木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

伊藤先生は誰の盤で聞いていたのか?

2011-09-20 16:56:02 | 音楽
さて、伊藤眞先生の真意ですが、もしかすると、先日コメントしたような深淵な意味ではなく、もっと軽い気持ちで書かれたのかもしれませんね。

チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を見てみますと、冒頭からユニゾンのホルンがffで下降音形を奏し、全オーケストラがこれまたffのユニゾンで呼応するという、勇壮な始まり方です。しかも、ソロピアノも、あの「ジャーンジャーンジャーン」という10本の指と体躯とピアノの音域をフルに使った、打楽器的なパッセージで始まり、その上を息の長いフレージングを持った雄大なメロディが流れます。

これは、伊藤先生が、初版を書かれていたときの、「これから大著を書くぞ~!」という意気込みを表しており、そのモチベーションを維持するための音楽であるわけです。


とのcolさんのご指摘を受け、少し考えてみました。

確かに、チャイコにしろ、コルトレーンにしろ、
いかにも考えすぎな空気が漂っています。

ここは伊藤先生本人に確かめたいものですが、
こういうものは、敢えて確かめずに、
どうなのだろう?と考え続ける方が楽しいように思います。

さて、チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番。
雄大な曲で、これから大著を書く、
という場面にぴったりであるように思うのです。

ところで、この曲の名盤というと、やはり
ホロビッツ・トスカニーニ盤が挙げられます。
私も、長い間愛聴しています。

しかし、この名盤。
冒頭のピアノが、いくら雄大な曲といっても
これはやりすぎなのではないか、というパワーで
始まります。

ピアノから「ボカーン」と表現せざるを得ない
音が出るということを初めて認識させられた体験です。

私は長い間、これは美しくひびかせる他の盤に対する
アンチというか、問題提起だと受け取っていたのですが、
最近、むしろ、このホロビッツ盤が
この協奏曲をメジャーにしたきっかけの一つだったことを
知るに至りました。

ということは、今、何の知識もなく聞いた人には
イロモノ盤に聞こえるあのホロビッツ盤が、
むしろ、正しい解釈ということなのでしょうか?

そして、伊藤先生は、いったい誰の盤で、
協奏曲を聴いていたのでしょう?

謎はさらに深まるばかりです。




・・・。

さて、つづいてmacaroniさんの投稿です。

また、マスターがちょっと怖いので、
マスターと良好な関係を築いておられる木村先生が羨ましいです。
(以前、ジャムを大人買いしたら思い切り不審がられました。
紅茶を買わずにジャムだけだったのがいけなかったのでしょうか。)

ちなみに私の場合、
平等なき平等理論は、モーツァルトのピアノコンツェルトとの相性がよかったです
(上の方のような詳しい解説はできず漠然としててすみません)。



マスターが怖い。
まさにその通りです。
マスターは、客でも、お茶に興味を示さないと
すごく怖いです。
もっと人当りよくすればよいものを、と思いますので、
今度あったら説教をしておきたいと思います。
(たぶん、押し切られますが)

しかし、あそこのジャムおいしいですよね。
私は、助手時代、毎朝、
パンにジャム、そして濃いディンブラを一杯という
朝ごはんを食べていました。


さて、ところで、おっしゃる通り、私は
『平等なき平等条項論』を書くとき、
ミケランジェリのモーツァルトピアノコンチェルト
20&25盤を聴いておりました。

私は、論文を書くとき、
「こんなこと気にする人あんまりいないだろうけど、
 しっかり書いておかないと、
 本当に緻密な人には手を抜いてるの伝わっちゃうんだよな~」
というような毛細血管的に細かいことに
気を使うことをモットーの一つにしております。

例えば、『急所』31ページの
「この審査は、正確には、処分自体を・・・」という文章がそうで、
この記述は、細かいこと気にしない人には
まさにどうでもいい記述なのですが、
やはり、分かる人には分かるわけです。
(実は、法学セミナー最新号の山本先生の論文が
 この箇所をしっかり引用して下さっておりました。
 分かる人には分かるわけです。感謝。)

さて、しかし、こういう細かなことは、やはり面倒であるが故に
おろそかになりがち。

そういうことのないように、と考え、
自分を戒めるために、私はミケランジェリ盤をよく聴いておりました。

聴いたことのある人には伝わると思いますが、
ミケランジェリのモーツァルトは、
緻密に細部にこだわりつくすことが、いかに重要か、
ということを自覚させられる作品です。

そして、背景にミケのモーツァルトが控えていることを、
まさに感じ取ってくださる方とお話しができて、私はとてもうれしいのです。

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3 コメント

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Unknown (macaroni)
2011-09-20 22:09:11
お返事ありがとうございます。

ホロヴィッツの音は本当に独特ですよね、
時代によってスタンダードが変わるのは面白いです。
クラシック音楽の演奏家は、楽譜に忠実に演奏するものとの認識だったので、
ホロヴィッツの「展覧会の絵」を聞いたときはぶったまげました
(しかも、その出来映えに大興奮)。
以後、楽譜に忠実すぎる演奏に若干物足りなさを感じ始めたり・・・。


先生のモーツァルトはミケランジェリの演奏でしたか!
私はピリスの演奏を聴いていました。
先生の本を「ワクワクがドキドキな感じ」で拝読したのですが、
ピリスの「お花畑にいるようなルンルンな演奏」と相まって
とても楽しく読むことができました。
(・・・あたま悪い表現しかできず申し訳ありません。)
同じ曲でも演奏家によって抱かせるイメージが全然違うのは面白いですね。


ティーファクトリーのマスター、よろしくお願いします(笑)。
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Unknown (macaroni)
2011-09-20 22:45:39
「ワクワクがムクムクな感じ」と書きたかったのですが、
間違えてしまいました・・・(いずれにしても頭、、、(略)ですが)。

ワクワクがドキドキなのは、「まんまる」という歌でした。
木村先生ならご存知かと思うのですが。。


駄コメ訂正失礼しました。
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>macaroniさま (kimkimlr)
2011-09-21 12:06:01
にゃんちゅうー。

マスターによろしく言っておきます。
おまかせください
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