気ままな旅

マイカーでの気ままな旅で、束縛された予定や時間にとらわれない、自由奔放な行動をとる旅の紹介です。

大自然が造りあげた鳥取砂丘

2009-06-16 14:05:06 | 気ままな旅
 5月8日(金)午前中には鳥取県三朝温泉の奥地にある三徳山三仏寺「投入堂=なげいれどう」の見学を終えた私たちは、投入堂への登山で、何か精神が砥ぎ澄まされたような余韻を感じながら、県道21号線から国道9号線に出て、鳥取砂丘にやって来た。
 
 鳥取砂丘は日本海の海岸に面して広がり、南北2.4km、東西16km、最大高低差90mと日本最大規模を誇る砂丘である。 神話で有名な白兎海岸と併せて「日本の渚百選」に選ばれている。
 砂丘の成り立ちの歴史は、今から十万年前に遡るといわれている。
 中国山地から流れ出た千代川(せんだいがわ)が運ぶ砂と、日本海の沿岸流が運んだ砂が風と波の力によって集まり、少しずつ、少しずつ、気の遠くなるような時間をかけて堆積して鳥取大砂丘は出来ている。
 まさに、大自然が育んで出来た偉大な造形物である。
 1955年に国の天然記念物に指定され、2007年には日本地質百選に選定されている。
 また、ジオパーク(地質遺産)にも認定されている。
 ジオパークとは、地質遺産を含む一種の自然公園のことで、鳥取砂丘、浦富海岸等を含む山陰海岸国立公園を中心とした地域が、日本で始めて日本ジオパークに認定された。
 現在は世界ジオパークネットワークの加盟へ向けた取組みが進められている。
 日本三大砂丘 (①鳥取砂丘・②吹上浜=鹿児島県薩摩半島西岸・③遠州灘砂丘=静岡県南部) のひとつに数えられ、山陰海岸国立公園の特別保護地区に指定されている。

 駐車場に愛車エステイマを停めて、砂丘方面を見ると黒い馬がタイヤのついた貨車を引っ張っている。
 これから観光客を乗せ砂丘を案内するのだろうか! 
 想像を描きたてながら、目の前の砂山に造られた30段位の木の階段を一歩一歩登って行く。
 木の階段を登りきると周りの景観が一辺するのに驚く。
 雄大な砂丘の景観が一望できる。
 前方には、すりばち状の底辺が見え、そこから反り上がるように砂丘が形成され、西方には林や海岸線に沿った砂丘が果てしなく延びている様に感じる。
 砂丘前方の奥にも青々とした雄大な日本海が見え、日本海の水平線が広大な砂丘の上部を横切り、砂丘と独特のコントラストを見せている。
 まさに絶景で、日本では他に類を見ない、優雅で、雄大な自然の美しい造形物である。
 日本でこのような風と砂で造られた造形物に驚きと不思議さを感じてくる。
 この大自然の雄大な造形物に暫く見とれていると、急に砂丘を歩きたくなってくる。
 やはり 砂丘の魅力を満喫するのは歩くのに限ると思った。
 砂丘のど真ん中にある、すりばち状の丘を目指して歩いて行く。
 砂丘の砂は柔らかく、歩いて一歩踏み出す度に、ザクザクと靴が食い込み、足の重さを通常の倍以上に感じてくる。
 特に上り坂では、思うように進まずかなり疲れる。
 その為にか、靴を脱いで裸足で歩く人も多く見受けられる。
  
          
           出番をまっているのか! 砂丘で待機する観光用の馬車

          
            砂防用の垣根の中で、観光用の馬車を利用する人たち

          
階段を登った所の景観、すりばち状の底辺には緑が、反り上がるような小高い丘と日本海の水平線が独特の景観を見せている。

 自然の造り出した砂丘の形態が擂り鉢に似ていることからこの名前がつけられている。最も深いところでは40m以上に達している。
 下の写真のようにすりばちの下には大きな水溜りができ、雨量や季節によって水深も変化する。
 この現象から、この場所は 「鳥取砂丘のオアシス」 と呼ばれている。

