2024.12.29
年の瀬を迎え、今年もいろいろな出来事があったなぁと1年を振り返りながら慌ただしい時間を過ごしております。 今年の年末は、開園最終週であった今週、日に日にインフルエンザで欠席する園児や教職員が増えました。 しかし、感染が拡大する前にお遊戯会はじめ2学期終盤の活動をほぼ終えられていたのは、11月の段階で看護師から注意喚起をさせて頂いた後、各ご家庭において積極的に受診頂いたりマスク等の着用にご協力頂けたおかげです。 改めて、子どもたちの園生活の保健衛生にご理解とご協力を賜りましたことに、お礼申し上げます。
残務の処理に追われながら、1年を振り返っていました。 あふれかえる情報に振り回され、息苦しさを感じやすいと言われる時代の中、「情報と人」ではなく「人と人」の関係性の中で、「ステキだなぁ・・・」と、心が温まるように思えた出来事がいくつか思い出されました。 今日はその中の一つを紹介させて頂きながら、新たな年をご一緒に迎えられればと思います。
当園には、保護者皆様が運営されているサークルがいくつもありますが、今日はその中で、園児が直接目にする機会が少ない「レクバレサークル」さんの、ある出来事をお話しできればと思います。
あまり知られてはいないかもしれませんが、幼稚園という場所には、育児中の保護者間の交流の場を生む役割が、文科省から求められております。 当園には、おかげさまで保護者の方々が発足されたいろいろなサークルがあり、同じ時代に子育てをする縁のあった保護者の方々が、時に子どもたちのために、時に保護者同士のつながりを生むために、いろいろな形で活動をされていらっしゃいます。
年間にいくつかの公式戦に出場するレクバレサークルさんですが、最大のタイトルは県武道館で開催される中予私立幼稚園連盟主催の大会です。
今年の大会前のある日、部長さんとお話をする機会があったのですが、その際に練習中に怪我をした選手がいることや、その選手とチームがどのように大会に臨もうとしているか、お話を伺うことがありました。
怪我をされた選手にとって、その大会は出場条件上、参加できる最後の大会だったんだそうです。 しかし、怪我の重さから言って、出場は到底無理であることが判っていました。 辛さが消えない部長さんの表情から、出来事の重さをうかがい知れました。
そのことに共感し、一緒に沈みそうになった私の心を熱くしたのが、その怪我をされた方がとった行動でした。
怪我のため、動くことも生活も不便になってもなお、引き続き練習に顔を出されていたそうです。 プレーできなくともユニフォームを着てベンチ入りすると聞きました。 感動しました。
怪我をされた選手は、自分が選手であるからこそ、周りのチームメイトの気持ちが手に取るようにわかります。 わかるから、チームから離脱せず、最後まで行動を共にされたんだと思います。
これまで一緒に練習してきた周りの選手たちは、「私はここにいるよ。一緒にいるよ。」という姿に救われ、励まされながらコートに立っていたのではないでしょうか。 怪我をされた選手は、コートに立てなくてもきっと周りの選手のことを、すぐ傍で思い続けていたんだと思います。
今年のチームは、大会をベスト4(4位)で終えました。 全国的に見てもマンモス園が多い中予において、木の実幼稚園(中規模園)の人数でこの成績は見事の一言に尽きます。 しかしこの結果よりも、素晴らしいチームで大会に臨んだことの方が、意義は大きく深いものです。
世界中の人々がスポーツを愛し続けるのは、人と人がかかわり、そして支え合う中で、心が通い合える素晴らしい人生経験を共につむぎ合える幸せを、知っているからなんだと思います。 スポーツにおける21世紀は、育成年代における勝利(結果)至上主義からの脱却の時代です。 スポーツ(運動)が人類にもたらす本来の効能である「人格形成」と「健康増進」が急速に見直されています。 その効能の先にあるプロフェッショナルの世界でも「人格形成」と「健康増進」が見直されており、人間性が問われたり、また、選手の怪我についての研究が活発になったりしております。
つまり、とりわけ育成年代においては、運動が得意かどうか、何かの動きができるかどうかといったことが運動のテーマなのではなく、運動を通して子どもたちの精神がどのように育成されていくか、そして子どもたちの健康を増進していくかが、育成年代、とりわけ幼少期~ゴールデンエイジ(概ね12歳まで)において、すべての子どもに普遍的に授けてあげたいテーマと言えます。 その意味において、怪我をされた選手がとったそのあとの行動と、その選手の思いを背負ってコートに立ったチームのストーリーは、スポーツのすばらしさを象徴してくれるものでした。
身近なところに、ステキなことがたくさん散らばっていることを、教えてくれる出来事でした。 身近にあるステキなことに目と心がとまる1年にしたいです。 それでは皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。
理事長 中矢謙一郎