重なっていき

その子の確かな知識となり、

自らの命を守ることができる大人へと成長します。


だから、教育が必要です。


お泊り保育は子どもたちにとって

かけがえのない体験教育です。


今日のご家庭での一言一言の教育が、

お出かけ先での一言一言の教育が、

子どもたちを成長させています。


語り続けていきましょう。

何度も何度も

同じことを伝え続けていきましょう。






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