気ままな旅

マイカーでの気ままな旅で、束縛された予定や時間にとらわれない、自由奔放な行動をとる旅の紹介です。

日本の名峰「乗鞍岳(3026m)」登山その2

2011-08-23 15:17:25 | 

 乗鞍岳(のりくらだけ)は、山岳道路 [乗鞍スカイライン(岐阜県側)及び乗鞍エコーライン(長野県側)] の開通により、3000m峰で最も手軽に登れる山として、多くの人達に愛され続けている山である。 

北アルプスなど日本を代表する山岳群の大展望、夏スキーの出来る大雪渓、咲き乱れる高山植物など、楽しみの尽きない山でもある。

乗鞍岳は、中部山岳国立公園内に位置し、岐阜県と長野県にまたがり、長野県側の麓には乗鞍高原が広がっている。 

山名は、馬の背に鞍を置いたような山の姿に由来している。

乗鞍岳は、北アルプス南部の剣ヶ峰3026mを主峰とする山々の総称で、大日岳、朝日岳、摩利支天岳、富士見岳、屏風岳など23の山、7つの湖、8つの平原があり、広大な裾野が広がっている。 日本百名山、新日本百名山にも選定されている。

2011年(平成23年)8月14日(日)奥飛騨温泉郷内のオートキャンプ場で昨夜から4人で過ごし、朝早くから起床、平湯温泉街からタクシーで乗鞍スカイライン終点の畳平までやって来る。

バス終点となる畳平(たたみだいら)の標高は、2702mで、森林限界を超えた高山帯に位置している。

私は乗鞍畳平までは、過去、マイカーで何度も訪れている。(マイカー規制以前) 

最初は乗鞍スカイラインの岐阜県側が多かったが、長野県側のエコーラインも、何度も走行して畳平まで訪れている。

 何度訪れても、また、来たくなる不思議な魅力を持った山である。  

季節によって変わる乗鞍からの眺望や自然の光景は、魅力一杯で、私たちの心を引き付け、虜にするような力を持っている。

平湯温泉から乗鞍までの山岳道路から、北アルプスの山々や御嶽山などの大眺望

頂上に近い畳平の平原、それをとり囲む森林限界を超えた美しい山々や池、夏でも消えない雪

それらが うまく調和し 乗鞍独特の景観をかもしだし 訪れた人たちを魅了している。

訪れば 訪れる程 味わい深いものを感じさしてくれる。

ただ 何度も来ているのに 何か、物足りなさを感じていた。

それは、過去一度も 乗鞍岳の最高峰に 登頂してないという物足りなさである。

頂上への登頂は何故か計画する度に消えて実現していない。

今回、やっと 永年の思いが 永年の夢が実行できる時が 現実としてやってきた。

畳平バスターミナルからの風景。左が富士見岳、正面にはコロナ観測所が見えている。

 

乗鞍岳畳平バスターミナルに到着した後、出発準備を整え、同じターミナルにある乗鞍本宮 中の社で乗鞍登山と道中の安全を祈願して参拝し、午前8時50分 登山を開始する。

クマ出没注意の表示が出されている(畳平バスターミナル)

歩き始めて、お花畑寄りの歩道に近づくと、「クマ注意」 と書かれた表示があった。 近くのガードマンに尋ねてみると、

「昨日、畳平にあるお花畑にクマが出没、まだ、クマがどこにいるか確認が取れていない。確認がとれるまで立ち入れ禁止」 とのことだった。

乗鞍スカイライン(岐阜県側)及び乗鞍エコーライン(長野県側)終点の畳平バスターミナル(標高2702m)にて 後方は富士見岳(2817m)と西側の麓に帯のように見えるのが登山ルート。

 

 サー乗鞍登山開始だ、 畳平から乗鞍岳の最高点である剣ヶ峰(3026m)へは、鶴ケ池の脇から富士見岳(2817m)の山頂または西面を経由するコースと、畳平バスターミナル下のお花畑を経由するコースがある。 

