気ままな旅

マイカーでの気ままな旅で、束縛された予定や時間にとらわれない、自由奔放な行動をとる旅の紹介です。

山が深紅のじゅうたん・・・葛城山

2009-06-20 15:48:35 | 
 平成21年5月18日(月)昨日までの雨もあがり、太陽光線が窓間から差込み明るい朝を迎えている。
 今日はかつてから行きたいと思っていた、大和葛城山(やまとかつらぎさん)へつつじ見学の登山を予定している。
 どうやら絶好の登山日和で、地元の情報によるとつつじも満開とのことである。

 大和葛城山は金剛生駒紀泉国定公園に属し、標高は960m、山頂付近はなだらかな高原状となり、生駒山系の山並みや大和盆地、晴れた時には淡路島など東西南北の眺望が楽しめる。
 山頂には「高原ロッジ」の宿泊施設などもあり、ロープウエーなどを利用すると、気軽に訪れることができる。 
 その為に四季を通じて多くの人たちが訪れるリゾート地である。
 春は山一面の紅いつつじ、夏は納涼や夜景、秋はススキの広がり、冬は樹氷など白銀の世界の景観などが季節ごとに楽しめる。
 
 今朝は早く起床し、登山準備を整え、南大阪にある自宅を妻と二人、愛車マークⅡで7時過ぎには出発する。
 国道170号線を走行し、富田林から国道309線に入り、水越峠を経由して葛城山ロープウエー乗場の駐車場までやって来た。午前8時30分に到着する。
 ロープエー乗場には 「一目百万本」 といわれるつつじ群落を見ようと、多くの人たちが訪れている。
 私達は、ロープウエー乗り場の横にある、登山道入口から、午前8時45分に出発する。
 登山道も歩きやすいように綺麗に整備されている。
 登山道を進むと、左側には川が流れ、正面には砂防堤が見えている。
 そこから急坂の坂道を登ると、すぐになだらかな道が続いている。
 上空をロープエーが通過していく。歩き始めて15分ほどで 櫛羅の滝 に到着する。

          
         山頂まで続く葛城山ロープウエー 良く整備された登山道を登り始める

 櫛羅の滝には、次のようないわれがある。
  弘法大師がこの地を訪れ、天竺のクジラの滝によく似ているので、供尸羅(くじら)と名づけた。
 供屍羅の供屍という字は「供に屍」と書くので、いけないとあって、領主の永井信濃守が屍の二字を櫛と改めたという。
 この滝に浴するものは不動明王の功徳によって脳病によく効くといわれている。
 また、その昔、役の行者 小角が櫛羅の滝で修行中に 母親が一緒に修行をしようと訪れたが 、この滝を母に譲り、 少し上にある二の滝で修行するようになった。
 「尼ヶ滝」「不動滝」とも呼ばれている。
  落差は10mほどであるが、 台風などの災害で滝つぼは失われ、平成元年に修復されている。

           
     静かな音を立て流れ落ちる 「櫛羅の滝」 渓谷沿いの登山道を登って行く

 櫛羅の滝を過ぎると林の中の登山道を暫く進んで行くと、安位川沿いにできた小さな砂防提が見え、そこから急坂の道となる。
 手摺の着いた木の階段などが多い道である。 
 25分ほど登るとニの滝(行者の滝)に到着する。
 ニの滝には糸を引くような細い水が流れ落ちている。
 ニの滝からは、今まで続いていた渓流の道筋から離れ、檜(ひのき)林の道に変わってくる。
 林の中に作られた緩やかな登山道で、枝間から陽光が射し、林一帯を陰と陽に分離して、幻想的な世界をかもし出している。

           
 糸を引くように流れ落ちるニの滝(行者の滝) 檜(ひのき)林の中の登山道を進む

 檜林の道を25分ほど進むと、檜林からブナなどの雑木の林に変わってくる。
 さらに進んで行くと沢にごつごつした岩があり、若い男女のペアーが、石の上に腰を下ろして休憩をしている。
 岩の奥には小さな湧き水が出るのか、岩間に水が溜っている。その横の石には「大阪 開運講」 と彫られている。  

           
           大阪 開運講と彫られた岩  ぶななどの雑木林の登山道を進む

 さらに進むと道脇の山稜が熊笹に覆われ、ブナなどの樹木が多くなっている。
 登山道も右に曲り、木の土留めで出来た急坂の道を登って行くと、森の中に小さな建物が見えはじめている。
 これが頂上部に広がる丘陵地に作られた葛城天神社である。
 登り初めて、神社まで1時間25分で到着する。

          
         熊笹に覆われ ぶなの雑木などが生い茂った頂上付近の登山道

          
              頂上部近辺に自生しているブナなどの原生林

 「 葛城天神社は、葛城の霊峰に鎮座しています。
 天の神の始祖国常立命を祭神としておまつりしてあります。
 境内の界隈を「天神の森」と称し、古代祭祈の遺跡で加茂(鴨)氏の祖の神跡とも伝えられ「鴨山」とも呼ばれています。
 古来葛城地方に繁栄した加茂氏を初めとする諸民族がこの天つ神の御神偲を敬い奉仕して来たそうです。
 今日なお人々の信仰篤く、国土安全、万民快楽、五穀豊穣の栄をかけてお祈りし、ご霊験まことにあらかたでございます。 」 と記載されている。
    
