アフリカ サバンナ ライオンの雄は
青年になり、獰猛な力により多くの伴侶を得る。
そして、赤子と多妻を他の雄ライオンから守り、保護する。
やがて、老いて力が衰えると、メスライオンから
用済みとして追い出される。
老ライオンは、ハイエナが残した腐肉をあさり
最後はハイエナの食料になる。
退院後、自宅での日常生活は、妻に多大な心労負担をかけている。
夜間頻尿により、和室での夫婦同室就寝は止め
リビングに布団を敷き寝る。
朝5時には、妻が、布団を和室に運び入れる。
妻は、直ぐに娘の朝食準備、洗濯
私は、妻、娘が食事を済ませるまで
和室でうとうと。
7時20分 娘が自宅を出ると、起き出す。
約4カ月この状況が続いている。
7月の終わり、妻が言った。
「知り合いのご夫婦は、60過ぎたら寝室は別々」
口の悪い女友達は
「物置にでも入れて置けばよい」と言う。
辛辣な言動に反論できない。
8月8日(火)住まいマンションエントランスから
徒歩120秒の家具売り場へ向かう。
ニトリ &大塚家具
ニトリと大塚家具が向かい合わせにある。
廉価なニトリ、父娘で争った大塚家具を見る。
この年齢になれば、新婚さんの豪華なベッドなど必要もない。
今年の流行語になりそうな
「一線を越えていません。」
などの相手がいるわけでもない。
病院患者のベッドで構わない。
選んだのは、ニトリで一番安いシングルベッド。
これから先、寿命が限られている。
旦夕迫る余命に贅沢は不要だ。
8月11日(金)
午後1時、ベッド到着。
今まで、パソコン2台、書棚、大型デスク、衣類タンスとして
自分用書斎?として使用。
前日から、運び出し北側、8畳の部屋に運ぶ。
娘の衣装と本箱、ダンスレッスンマットが占拠、空間は狭い。
ベッドを女房と組み立てる。
普段、力仕事には冷淡、無関心な女房が
喜々として手伝う。
内心、ホットして、役立たず亭主の追い出しに成功を喜んでいる。
娘も帰宅して、
一言、「いいんじゃない」
「これで楽になる」
女連合軍の勝利だ。
雄は、子孫繫栄の種子。
束の間の役割を果たせば
カマキリの雄同様、廃棄されるか食べられる。
これからは、ベランダから、対面ショッピングセンターの人々の
出入りを眺め、夜半はスカイツリーを遠望して
孤独房で生涯を終えるのだ。
続く