           
 すりばち状の窪みと馬の背といわれる頂上部、なだらかで曲線をおびた砂丘の起伏が自然の美しい造形美を作り出している。 

          
      砂丘のすりばち状に似た形に大きく窪み、すりばち斜面の高さ40mもある壁。 

          
   降った雨が地下水となり、それが泉として地表に湧き出している砂丘のオアシス

 「砂丘」は「風によって運搬される砂が堆積して造った小高い砂の丘や提状の砂の高まり」と定義されている。
 広い意味では砂漠である。
 しかし、一般的に砂漠は雨が降らずに乾燥や、昼夜の気温差が大きく、それによって石が砕けてできたと思われるが、鳥取砂丘は逆に雨が山の岩を砕き、雨が集まってできた千代川(せんだいがわ)によって運ばれた事などから 「雨が造った砂漠」 といえる。
 従って、乾燥砂漠とは、地形の様子が似ていても全くの別の物である。

          
              砂丘の急な坂道を登る家族連れの人たち 

          
馬の背といわれる砂丘の頂き、この丘からは雄大な砂丘と日本海、美しく湾曲する海岸線など360度の大パノラマが楽しめる。

 鳥取砂丘のメイン的な場所である砂丘の丘、頂上部近辺には、多くの人たちが訪れ、思い思いに過ごし、広大な砂丘でのひと時を楽しんでいる。
 この丘から360度の大パノラマが楽しめる。
 日本海側に面したすりばち状の眼下では、ペアーの男女が海岸線を歩いたり、仲良く砂上に腰を下ろし、何かを語り合ったり、時々打ち寄せる波間の光景に見とれていたりしている。
 反対側のすりばち状の底辺からは、急な斜面を子どもの手をとりながら家族連れの人たちが登ってきている様子など、微笑ましい光景がみられている。
 砂丘中央部にあるオアシスには、グリーン地帯が広がり、その谷間には、湧き水が太陽光線を浴びながら少しずつ流れ、輝いた小さな小川をつくり、曲線を描きながら池に流れ込んでいる。    

          
多くの人たちが訪れた砂丘の足跡と広大な砂丘・曲線を描きながら広がっている海岸線。

          
大自然が造った砂丘が海に向かって急激に落込み、青々とした海や日本海に浮かぶ島と独特の景観をかもし出している。 

 曲線をおびた砂丘と日本海や海に浮かぶ大小の島々の景観も美しい。
 砂丘入口で初めて見る砂丘と、砂丘中央部の丘の頂きから見る景観は全く違って見えている。
 砂丘の海岸線に打ち寄せる白い波と、砂丘の曲線美、それに海や空の青さと点在する島や半島が、バランスよく調和して見事な景観をかもし出している。 鳥取砂丘ならではの景観である。     

          
  風速5~6m程度の風によって造られる砂丘の風紋(ふうもん)と呼ばれる模様

 砂丘の周辺には有島武郎、高浜虚子、与謝野晶子などの歌碑が点在している。
 また、演歌歌手水森かおりが歌っている 「鳥取砂丘」が大ヒットし、当地ソングの元となっている。

 有島武郎の歌碑
    「浜坂の遠き砂丘のなかにして 侘しき我を見出でつるかな」

 大正12年、ここへ訪れた有島武郎のこの歌により、鳥取砂丘は一躍有名になったと伝えられている。(浜坂=鳥取砂丘)

          
この方向の頂上部が砂丘の入口で、越えた所に駐車場やサービスセンターなどの施設がある。

 日本では珍しく、すばらしい価値ある鳥取砂丘の見学を終え、駐車場の前にある、鳥取砂丘パークサービスセンターに立ち寄ってみた。
 センターでは写真やパネルなどを使って、砂丘の生い立ちや、植物、周辺の名所などを紹介している。
 また、砂丘の問題点や保全活動の取り組みなども紹介されている。
 
 このような大自然によって、気の遠くなるような永い年月をかけて造られた鳥取砂丘、日本一の起伏を誇り、造形美の曲線が、季節や風によって微妙に変化して、訪れた私たちを魅了してやまない鳥取砂丘。
 日本の観光資源にとっても、鳥取砂丘は大切な財産であり、何時までもこの景観が自然とうまく調和して保たれように願わずにはいられなかった。

鳥取砂丘を後にした私たちは県道から国道9号線に入り、近くで通りすがりにある岩井温泉に立ち寄った。
 岩井温泉は1300年の歴史や色々な伝説があって、山陰最古の温泉として有名である。
 泉質もよく体が大変温まることでも知られ、多くの入浴客で賑わっている。
 入浴して一日の疲れを癒した後、私達は南大阪の自宅への家路につき、愛車エステイマを走らせて行った。



 

 


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