お花畑のコースはクマ出没により立ち入り禁止になっている。

 私たちは、鶴ケ池の脇から富士見岳の西面を経由するコースを選び、4人で歩いて行く。 

 畳平から鶴ケ池の脇に差し掛かった頃、二人の若い女性が、池をバックに写真撮影をしている。 

私がひとことの挨拶をした後、「一緒に撮ってあげましょうか!」 というと、気軽に応じてくれて、女性のカメラで撮影をする。 

今度は私たち4人を一緒に撮ってもらった。 

その後もこの若い女性達とは、度々一緒になって、会話したり、写真を撮ったりすることになる。 

東京から来られたようで、愛らしい品の良いお嬢さんである。

畳平の直ぐ近くの東にある池、水量の多い時期は、首の長い鶴のような形をしていることから名づけられた、と言われる鶴ケ池(2694m)

 

鶴ケ池の脇の道を進んで行くと、幾種類もの花が咲いている。

名前は分からないが2700mの高山で花を咲かせ、訪れた私たちの目を楽しませてくれる。

 

鶴ケ池に咲いていた花

鶴ケ池の横に造られた幅広い登山道から正面の富士見岳(2817m)に向かって歩いて行くと、幅広い県境広場に着く、右に曲がって行くと最高点の剣ヶ峰に通じる。 

 

鶴ケ池近辺の登山道脇に咲いていた花

富士見岳西側の道から畳平バスターミナルと鶴ケ池方面を望む。左の山が恵比須岳2831m、右側が魔王岳2760m

畳平を出発して10分ほどで富士見岳下の分岐点に到着する。 右のコンクリートのよう壁に沿って行くと乗鞍岳頂上の剣ヶ峰に通じる。

 

富士見岳下の道路脇に咲いていた、可憐な花びらをつけたコマクサ

富士見岳下の西側にある道をしばらく行くと、山間の雲海に浮かぶ見事な御嶽山3067mが顔を出している景観が見られた。

雲海に浮かぶ御嶽山の眺望を楽しみながら、さらに進んで行くと残雪の残る池が綺麗な水を湛えて見えてくる。

不消ケ池(きえずがいけ)で、白い残雪が水面に映り、コバルトブルーの美しい色彩を現している。 自然が作り上げた神秘的な造形である。 後方の山頂にはコロナ観測所(摩利支天岳)が見えている。

緑の絨毯を敷いたような光景の中で、池面と残雪の美しい姿を見せる不消ケ池と不動岳2875m、後方は恵比須岳2831mの見事な景観。

不消ケ池(きえずがいけ)を右手に見下ろしながら進んで行くと、、コロナ観測所のある摩利支天岳方向の道(一般者は通行禁止)と剣ヶ峰へ通じる肩の小屋方面へと道が分かれている。 

 

乗鞍岳の東側は、長野県側になり、眼下に見下ろすような絶壁の斜面が続き、その下には位ケ原(くらいがはら)の平原が広がっている。 

平原の中には曲がりくねった乗鞍エコーラインの山岳道路があり、数代のシャトルバスが行き交っている。

乗鞍エコーラインの山岳道路(乗鞍高原と畳平を結んでいる=長野県側)

 

私たちはコロナ観測所のある摩利支天岳との分岐点を肩の小屋方面に向かって行く。 

正面には乗鞍岳の山峰が見え、その麓には大雪渓が広がり、雪渓の上で夏スキーを楽しんでいる人達が見えている。

大雪渓を抱いた乗鞍岳(最高点の剣ヶ峰3026m、蚕玉岳(こだまだけ)2979m、朝日岳2975m)の山峰と大雪渓。

多くの登山客で賑あう肩の小屋、 冷たい飲み物や軽食なども摂れる。 奥に見える赤い屋根は東大宇宙線研究所。

肩の小屋からは朝日岳の東斜面を経由して、朝日岳(正面)と蚕玉岳(左側)の窪みの部分を目指して行く。 

 

この登山道は、砂礫やごろごろした石や岩が多く歩きにくいコースであるが、一歩一歩、杖を突きながらゆっくりと登って行く。 

乗鞍岳登山(剣ヶ峰)最大の急斜面の登山道である。

上空を見上げると、朝日岳の東斜面に出来たジグザグの登山道には、子供から老人までの多くの登山客が、列をつくるようにして登っている姿が見えている。

肩の小屋から少し登った所で、ブラジル人夫婦がダウン、彼女は登山が初めてとのことで、無理からぬことか!