          
 頂上部にある葛城天神社、役の行者神変大菩薩や大日大聖不動明王も祀られている。

 ロープウエイ駅の近くには葛城天神社があり、その境内に役行者神変大菩薩の祠がある。
 そこに役行者ついてその生い立ち、行跡、岩橋のことなどが記されている。
「 役行者  役行者は名を小角、姓は役公といい舒明天皇六年、この山の麓御所市茅原の里で生まれました。
 父は加 茂間賀介麿又の名大角、母は渡部岐比売又の名自尊女と伝えられています。
 幼少より天性聡敏七才にして仏道に志し その蘊奥を極め、当時麻の如く乱れた人心を救済されようとして十七才で発願され、この葛城の深山幽谷で荒修行を重ね蔵王権現を感得し、修験道を開創されました。
 その足跡は山岳修行の先駆者として日本全国の霊山に残されておりますが、とりわけここ葛城山は役行者が四方の山をうち眺め吉野大峰の如何にも程近いさまに、葛城から大峰に岩橋をかけ客僧達の通い路にされようとした伝説とともに山岳宗教修験道発祥の霊地として崇敬されているのであります。」

           
           役の行者神変大菩薩         大日大聖不動明王

 「 大日不動明王は、大日如来が世の中の一切の悪魔と煩悩をうちけるため、化身されているという尊い明王であらせられます。
 金剛石の上にいかめしいお姿で立っておられるが、心には悲しみの徳と、おおらかな知恵を蔵され、悪を払い、善を救い給う慈悲のお姿であります。
 不動明王を信ずる者は、その身の左右を離れず影の形に随う如く利益をなし給う。 」 と記されている。

           
          ロープウエー山頂駅からつつじの大群落地入口まで続く遊歩道

 葛城神社前の広い遊歩道には、ロープエーを利用してきた人たちと合流する為に
多くの人たちが行き交っている。
 私達も「一目百万本」といわれるつつじの大群落地を、早く見たいと思い遊歩道を進んで行った。
 途中にはみやげ物や食堂などの店舗もあって、多くの人たちで賑わっている。
 店の東側には展望台があって、ご覧の写真のような、大和盆地に属する御所の街並みが見えている。
 美しい光景である。やはり高い場所から眼下の景観を見るのは美しく、思わず見とれてしまうほどである。
  
          
              頂上部から御所市方面の街並みを望む 

 遊歩道をさらに進むと、目の前には国民宿舎「葛城高原ロッジ」が見え、横を通り過ぎて行く。
 そうすると目の前には、紅いじゅうたんを敷き詰めたように、つつじの群落が見え多くの人たちで賑わっている。圧巻である。これほどの規模で、山一面が紅一色の景観は始めてみる光景である。
 正面には金剛山が堂々とした山容を現し、葛城山の紅い山稜とうまく調和さしている。
 つつじ群落地の頂上部分には、木の板で出来た十畳ほどの広さを持つ展望台が幾つか造られ、大勢の人たちが弁当を開けたりして思い思いに過ごし、深紅のじゅうたんのような景観を楽しんでいる。
 私もこれほどの、山の頂き全部がつつじの大群落であることに驚き、しかも圧倒されてしまいそうである。
 時期的には、少しピークを過ぎ、花びらは散り初めているが、全体の色彩には影響なく、見事な自然の紅い花園を演出している。

          
 山頂部分からの谷間にかけて大群生、花の谷間に当たる部分にも展望(花見台)が造られている。
          
    大群落地の中にも幾つかの遊歩道が造られ、周遊出来るようになっている。
   
          
 紅いじゅうたんの葛城山から金剛山(1125m)を見ていると、金剛山は堂々として葛城山と良く似合っている。

 こうして見ていると金剛山は頼もしい男性的な山で、葛城山は赤い衣装を美しく着飾った女性的な山で、春の決まった時期に姿を表し、お見合いをしているように思えてくるから不思議である。

          
 山頂の頂きにはご覧のような花見台(展望台)が造られている、五条方面の山稜の展望 

          
 満開のつつじを撮影する人達、紅いつつじと青い空、白い帯状の雲が見事なコントラスト描いている。

          
          谷間に紅いつつじが大群生、一目百万本の見ごたえを感じる

          
          群落地の入り口からの反対方向の紅いつつじ山の全景

          
             紅いつつじの枝間から見上げる紅一色のつつじ山

          
         紅いつつじが山稜にうねりを造り、違った景観を見せている。

          
 谷間にある紅いつつじを見上げると、頂上付近では多くの人たちが展望台からの景観を楽しんでいる。

          
紅いつつじ群落地の反対方向にもこのような美しい草原が広がっている。この奥に葛城山頂がある。

          
紅いつつじの大群落地の反対方向にある葛城山頂(標高960m)多くの人たちで賑わっている。
        
 私たちは、かつてからの念願であった、紅いつつじの咲く季節に来たいと思っていた、大和葛城山の登山がやっと実現した。
 山登りも一時間25分と私達には手頃な山であった。
 山頂部の山の頂き一面に咲き誇る紅いじゅうたんのつつじの大群落は、想像していた以上のすばらしさであった。
 これほどの大群落が自然に出来たこと事態に大きな驚きと感動である。
 葛城山頂は、高原の中の公園にあるような平坦地の山頂であったが、多くの人たちで賑わい、山頂を吹き抜けていく風心地よさと、360度広がる山頂からの眺望を楽しんでいるようであった。
 ただ、天気は悪くないが視界はかすんで見えているのが残念である。
 私達も葛城山頂で暫く過ごして、十分に満喫した後、元来た登山道を下山して帰って行った。   


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