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木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

ご質問について

これまでに、たくさんのご質問、コメントを頂きました。まことにありがとうございます。 最近忙しく、なかなかお返事ができませんが、頂いたコメントは全て目を通しております。みなさまからいただくお便りのおかげで、楽しくブログライフさせて頂いております。これからもよろしくお願い致します。

あだ、あてはめが躍動

2012-05-17 10:33:07 | ちょっと一言
お返事がおくれまして申し訳ございません。

陣中の皆様より、ご連絡を頂きました。

Unknown (受験生その1)
2012-05-15 10:13:04
木村先生、書き込むのは初めてですが去年の夏からずっとブログを読ませていただいていました。
どうすれば苦手な憲法ができるようになるのか、先生のブログからたくさん学ばせていただきました。
今日は受験まで最後の一日ですが、憲法の急所をゆっくり読みながら過ごします。
最後に感謝の気持ちをと思いまして書き込みました。
本当にありがとうございました!




どうも、ありがとうございます。
三日間の長丁場ということで、ぜひお身体を崩さぬように。

司法試験が終わると、今度は、責任が重くのしかかる
法曹実務が始まると思いますが、
ぜひ、良い法律家になってください。


お久しぶりです。 (Jiro)
2012-05-15 11:11:25
いよいよ明日から始まります。
『急所』やブログで学んだことを、
「夷険一節」「玲瓏」の精神で出し切ります。

本当にご指導ありがとうございました。
試験が終われば、またわけのわからない書き込みをするかもしれませんが、
そのときはよろしくお願いします(笑)



こんにちは。
お久しぶりです。

そうそう、現名人のお言葉を忘れておりました。

「随所楽(ずいしょにたのしむ)」ですね。

択一試験なぞは楽しんでいる場合でもないでしょうが、
ぜひともこの精神で。



Unknown (ザッキー紳哉六段)
2012-05-15 15:39:52
司法試験の印象はいかがですか?

「司法試験?難しいよね。 公法系、私法系、刑事系、選択科目、隙が無いと思うよ。 だけど、オレは負けないよ。」

司法試験への抱負をお願いします。

「あだ… あてはめが躍動する、オレの答案を試験委員に見せたいね」



 どうも、こんにちは。
 六段の戦い、感動的でした。

 いきなりで良く分からない方も多いでしょうから、
 多少解説をいたします。

 毎年、NHKでは早指し将棋トーナメントをやっているのですが、
 先日、豊島六段と佐藤六段の対戦が行われ、
 対戦前インタビューで、佐藤六段による
 ヅラをかぶっての回答が話題を呼びました。

 ああいうまじめな場面で笑いをとりに行ってスベってしまうと、
 大変微妙な空気になりがちですが、
 もはやあそこまで行くと、笑いとかスベるとか
 どうでもよいのではないか、と思える域でございます。

 ぜひ皆様も「佐藤紳哉六段」で検索を。
 偉大なプロ棋士の姿をみることができます。

 インタビュアーの矢内女流四段が、
 クスりとも笑わずに、いつものペースで質問しているのも
 プロ意識を感じさせました。

 やはり、あの程度で動じては、プロ棋士はつとまりません。
 偉大です。

 さらに偉大だったのは、
 あそこまで挑発されておきながら、きっちり勝った
 豊島六段でしょう。
 
 というわけで、今年のNHK杯は、豊島六段を応援しようと思います。


話がずれましたが、陣中の皆様、疲れてきたら佐藤六段の姿を思い出してください。

陣中では、ああすればよかったこうすればよかったと思いがちですが、
(私も、急所出版以来、誤植が報告されるたびに悶々としておりました)
書いたものは直せませんので、即座に忘れて、夷険一節!