その後も、皆で励ましながら登って行く。

ごつごつした石と砂礫の登山道を30分ほど登った所、眼下には肩の小屋とコロナ観測所のある摩利支天岳が見えている。

肩の小屋から40分ほど登ると朝日岳と蚕玉岳の窪みの部分に到着する。

肩の小屋の反対方向には、美しい水面と残雪を見せる権現池(一の池)が姿を現し、後方には白い夏雲が覆い、その下の雲間には山々の山稜が見えている。

 視界がはっきりしていれば、この方向に名峰 白山(2702m)が眺望できるとのことだった。

肩の小屋から朝日岳2975mの東斜面を登ってくると写真中央の窪みの部分に到着する。

蚕玉岳2975mの頂上での記念の撮影、後方は乗鞍岳最高峰の剣ヶ峰3026m、右が大日岳(奥ノ院)3014m

残雪と美しい水面を湛える頂上直下の権現池(一の池)と、それを取り囲む高山帯らしい外輪山の景観

 

権現池は、乗鞍の湖沼群では最大で最高所に位置し、国内では御嶽山の二の池に次いで2番目の高さにある山上湖である。

権現池の周囲には、剣ヶ峰など八つの外輪山が取り巻いている。

 

蚕玉岳からふくらみを越え、緩やかな稜線を進むと剣ヶ峰(3026m)頂上への登り口と、下りの分岐点に達する。 左側が登り専用。

分岐点から少し登ると冷たい飲み物や記念品などを販売している頂上小屋がある。 上空には剣ヶ峰山頂が聳えている。

頂上小屋を少し登ると、剣ヶ峰頂上にある朝日権現社に、午前10時40分到着する。 畳平から1時間50分の所要時間であった。

剣ヶ峰頂上には朝日権現社と乗鞍本宮(鞍ケ嶺神社=くらがみねじんじゃ)奥宮が背中合わせで祀られている。

剣ヶ峰頂上の乗鞍本宮神社。(朝日権現社と同じ頂上で背中合わせに祀られている)

 

