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木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

ご質問について

これまでに、たくさんのご質問、コメントを頂きました。まことにありがとうございます。 最近忙しく、なかなかお返事ができませんが、頂いたコメントは全て目を通しております。みなさまからいただくお便りのおかげで、楽しくブログライフさせて頂いております。これからもよろしくお願い致します。

社会的身分広義説と参議院の地域代表性

2012-05-04 08:02:25 | Q&A 憲法上の権利
平等権についてのご質問と回答を紹介します。

社会的身分 (まひる)
2012-01-15 19:03:10
先生こんちは

誤字ではないと思いますが、急所P255や269で、14条後段列挙事由を厳格に審査する多数説にたちつつも、「社会的身分」を広義説で述べています
厳格審査するなら、「社会的身分」は絞り込みが必要ということで、少なくとも広義説をとるのはおかしいと以前にLSの教授に厳重注意といいますか大減点を受けたことがあるのですが、

先生の考え方としては気にしなくていいということになりますか?

しかし私の教科書にも判例が広義説をとっているとありますので、LSの先生が言っていたことが一般なのではとおもうのですが、、



>まひるさま (kimkimlr)
2012-01-15 19:18:40
確かに狭義説の方が、後段審査基準厳格審査説と親和的かもしれませんが、
論理的に、広義説の社会的身分による区別で
厳格審査ということが絶対に成り立たないということはないと思います。

ちなみに私は、後段列挙事由による区別に厳格審査という
学説をとりませんので、
狭義だろうと広義だろうと社会的身分による区別があっただけで厳格審査をしたりはしません。

急所では、原告の立場から
厳格審査を求めるのであれば、
広義説的社会的身分による区別にも
厳格審査をしろと要求しなきゃいけないはずだ、
と書いてあるわけです、

こんな感じでどうでしょう?

Unknown (まひる)
2012-01-15 19:37:18
こんなにも早くお返事ありがとうございます

たしかに後段列挙事由をに厳格審査することと狭義説をとることとは論理必然性はないと思います

まったくそのとおりだと思いました

あと一つ先生にお聞きしたかったことなのですが、判例で、参議院地方選出議員の選挙の仕組みについて事実上都道府県代表的な意義ないし機能を有する要素を加味したからといって、、という有名な一文ってありますよね

この地域代表的性格というのはどういう意味なのか判例よんでもわからず悩んでいます

基礎的なこととは思いますがよろしければ教えてもらえないでしょうか



>まひるさま (kimkimlr)
2012-01-15 20:45:58
こんにちは。
そうですね。あと今気付いたのですが、
そもそも厳格審査をしない説では、
広義説でも狭義説でもどうでもいいはずで、
広義説と狭義説というのは、
後段列挙事由区別は厳格審査という説を前提に
厳格審査の範囲についての対立なのではないでしょうか。
(なので、広義説も厳格審査を前提にした説のはずです)

地域代表は、
全国民の代表なんだけど、
地域の事情に詳しい議員という程度の意味でしょう。

ではでは。


Unknown (まひる)
2012-01-15 21:10:56
そうなんですか、、少し調べてみます
でもたしかに、平等権を徹底する立場なら、厳格審査をとり、かつ広義説をとって平等権をより徹底すべき、というかんがえも成り立ちそうですよね

地域代表の話ですが私の質問が悪すぎました、、
地域代表的性格は衆議院ではいわれずになぜ参議院でいわれるのか、逆にいうとなぜ衆議院には地域代表的性格がないねか、というのが先の質問の趣旨でした
すみませんでした


>まひるさま (kimkimlr)
2012-01-16 06:27:50
二院制の趣旨からすると、
参院が、「全国民の代表」性を失わない範囲で
衆院にはない特色を出すことは、
許容ないし要請されている、ということかと思います。


二段階審査の第一段階と第二段階で審査基準は常に共通か?

2012-05-02 09:31:49 | Q&A 憲法判断の方法
このようなご質問をいただきましたので、
記事にしてお答えいたします。

Unknown (ririrara)
2012-05-01 22:42:46
木村先生、はじめまして。

佐渡先生対策講座等の処分審査の記事を拝読させていただきました。
私は今まで条文の趣旨から文言の解釈を行って本件は要件にあたらないから違法、ひいては違憲などの<処分審査2>の方法を行っていたのでとても衝撃的でした。
(が、とても勉強になりました☆)

なので、まだ頭が混乱していて稚拙な質問をさせていただくことをお許しください。


①処分審査を書く際の目的手段審査の基準は論理必然的に法令審査の基準と一致するか。

原告の立場では原告の立てた法令審査の基準を使って(多くの場合)手段審査を判断することとなり、私見では、(場合によっては)修正した法令審査の基準を使って手段審査をするのか。



どもです。
よくご質問を受ける点なのですが、必然ではないですね。

例えば、
「住宅街の平穏を維持するため
 この公園で、騒音をたてる行為を禁じる」
という規程があったとしますね。

で、この規程は、普通のアマチュアバンドの路上ライブ
には適用されていなかったのですが、
反原発を訴えるバンドにだけ、特別に適用されるようになった、
というようなケースを考えましょう。


この場合、この規程の法文違憲審査
(典型的適用例の審査、司法試験の出題趣旨などでは法令審査と呼ばれることもある)
をする場合、表現内容中立規制の審査基準になります。

一般に、このような場合に、適用審査(処分審査)をすると、
表現内容規制の審査基準になり、要求される目的の重要度は高くなるでしょう。


ところで、最近、私は表現内容規制というのは、
表現の自由の観点から審査基準が厳しくなるのではなく、
表現に示された思想にもとづく差別が疑われるから審査基準が厳しくなっているのでは?
と思うようになっています。

こう考える場合、法文違憲審査と適用審査で、
そもそも制約されている権利が違う、ので、審査基準も当然変わる、ことになるでしょう。

も少し身近な(?)を挙げると、
立川ビラ判決の事案では、法文違憲審査段階では、
「表現行為ではない住居侵入行為の規制」が問題になるので、
制約された権利は、住居侵入の自由。
適用審査では、表現の自由の制約が問題になります。

やはり審査基準が変わりますね。

あと、同種の権利で審査基準が変わりものとしては、
「ある町では、学習塾営業の許可制がとられていたが、
 例外的に、いくつかのターミナル駅前での開業については
 実質届出制として運用されていた」という状況があったとして、
無許可で駅前開業した、みたいな事案です。

この場合、法文違憲審査段階では、許可制の基準がとられ、
適用審査では、届出制の基準がとられる、可能性があります。


多くの場合、法文違憲審査(典型的適用例審査)と適用審査の審査基準は共通しますが、
それぞれ制約された権利が違う場合、
あるいは、制約態様が異質な場合、審査基準が変わります。



②H22本試験の生存権における処分審査についても目的手段審査を使うのか。

採点実感では「『居住地』『現在地』の文言お解釈適用(運用)が問題となっていることを意識し、……その解釈を検討することが求められる」

上記記述を前提とすると目的手段審査を予定していないように思えるのですが、それは社会権であるため自由権とは異なるということでしょうか?
司法試験で求められている処分審査においては必ず目的手段審査を用いるのでしょうか?

どうぞよろしくお願いします。


あの問題は、請求権事案なので、
そもそも防御権制約の目的手段審査や、いわゆる三段階審査(保護範囲、制約、正当化)は適用できません。

急所第八問をご参照ください。