論究ジュリストでの戦いに巻き込まれる

2012-05-10 12:20:19 | 作品情報 『憲法の急所』
本日は、論究ジュリスト創刊号の発売日です。
テーマは憲法訴訟ということで、
最近の重要判例を読み直すということですね。

私も、最近、君が代訴訟・国籍法違憲判決・空知太事件判決など
評釈書きましたので、楽しみにしておりました。

重要判例の評釈をすると、
過去の評釈を全部チェックした上で、
新しい視点を示して判決を読み直す作業のむずかしさに
いつも、茫然といたします。はい。


ちょっと話題になっているのは、安念先生の原稿ですね。

「違憲の立証責任」とか、訳わからないことを言うな、と
書かれておられますし、
『憲法訴訟の現状分析』の方では、
「憲法判断回避の準則」とか、訳わからないことをいうな、と
書かれておられます。

安念先生のご指摘は、要するに、
日本の訴訟システムでは、
「この法律は違憲である」という主張は、
法律上の主張であり、
当事者は、それについて何かをしゃべることはできるが、
法律上の主張をどう扱うかは、
裁判所の裁量に委ねられている、ということですね。

なので、原告が違憲だと主張しても、
裁判所は、それに応えることもできるし、
全く触れないこともできるはずだ、ということですね。
(だから、原告が違憲を主張して上告し、
 「だたの法令上の主張でしょ」といって
 実質判断なしに棄却される事件が続出する)

だから、「第三者の主張適格」も
原告は主張したければすればいいし、
裁判所はその主張をとりあげたければとりあげてもよく
とりあげたくなければ無視して法解釈してもいい、
ということです。
(安念先生の芦部古希論文集の原稿の骨子ですね)



思いつきですが、ちょっとコメントをば。

安念先生のおっしゃることは、基本的にはその通りなんですが、
憲法上の権利は、国民の主観的な権利であり、
それについての紛争は、法律上の争訟です。
なので、原告の主張を全く無視すると、
裁判を受ける権利の侵害になる可能性もあります。

だから、日本の訴訟法は、法律上の主張と言う形で、
憲法上の権利の行使を認め、
裁判所に応答義務をかすことで、
「憲法上の権利に関する裁判を受ける権利」の保障を実現しようとしている
と解釈する余地がありますね。


また、憲法判断回避の原則ですが、
安念先生は、合憲限定解釈は憲法判断回避の一例だと
捉えていらっしゃるんですが、
これは、この部分は違憲だから、それを除去するように解釈すべきだ
というある種の憲法判断を伴っています。

なので、普通に限定解釈すればいい場面で、
わざわざ「合憲」限定解釈すると
ブランダイスルールに反してしまうわけですね。


とまあ、細かい点は、いろいろありますが、
安念論文、ぜひご一読を。

最初の1頁目のご指摘
「憲法上の主張は、民訴法的にみると、法律上の主張である」
の部分は非常に重要で、
この部分を理解していなかった、
という方にとっては、必読といえるでしょう。



そうそう、論究ジュリストでは、長谷部恭男先生が、
私の本を書評していらっしゃる……。

実は、先日お会いしたとき、
「ジュリストで書評するから、覚悟しておけ」という趣旨の
お言葉を頂きました。

基本的には「栄養満点」の演習書という評価を頂きまして、
ほっとしております。
まことにありがとうございました。

感想なのですが、拙著に「栄養満点」とのお言葉を頂きましたが、
実は、長谷部先生の書評こそ、
短いながらも「栄養満点」の重要原稿です。

そこでは、非常に複雑なチェスゲームが行われており、
皆様もぜひ、その棋譜をご堪能ください。

私なぞは、盤上のポーンの一つという感じです。
いや、ポーンはチェスの命だし、一歩千金ともいうから
ビショップ(成れない角)の一つと言う感じか。
わはは(乾いた笑い)。