頂上の神社前の敷地は狭く、登頂を果たした多くの方々が参拝をしたり、記念撮影をしたりして楽しんでいる。

私たちも乗鞍本宮神社と朝日権現社に登頂御礼の参拝をすませて、しばらく頂上からの眺望を楽しんでいた。

剣ヶ峰頂上にある鳥居の奥では、「剣ヶ峰3026m」と書かれた木碑を中心にして多くの人達が記念撮影をしている。

私たちもご覧のように剣ヶ峰(乗鞍岳)頂上3026mで記念撮影する。

剣ヶ峰頂上からの蚕玉岳2979mと後方の朝日岳2975mを望む。 後方はコロナ観測所のある摩利支天岳2872m。

剣ヶ峰3026mの頂上から大日岳(奥ノ院)3014m、屏風岳2968m、その後方の薬師岳2950mを望む

剣ヶ峰頂上から 夏の発達した雲間に顔を出し、雲上に浮かんでいる御嶽山(3067m)の景観

剣ヶ峰頂上から南側の景観、南方の雲間の上空には中央アルプスの峰々がうっすらと見えている。

剣ヶ峰頂上より東側の景観、 乗鞍エコーラインと大雪渓が見えている。

剣ヶ峰頂上にいた私が、下山途中の彼女たちを偶然に発見、声をかけて撮影をさしてもらった。

東京から来た若い女性達と美しい水面を湛える権現池(二の池)のショット。何故か権現池の風景と若い女性はうまく調和しているようだ。

剣ヶ峰頂上から下山する人達、後方の蚕玉岳やコロナ観測所のある摩利支天岳が見えている。

蚕玉岳で、剣ヶ峰頂上への登頂をあきらめて待っていたブラジル人夫婦。

ブラジル人夫婦いわく 「肩の小屋からやっとの思いで蚕玉岳(2979m)まで登ってくると、その上に、高々と聳える剣ヶ峰が見えてきた。

もう、ここが限界で、上に登る気力がなかった。 ここで待っていることにした」 とのことだった。

頂上から蚕玉岳まで下山してくると、また東京の仲の良さそうな二人の女性に会った。

私たち夫婦と一緒になって記念の撮影と、眼下のエコーラインをバックにした写真を撮らさしてもらった。

二人とも礼儀正しく、性格のよさそうな可愛らしい女性である。 

この女性たちは、昨夜は麓のホテルで一泊した後、剣ヶ峰の登頂を果たし、下山後の午後12時30分発のバスで帰京されるとのことだった。

蚕玉岳から下山中に、ブラジル人夫妻の妻が、足を滑らせて尻もち、それを夫が抱きかかえるように起こす微笑ましい光景があった。

初めての登山、急傾斜地でしかも、下りの登山道、下はごろごろした石ころや砂礫で滑りやすくなっている。

その後も、三回ほど同じようなことを繰り返していたが、幸いにも全く怪我はなかった。

頂上から肩の小屋まで30分ほどかかって下山した後、少し休憩をとって、出発地の畳平方面に帰って行く。

肩の小屋からブラジル人夫婦と畳平に帰る途中に、妻と二人で富士見ケ岳2817mへ登ることにする。

(ブラジル人夫婦は先に畳平バスターミナルに帰るとのことだった)

富士見岳2817mから乗鞍岳主峰の剣ヶ峰、摩利支天岳と、眼下に残雪と美しい水面を放つ不消ケ池を望む。

帰路の道路から富士見岳には15分ほどで頂上に到着するが、登るに従って山名の由来の通り360度の景観が楽しめる山である。

石を積み上げた富士見岳頂上と、眼下の素晴らしい眺望を楽しむ人達

乗鞍岳主峰の剣ヶ峰と 「富士見岳2817m」 と書かれた木碑を中央にして記念の撮影

富士見岳頂上から 眼下の乗鞍エコーラインをバックに撮影(東側=長野県側)

畳平バスターミナルと鶴ケ池 (畳平が一番美しく見える場所と言われる富士見岳からの撮影)

畳平バスターミナルの下に広がるお花畑、お花畑にはご覧のような木道の遊歩道が整備されている。

多くの人達が訪れて木道の遊歩道を歩きながら高山植物を楽しんでいる。

乗鞍岳の剣ヶ峰と富士見岳の登山を終え、午後1時20分、畳平バスターミナルに帰ってくる。

朝の出発の折は、まばらだった登山客やバスは、ご覧のように多くの人達が訪れて賑わっている。

平湯温泉までの帰りも、ブラジル人夫妻の希望によりタクシーを利用することになった。

 

乗鞍岳からタクシーで平湯温泉まで帰ってくると、愛車に乗り換え、近くにある日帰り温泉「ひらゆの森=500円」に立ち寄った。

昨日から滞在しているオートキャンプ場は、体の洗い場がなく、女性とタクシー運転手のお勧めにより決定した。

ひらゆの森温泉は、露天風呂もあり、泉質の種類も多く、十分な広さのある温泉であった。

夏の登山で汗まみれになった体を洗い流したり、登山の疲れを癒してくれる最高の温泉であった。

 

永年の思いや夢であった、乗鞍岳最高峰剣ヶ峰3026mへの登山。

剣ヶ峰以外にも富士見岳へも登れ、過去に一度も頂上に登れずに帰って行った時の物足りさはなく、

永年の夢であった乗鞍岳の登頂を果たし、晴れ晴れとした心の満足感が私たちを覆っている。

剣ヶ峰から広がる大展望、外輪山や山上湖、夏でも解けない雪などが

しっかりと心の中にしみ込んでいる。 

富士山周辺の魅力も大きいが、乗鞍の魅力もまた大きい。

いつの日か 心の中まで魅了された私たちを、乗鞍は、再び、呼びもどすかも知れない。

そんな予感に浸りながら、宿泊地である奥飛騨温泉郷のキャンプ地へ帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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