唐突ですが、なかなか画家というのは大変なお仕事だと思います。
もちろん、文化・芸術というものにかかわる以上、
音楽家だろうが小説家だろうが学者だろうが、
クリエイティブな仕事は、大変なわけですが、
絵画というものは、現在のわれわれが
過去の最高レベルの傑作の「実物」に触れられてしまう、という特殊性があります。
フルトヴェングラーの第九も、ミケランジェリのヴァチカンコンサートも
CDで聴けますが、やはり「実物」ではないわけです。
小説家や学者は、作品を書く上で「現在を生きている」というアドバンテージがかなりあります。
どう頑張っても携帯電話を扱った漱石の作品は探せないわけですし、
われわれ若手研究者は、奥平先生や我妻先生が検討した地点から議論をスタートできます。
ところが、絵画は、そうはいきません。
もちろん、絵画も時代の文脈中にあるもので、
ピカソの絵画が提示される意味はだいぶ違うわけですが、
われわれは絵画展に行けば
北斎、写楽、マネ、モネ、レンブラントにミケランジェロ
ピカソ、ホッパー、クリムト等などの絵の「実物」を見れるわけです。
そして、すぐれた作品は、ものすごく長い生命を持ちます。
もちろん小説や学術論文もそうですが、
私、個人的には、やはり、小説・論文は後生のアドバンテージがかなりあると思います。
画家として生きるには、そうした膨大な「傑作の実物」と戦わなくてはならないわけで、
これは想像以上に大変です。
ほほほ。もし、過去の音楽家・学者の「実物」が生きていたら、
ピアニストや大学教授として生計を立てられる人の数はグンと減りますね(涙)
有名なホールは、ルービンシュタインとかトスカニーニNBCフィルとか
ショパン(!)とかベートーベン(!)に占拠され、
大学の教授ポストは、美濃部・宮沢・芦部・我妻・平野……といった連中が支配するわけです。
見る側にとっては最高ですが、若手音楽家や若手学者にとっては悪夢や……。
そして、そんな悪夢のような環境で戦うのが若手画家です。
絵画展を行うスペースは限られています。
そして、そこでは「カンディンスキー展」だとか「17世紀のオランダ美術展」とか、
できてしまうわけで、
若手の画家が、絵画展を行うには、それを押しのけて「俺はそいつらより人を呼べる!」と言うか、
競合しないような所で絵画展をやるしかないわけです。
そんなわけで、お勧めの若手画家の個展の紹介です。
銀座のメグミオギタギャラリーで開催されている、
深海武範さんの個展。
深海武範個展「待合室」
日時 1月17日から2月4日
会場 メグミオギタギャラリー
(東京銀座)
ええ、なぜ私が深海さんを知っているかと言うと、
私の『平等なき平等条項論』の表紙を書いて下さった山本陽光さん・・・
・・・これです。
深海さんは、山本さんの東京芸大の先輩で、
今の世代の言葉で絵画を描く、という意識で
ポップで面白い絵を書いておられます。。
会場は、銀座の地下のガレージのような不思議なスペースで、
深海さんのさまざまな時代の作品に触れることができます。
これを機会に、深海さんや山本さんのお名前を覚えてくださると幸いです。
興味のある方は、ぜひ足をお運びください。
もちろん、文化・芸術というものにかかわる以上、
音楽家だろうが小説家だろうが学者だろうが、
クリエイティブな仕事は、大変なわけですが、
絵画というものは、現在のわれわれが
過去の最高レベルの傑作の「実物」に触れられてしまう、という特殊性があります。
フルトヴェングラーの第九も、ミケランジェリのヴァチカンコンサートも
CDで聴けますが、やはり「実物」ではないわけです。
小説家や学者は、作品を書く上で「現在を生きている」というアドバンテージがかなりあります。
どう頑張っても携帯電話を扱った漱石の作品は探せないわけですし、
われわれ若手研究者は、奥平先生や我妻先生が検討した地点から議論をスタートできます。
ところが、絵画は、そうはいきません。
もちろん、絵画も時代の文脈中にあるもので、
ピカソの絵画が提示される意味はだいぶ違うわけですが、
われわれは絵画展に行けば
北斎、写楽、マネ、モネ、レンブラントにミケランジェロ
ピカソ、ホッパー、クリムト等などの絵の「実物」を見れるわけです。
そして、すぐれた作品は、ものすごく長い生命を持ちます。
もちろん小説や学術論文もそうですが、