最後にわけがわらなくなったな。

取材の自由について

2012-05-09 07:05:26 | Q&A 憲法上の権利
大将軍様からのお便りです。

取材の自由と筆記行為の自由 (大将軍)
2012-01-17 17:58:37
「急所」の一愛読者です。佐渡先生とは無関係な質問ですが、先生にお伺いしたいことがあります。判例は、取材の自由や、法廷での筆記行為の自由を憲法21条1項で保護していると考えているのでしょうか。自分としては、取材や筆記行為は表現行為そのものではないため、価値ある行為ではあるものの、裁判所としては憲法上保障していないと考えるのが素直な読み方ではないかと思いました。先生はいかがお考えかお聞かせいただけないでしょうか。



>大将軍さま (kimkimlr)
2012-01-18 07:18:01
こんにちは。
大将軍さまとは、すごい方から書き込みだと驚きました。
さらに、大将軍と名乗っているにもかかわらず、非常に丁寧な文章が書かれていて、さらに驚きました^-^>


さて、判例は、メモとりは、取材行為などと同様、憲法で「保障される」ではなく、「尊重に値する」と言っています。

確かにこれを保護範囲外とした論証と読むこともできますが、
メモとり・取材の規制はおよそ違憲にならない
とも言っていないので、(むしろ不当な規制は違憲とする方向に見えるので、)
私は、めもとり・取材も「憲法上保護されるが、表現の自由よりも保障の程度が低い」という趣旨かと理解しており、
それが一般的な理解かと思います。

それでは家臣の皆様にもよろしくお伝えください。


Unknown (大将軍)
2012-01-18 09:38:12
はっ、いや…さすがに受験生の宰相であられる木村先生に無礼はできませんで。

一つお尋ねしたいのですが保障の程度が弱いということになりますと、保障根拠が弱く価値が高くないとみるか、要保護性が弱いか、ということになるかと。そうしますと、例えば報道の自由は、自己統治や国民の知る権利に直接奉仕するのに対して、取材の自由はそれらに奉仕はするものの間接的な奉仕にとどまる、ということを理由に保障の程度が弱くなる、と考えられているのでしょうか。ただ、報道の自由を厚く保障するなら前提となる取材の自由も厚く保障しないと一貫しないようにも思います。



>大将軍さま (kimkimlr)
2012-01-19 07:35:15
ふーむ、間接的奉仕というのは、その通りかと思います。

また、取材には様々な態様がある上、取材対象の利益を考慮すべき場面も多く、
取材物の報道後の没収のような特殊な規制態様もあり、
表現行為よりもさらに多様な行為が含まれるので、
一概に手厚く保障するとは言えないということもあるかと思います。

またご存じとは思いますが、
取材の自由は報道の前提ですので、
実際の憲法判断を見ていると、
裁判所はかなり厳しく審査をしている印象を受けます。

こんな感じでいかがでしょうか?

Unknown (大将軍)
2012-01-19 17:14:20
どうもありがとうございます。

確かに取材の自由は博多駅等の事件でも比較的慎重に検討されている感がありますし、NHK記者証言拒否事件でも高い評価をしているみたいです。メモを取る自由は風が吹いたら飛ぶような扱いがされてますが(風は吹かなかったみたいですけど)。こうみていますと、直に保障されている報道の自由や表現の自由と、不可分の関係にあるか、距離感のようなものを意識するのも大事かなと思いました。
ありがとうございました。


>大将軍様 (kimkimlr)
2012-01-19 20:06:06
は。将軍としてのお仕事、大変かと思いますが、
頑張ってください。

対平成21年戦(4) 輸血拒否事件との関係

2012-05-05 08:52:08 | Q&A 採点実感
平成21年の問題について輸血拒否事件との関係について、ご質問いただきました。


Unknown (今年初受験)
2012-05-03 23:42:28
連載再開ありがとうございますm(_ _)m

仮に、第三者の人権の違憲主張適格の問題が出題されたときに、
規範・あてはめをどうしようか困っていたので、参考にさせて頂きます!