私、個人的には、やはり、小説・論文は後生のアドバンテージがかなりあると思います。
画家として生きるには、そうした膨大な「傑作の実物」と戦わなくてはならないわけで、
これは想像以上に大変です。
ほほほ。もし、過去の音楽家・学者の「実物」が生きていたら、
ピアニストや大学教授として生計を立てられる人の数はグンと減りますね(涙)
有名なホールは、ルービンシュタインとかトスカニーニNBCフィルとか
ショパン(!)とかベートーベン(!)に占拠され、
大学の教授ポストは、美濃部・宮沢・芦部・我妻・平野……といった連中が支配するわけです。
見る側にとっては最高ですが、若手音楽家や若手学者にとっては悪夢や……。
そして、そんな悪夢のような環境で戦うのが若手画家です。
絵画展を行うスペースは限られています。
そして、そこでは「カンディンスキー展」だとか「17世紀のオランダ美術展」とか、
できてしまうわけで、
若手の画家が、絵画展を行うには、それを押しのけて「俺はそいつらより人を呼べる!」と言うか、
競合しないような所で絵画展をやるしかないわけです。
そんなわけで、お勧めの若手画家の個展の紹介です。
銀座のメグミオギタギャラリーで開催されている、
深海武範さんの個展。
深海武範個展「待合室」
日時 1月17日から2月4日
会場 メグミオギタギャラリー
(東京銀座)
ええ、なぜ私が深海さんを知っているかと言うと、
私の『平等なき平等条項論』の表紙を書いて下さった山本陽光さん・・・
・・・これです。
深海さんは、山本さんの東京芸大の先輩で、
今の世代の言葉で絵画を描く、という意識で
ポップで面白い絵を書いておられます。。
会場は、銀座の地下のガレージのような不思議なスペースで、
深海さんのさまざまな時代の作品に触れることができます。
これを機会に、深海さんや山本さんのお名前を覚えてくださると幸いです。
興味のある方は、ぜひ足をお運びください。
専門的なことはよくわからないのですが,絵を見るのは好きなので,時間を作って銀座に行きたいと思います(^^)
先生の『平等なき平等条項論』の表紙画もいいですよね!味気ない表紙の法律書が多い中で,手に取りたい気分にさせてくれます。
若手学者の悪夢といえば,三ヶ月章先生が「今の若い者は考えない。たとえば中野貞一郎くんは……」と言っているのを聞いて苦笑したという話を,民訴の山本和彦先生がしていたような気がします(笑)
民訴学界のように偉大な方々が長寿だと,下の世代は大変な面もありますよね^^;
「どこが若いねん!じじぃやないか!!」
と、突っ込まずにはいられませんでした。
・・・不適切かと思いますので削除していただいて結構です。
いや。まったくです。
アリストテレスが最近の若いもんは
みたいなことをいっていましたが、
今の我々から見れば、アリストテレスの時代の人は
全員古代人です。
>YSさま
ありがとうございます。
ぜひ感想聞かせてください。
ミカヅキ先生さすがです。
確か先生は20歳くらいでローマ法の論文を書いたとかで、
先生からみれば、若手が物足りなかったのかもしれません。ふふふ。
ロウソクを持った女の子の絵やベッドに寝ている女の子たちの絵を観て,奈良美智さんの絵を想起しました。
でも,奈良さんの作品はなんとなくドライな感じがするのに,深海さんの作品はどこか温かみを感じるんですよねぇ
あと,炭酸水のカップの奥に女の子がいる絵とか山の絵とか,歪みというか揺らぎというか,そういう世界観を描くのが巧い方なのかなと思いました。
展示作品の中では,火の点いたロウソクを持った女の子とロウソクを吹き消した女の子が描かれている絵が一番気に入りました。
先生はどれが好きですか??
展示スペースも,地下にガランとした空間が開けていて,不思議な感覚になりますね
とてもうれしいです。
確かに、あのギャラリー、面白いですよね。
(私は行くときちょっと迷ってしまいましたが)
そうなんです。深海さんは、温かみがありますね。
私は、子ども用のビニールプールに飛び込もうとしている絵と
スイッチの上でピッチャーがガクってくる絵が好きでした。
(どうも、そういう方向にいってしまうなあ・苦笑)
奈良さんですかあ。面白いです。
確かにどことなく雰囲気がにているかもしれません。
どうもありがとうございました。
YSさまも面白い絵画展みつけたら、ぜひ、教えてください