あと、平均21年の設問2に関しては、エホバの輸血の判例が関係しているとの噂をよく聞きます。
私も、当該事案において問題となっている情報を知る権利については、
13条の問題にすることが適切だとは思いますが、それがどうしてかは明確には言えないところであります。
つまり、21条の知る権利として構成出来なくもないのではないかと思うのです。
お忙しい中、申し訳ないですm(_ _)mUnknown (だんでらいおん)

2012-05-04 19:33:21
>木村先生
H21年解説記事、大変ためになります。おかげで、設問1で、「自由の問題?」を見逃していたことに気づけました。ただ、初見で解くこと&二時間の時間制限を考えると、自分には物凄い難問に感じてしまい、ちょっと自信が無くなります。

>Unknown様
自分も気になっていた問題なので、横からレス失礼します

●輸血拒否事件に関して
「同判例を理解していれば、Cに対するXの説明責任が問題となることに気付くことができたはず(採点実感)」
「XがCの要望と異なる『規則』の内容について説明していない(出題趣旨)」
とありますが、設問2で具体的にどう関わってくるのか自分もよくわかりませんでした。

●知る権利について
自分は以下のように理解しました。

知る権利(21条1項)は、人が思想・意見を形成するためには情報を自由に得ることが必要なところ、情報の偏在・独占化が進んだ現代社会では、情報の公開を求める権利を認めることが、表現の自由の保障にとって不可欠として、表現の自由に「受けての自由=知る権利」を含めるというもの。
ここから考えると、本件の遺伝子情報は思想・意見の形成とは基本的に無関係なので、知る権利(21条1項)の問題とはしにくい。

他方、遺伝子情報はまさに個人の情報(しかも、人格的利益と密接にかかわる?)であるから、その開示を求める行為は、自己に関する情報をコントロールする権利(13条)として保障される。


ご質問ありがとうございます。

えーと、平成21年の問題と輸血拒否事件について、
説明してみます。

輸血拒否事件判決は、要するに、

1 患者にとって重大な事実(輸血の有無)を告知することは、
  患者が治療を受けるかどうか、どのような治療を受けるか
  を決定する重要な前提である。

2 よって、そのような重大な事実をつけずに治療を
  することは、自己決定権の侵害になる。

3 自己決定権は、民事不法行為法上の
  法律上保護された権利である。
  (民事法上の人格権の一種である)

ということを述べた判決です。

平成21年の問題でも
患者さんに、情報開示をしてはいけないという規則があり、
その点について説明をせずに、治療・研究すると、
患者さんの自己決定権の侵害になるわけです。

ただ、
輸血拒否事件は輸血しないという規則があって
その規則を説明せずに、
輸血した、という事案。

平成21年の問題は情報開示しないという規則があって
その規則を説明せずに、
開示した、と言う事案。

かなり違うような気がしますね。


とはいえ、情報を開示しないと言う規則が
保護しようとしている利益があり、
輸血拒否事件の構造からすれば、
X先生は
「遺伝情報を知らせることは、
 ご本人に様々な心理的負担を生じさせる可能性があり、
 本学では、遺伝情報の開示に応じないと言う規則があります。
 しかし、私は、そうした心理的負担に
 あなたが耐えるということでしたら、
 情報開示をする予定で治療研究します。」
と説明し、本人の自己決定を促すべきだった
ということになるでしょう。

だから、処分は適法だとY大学当局が主張していく
ことを想定しているんだと思います。

規則に違反して情報を開示するにしても、
その前提として丁寧な説明が必要なはずで、
今回の処分は、ばっさりやりすぎた情報開示なので
X先生の要保護性が低い、ってことですね。

こんな感じでどうでしょう?

採点実感を書かれた先生が、ここまで細かいことを明確に考えていたかどうかは別として
このあたりに問題がありそうだから、
それを発見して明確に書けたら
高い評価をしましたよ、位のメッセージだとおもいます。